屋内施設における「入場システムとPOS導入」による接客効率化と売上向上に関する事例

おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、関東のとある屋内施設さんの「入場システムとPOS導入による、お客様対応の効率化と売上向上」に関する事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。

目次

施設:今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

状況:簡易的なレジシステムを使った売上管理のみ

課題:詳細な売上管理や顧客情報の蓄積・分析ができない

施策:入場システムとPOSシステムを導入

工夫:マニュアルは紙でなく動画を用意

成果:お客様対応の効率化と効果的な施策が打てるようになった

今後:POSのデータを基に今後の戦略・施策を練る

【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

施設ジャンル:室内釣り堀・遊び場
施設エリア :関東
施設規模  :施設面積 約130坪
主な顧客属性:ファミリー

【状況】簡易的なレジシステムを使った売上管理のみ

Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?

それまでは、日毎の売上や客数等の簡単なデータがとれる、タブレット型の簡易的なレジシステムを使用して売上管理をしていました。来店者情報などのデータについてはほとんどとれていない状況でした。

【課題】詳細な売上管理や顧客情報の蓄積・分析ができない

Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?

「しっかりしたデータのとれるPOSがないとだめだ」という認識がありました。弊社では別事業も展開しているのですが、その経験上「データが取れないと、効果的な施策を効率的に打つことができない」と考えていたので、詳細な売上管理や顧客情報の蓄積・分析ができないことを最大の課題と捉えていました。現場での作業効率等も考えた上で、システム化すべきと考えました。

【施策】入場システムとPOSを導入

Q:実施内容について詳細を教えてください。

会員の入場システムとPOSを連動させて導入しました。

お客様が持つ会員カードと連動し、会員カードのバーコードを読み取るとその会員情報が記録され、入退店情報がデータとして残るようになりました。これによって、お客様の来店時と会計時にスムーズにご案内ができるようになり、さらにPOSには顧客情報が蓄積されて、いつでも簡単かつ自由にデータを取り出せるようになりました。

Q:POSの会社はたくさんあると思うのですが、選定の際のポイント等を教えてください。

入場システムやPOSに詳しいわけではなかったので、人気で流行っている施設に実際に遊びに行き、どんなものを使っているのかをリサーチしました。そこで店員さんの動きから、使い勝手の良し悪しについてもチェックしました。あとは、自施設でやりたいことができる機能を選んでいって、という形です。

【工夫】マニュアルは紙でなく動画を用意

Q:「システムの導入」となると、現場での混乱等、大変そうなイメージがありますがどうでしたか?

導入にあたって、管理側はマスタ決め等で大変なこともありましたが、マスタ設定自体はPOSの会社さんがしてくれますし、現場は導入時の2~3時間の研修だけで、特に不満やトラブル等はありませんでした。

導入後についても、基本的なマニュアルは紙ではなく動画を作ってYOUTUBEで限定公開し、現場でいつでも見られるようにしていたので、わりとスムーズに浸透しました。動画であれば、見ながら同じように動かしていけますし、紙よりわかりやすいので。

あとはPOSの会社さんのサポートセンターがあるので、管理側も現場も大きなストレスは感じませんでした。

【成果】お客様対応の効率化と効果的な施策が打てるようになった

Q:入場システム・POSを導入したことによる、具体的な成果について教えてください。

1つ目は、お客様対応の効率化と質の向上です。

当施設は時間制の施設なので、システム導入前はお客様が入店されたら各組ごとにストップウォッチを用意して、入店から退店までの時間をそれぞれ計っていました。お客様が退店される際、該当のストップウォッチを探し、滞在時間から料金を計算してお会計、というフローだったのが、システム導入後は入店時に会員カードのバーコードをチェックして、退店時にもう一度会員カードのバーコードをチェックするだけで、会計額が表示されるようになりました。

また、オプションの追加など、時間料金以外の個別料金については、システム導入前は該当のお客様のストップウォッチにメモ書きをつけ、会計時に個別で足していくという形でしたが、システム導入後はこちらも会員カードのバーコードをチェックするだけで自動で加算されるようになりました。システムを導入したことにより、会計額の計算等でお客様をお待たせしてしまう時間が大きく減少し、人為的なミスも防げるようになりました。

2つ目は、細かいデータがとれるようになったことにより、効果的な打ち手が打てるようになったことです。

例えば、時間帯、曜日別、日別、月別の定量分析を実施し、人気の無い時間帯のプランを変更して売り上げを最大化させるような施策も打てるようになり、売上や予約数の増加等の結果も出てきています。

また、アンケートとの紐付けもしているので、満足度との相関関係も見ることができます。例えば、「○○を体験している人は満足度が高い傾向にあるから○○を入れたプランを作ろう」等も、感覚値でなく定量的に分析できるので、ハズレがない施策を打てるようになりました。

物販で、何がどれだけ売れているのかなども簡単にチェックできるので、仕入れのアラートにもなっています。

Q:もともと想定していなかった成果などはありましたか?

まったく想定をしていなかったわけではないですが、プラスアルファの効果として「顧客満足度の向上」にもつながっていると思います。

予約時や来店時にPOSで顧客情報が見られるようになった事によって、例えばお誕生日の方がいらしたらお声がけすることができるようになりました。

また、以前は会員カードはスタンプ式で「スタンプが○個貯まったら○円分無料」という形式をとっていたのですが、現在はポイント制にして好きな時にポイント分の割引を1円単位受けられるようにしたので、特典も受けやすくなっています。

【今後】POSのデータを基に今後の戦略・施策を練る

Q:この施策の成果を受けて、今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?

システムを導入してからまだ数ヶ月なのですが、見えてきたことがたくさんあります。時間帯別や日別のデータでスタッフの想定必要人数がわかるので、今後のシフト調整の参考にしたり、日別の来店者の居住データから「○○市民の日」は沿線上からの来店が多かったので次年度の同時期に向けた告知方法を検討したり…。データを蓄積すればするほど、また次に必要な打ち手が考えられるようになりました。

実は今、多店舗展開を進めているのですが、来場者の居住エリアのデータを参考に2店舗目の立地を決めました。こういった事業拡大時の大きなことを決める際にも、POSのデータは重要な役割を担っているので、今後もデータを活用し、随時必要な施策を練っていこうと考えています。