おでかけ施設の暑さ対策に関する施設アンケート

近年、温暖化による影響もあり夏の気温は35度を超え、熱中症に関するニュースを耳にする日も多くなっています。加えてコロナ禍によるマスク着用がスタンダードになった昨今、より暑さが身体に堪えるようになりました。そんな中でも安心して快適に遊んでもらうために、おでかけ施設ではどのような暑さ対策をおこなっているのでしょうか。今回はアンケートに協力して頂いた全国128のおでかけ施設の回答から「おでかけ施設の暑さ対策」について、アンケート結果を紹介させていただきます。

目次

アンケート対象施設の規模区分

屋内施設の暑さ対策

屋外施設の暑さ対策

今夏の暑さによる体調不良者数

特に効果があった暑さ対策

失敗した暑さ対策

おでかけ施設の暑さ対策まとめ

アンケート対象施設の規模区分

まず、今回のアンケート対象となった128施設の施設規模(年間来場者数)について。
※コロナウイルスの影響を受けていない時期の来場人数

アンケートに回答した施設の年間来場者数

なお、暑さ対策は屋内施設と屋外施設で状況や対策も異なってくると思いますので、今回は屋内と屋外に分けてアンケートを取っています。それぞれの年間来場者数は以下の通り。

屋内施設の年間来場者数
屋外施設の年間来場者数

以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出しています。

屋内施設の暑さ対策

まず、暑さ対策として気をつけている事について屋内施設に尋ねた結果がこちら。

屋内施設の暑さ対策

6割の施設がおこなっている対策が「その日の気温や天気によって冷房の設定温度を変える」こと。同じ夏でも暑い日もあれば涼しい日もあります。その日その日の気温に合わせて温度調整が出来る施設であれば、お客さまや働くスタッフはもちろん、環境のためにもきちんと配慮された良い対策と言えます。

その他の対策としては

  • 大型扇風機の設置
  • グリーンカーテンの設置
  • 無料のウォーターサーバー完備
  • 熱中症アラートの設置

など、冷房以外の方法で対策をしている施設も多いようです。

屋外施設の暑さ対策

続いて、屋外施設について見てみましょう。

屋外では屋根もなく直射日光の影響を大きく受けます。遊びに行く方は日陰を探して涼む事もできますが、施設で働くスタッフは涼むにも時間や場所を選ばなければいけません。そこで、屋外施設に関しては、スタッフに対する暑さ対策とお客様に対する暑さ対策に分けて尋ねてみました。

屋外施設のスタッフに対する暑さ対策

約8割の施設が実施しているスタッフ向けの対策が「水分補給の指示」。熱中症対策には「水分補給」は必須です。これは屋内屋外、スタッフお客様関わらず、全員に必要な対策と言えるでしょう。

また屋外施設ならではの回答が、約5割の施設がおこなっている「帽子の着用」。頭は直射日光を特に受けやすく熱を吸収しやすい場所です。通気性の高い帽子をかぶる事で、熱中症対策として有効となります。

一方、お客様への対策はどうでしょうか。

屋外施設のお客様に対する暑さ対策

約5割の屋外施設は「パラソルやテントなどを使い、他の季節より日陰になる箇所を多くする」対策を実施しているとの事。施設によっては屋外で日陰を見つけるのに苦労するところもあります。夏時期は特に意識的に日除けを作る事で、来訪客の健康を守っている施設が多いようです。

今夏の暑さによる体調不良者数

連日猛暑が続く今年の夏、暑さによって体調を崩した来訪客の数が、コロナ禍以前(2019年)と比較してどう変化したのか尋ねた結果がこちら。屋内と屋外で分けて見てみます。

屋内施設の今夏の暑さによる体調不良者の2019年比較
屋外施設の今夏の暑さによる体調不良者の2019年比較

屋内施設、屋外施設の両者とも「変わらない」という回答が最多。一方「増えていると感じる」と回答した施設が屋外の場合11.3%、屋内の場合6.7%います。本格的な夏はこれから。今後さらに体調不良者が増えないよう、各施設が前述のような対策を続ける事が重要と言えます。

特に効果があった暑さ対策

続いて、暑さによって体調を崩す来訪客を増やさないための対策の参考として、今までで特に効果があった対策について自由回答形式で尋ねてみました。一部抜粋して紹介します。

  • 【屋内施設】
  • 暑い日は塩サイダーが売れます
  • 近くに自販機がないので、お茶の販売を開始したら多く売れた
  • 暑さ本番になってからベビーカー用に少し大きめの保冷剤を用意したところ好評
  • 外にビニールプールを出し、子供が水遊びできるようにしたら、ご予約がいつも以上に入った
  • 【屋外施設】
  • 飲料よりも、アイスの販売の方が好評である
  • 列ができそうなところにタープを設置し、その中で並べるようにした
  • ミストシャワー、打ち水
  • 子供用プールを設置

効果があった対策としてあがってきた回答は屋内、屋外で大きな差はなく、塩サイダーやアイスが好評であったり子供用プールが人気になったりと、塩分・水分摂取により来訪客の健康を守りながら、顧客満足度もあげる事ができ、客単価アップも期待できる対策と言えます。今年の暑さ対策として導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

失敗した暑さ対策

反対に失敗した対策も尋ねてみました。一部抜粋して紹介します。

  • 【屋内施設】
  • 最低温度で設定して営業していたが、外が暑すぎて冷えず、他の対策もすればと思った
  • 場所によって体感温度が異なるため、寒い、暑いなどのクレームをいただくことがある
  • 換気と冷房の両立が難しく暑さを訴えるお客様が散見されたこと
  • 【屋外施設】
  • 自動販売機の飲み物、売店のアイスが品切れになり、補充が追い付かなかった
  • 特定のものがよく売れるので増やして欲しいのだが自販機メーカーからNGをうけた
  • ホームセンターで購入できる簡易的なミストシャワーを設置したが、ミストの粒子が大きく水浸しになってしまった

こちらは、屋内施設、屋外施設であがってきた回答に差が出ました。

屋内施設の場合、室内温度に対しての回答が多くあがりました。暑がりの人もいれば寒がりの人もおり、同じ温度でも「暑い」「寒い」と違った声があがる事があるようです。また、熱中症対策とコロナ禍対策(換気)の両立で困っているという回答も。

屋外施設の場合は、「飲み物やアイスなどの補充が間に合わない」という声が多くあがりました。各施設、夏時期の売れ行きを想定した仕入れをおこなっているとは思いますが、連日の猛暑でその想定キャパを大きく上回る状況になってしまう施設も多いようです。

おでかけ施設の暑さ対策まとめ

最後に、今回紹介したアンケート結果をまとめます。

  • 屋内施設の暑さ対策は「気温や天気によって冷房の設定温度を変える」「施設内の冷房の設定温度を一定に保つ」など
  • 屋外施設の暑さ対策は「パラソルやテントなどを使い、他の季節より日陰になる箇所を多くする」
  • 2019年比較での今夏の暑さによる体調不良者は「変わらない」と感じる施設が5割以上あるものの11.3%の屋外施設、6.7%の屋内施設が「増えている」と感じている
  • 特に効果があった暑さ対策は屋内、屋外ともに「塩サイダーやアイスなどの販売」や「子ども用のプールの設置」など
  • 失敗した暑さ対策は屋内施設は「室内温度の設定」、屋外施設は「飲み物不足」

夏はこれからが本番。施設形態によって対応できることできないことは違うかと思いますが、今回の結果が少しでも貴施設の今後の施策の参考になれば幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国128のおでかけ施設

調査日程/2022年7月15日~7月27日