事前決済とキャッシュレス化による人件費削減と混雑緩和に関する事例
おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、関西のとある屋外施設さんの「事前決済とキャッシュレス化による人件費削減と混雑緩和」に関する事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。
【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設
施設ジャンル:動物とのふれあいもできる農業公園
施設エリア :関西
施設規模 :敷地面積 54ha
主な顧客属性:ファミリー
【状況】訪日観光客が徐々に増加
Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?
関西国際空港が積極的にLCCを招き入れ始めた2012年以降、関西では年々インバウンドの観光客が増加していきました。2016年2月には、外国人利用者数が成田国際空港・羽田空港を抜いて全国1位となり、当施設にもインバウンドのお客様もどんどん増えていったんです。
【課題】訪日観光客が訪れやすい環境整備が必要
Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?
当施設では、基本的に入園ゲートにて現金で入園料をお支払いいただく形でした。スタッフが大人が何名様、子どもが何名様、というのを伺いながら料金をいただいていました。
しかし、インバウンドのお客様は円(現金)をあまり持っていない方が多く、また事前に旅程が決まっている事も多い。当施設がインバウンド対策を強化する為には、事前決済などによるキャッシュレス化の必要性を強く感じていました。
【施策】事前決済などによるキャッシュレス化を促進
Q:実施内容について詳細を教えてください。
もともとお付き合いのあった企業を中心に、じゃらんnet、アソビュー、パスマーケット、パスミー、コンビニ前売り、いこーよなどでチケット販売を開始しました。すべて合わせると10を超えるサービスでチケットを販売しています。
また、クレジットカードは以前より対応していましたが、電子マネーの対応など、よりキャッシュレス化を促進させました。
【工夫】各社のマニュアルを確実に現場スタッフへ周知
Q:「新しいものを始める」となると、現場での混乱など色々と大変そうなイメージがありますがどうでしたか?
そこは各社さんが丁寧な分かりやすいマニュアルを用意してくれていたので、それをしっかり現場に届ける事で大きな混乱は起きませんでした。
事前決済を始めるにあたり、特に現場からの反発もなく、現場スタッフ自身もそれまで通りの「入園ゲートでチケットを買う」来園方法だけではいけない、と感じていたのだと思います。
【成果】全体の5分の2が事前決済で来園
Q:事前決済サービスを導入した事による、具体的な成果について教えてください。
各社で事前チケット販売を始めてから購入数はどんどん伸び、今では全体の5分の2のお客様が事前決済で来園いただけるようになりました。
現地のみのチケット販売ですと、入園者数が多い日には、チケット窓口を多く開けないといけませんので、そのための人件費が必要になります。それが事前決済の導入によって、入園ゲートでの対応時間が大きく短縮された事で、その分の人件費を削減する事ができました。
また、特に繁忙期は入園ゲートにお客様の列ができてしまい、入園までお待たせしてしまう事も多かったのですが、こちらの問題も事前決済導入によって解消され、混雑緩和や満足度向上の効果にも繋がりました。
Q:もともと想定していなかった成果などはありましたか?
もともとはインバウンド対策として進めていた事前決済とキャッシュレス化の施策でしたが、その後すぐコロナ禍が訪れました。
それまで現金が主流だった国内のお客様も、コロナ禍で現金の受け渡しなどを避ける意向が強くなり、一気にキャッシュレスの波がきたのですが、そこに慌てる事もなく対応する事ができました。また、以前は「密」となってしまっていた入園ゲート前も、この施策を実施した事によって混雑が解消されていたので、お客様もご安心いただけたのではないかと思います。
【今後】状況を見極め、今後の戦略・施策を練る
Q:この施策の成果を受けて、今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?
現在はコロナ禍で先が読みにくいというのもあり、具体的に進めている大きな施策はありませんが、世情や人の流れをしっかりと見ていきながら、その都度何をしていくべきかを考え、進めていきたいと思っています。