おでかけ施設の割引施策に関する施設アンケート
どうせ遊びに行くならなるべくお得に。そんなユーザーの想いに対して、多くのおでかけ施設が様々な「割引」施策を実施されているかと思います。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国149のおでかけ施設の回答から、「おでかけ施設の割引施策」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。
アンケート対象施設の規模区分
まず、今回のアンケート対象となった149施設の施設規模(年間来場者数)について。

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が52%。50,001人以上の施設が38%(分からない9%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出されています。
おでかけ施設の割引実施状況(入場料おとな)
最初に、おでかけ施設の割引施策に関する実施状況について、いくつかの項目に分けて聞いてみました。まずはもっとも分かりやすい「入場料(おとな)」から。

まず、おとなの入場料に対しての割引施策を実施されている施設は全体の37%。入場料が無料の施設を抜いても、半数の施設が割引自体を実施していないと回答。
なお、割引を実施している施設の内、もっとも多かった割引率は定価から「7%~10%」で42%。次点は「16%~20%」で27%。おとなの入場料については「7%~20%の割引率」がおでかけ施設のスタンダードと言えそうです。
定価料金による割引率の差異について
ここで、上記のデータ(おとな入場料の割引率)を定価料金テーブルに分けて整理してみたいと思います。



割引施策の実施率については、おとなの入場料の定価が1,000円以下の施設が67%。1,000円~3,000円になると56%。3,000円以上だと42%に。どうやら、定価が高額になるほど割引実施率は下がる(実施していない施設が多い)ようです。
割引率については、どのレンジでももっとも多いのは「7%~10%」。全体の傾向と大きな差はなさそうです。
おでかけ施設の割引実施状況(入場料子ども)
続いては、子どもの入場料に対する割引について。同じ「入場料」でも、おとなと子どもで差は出るのでしょうか?

おとなの入場料と比べると、少しだけ無料部分の占有率が上がった事で全体の割引実施率こそ減っていますが、割引率ともに大きな差異はなく、入場料における割引実施率は、おおむねおでかけ施設の3~4割。割引率は7%~20%の間と考えて良さそうです。
おでかけ施設の割引実施状況(イベント参加料)
お次は「イベントやアトラクション参加」に対する割引について。

入場料と比べると実施率は大きく減り、イベント参加やアトラクション料金に対して割引をおこなっている施設は全体のわずか13%。また、割引率も「7%~10%」がもっとも多く半数超え。次点に「11~15%」で16%。入場料よりも多少割引率は少ないようです。
おでかけ施設の割引実施状況(飲食・物販)
続いては「飲食・物販」に対する割引について。

こちらはさらに割引実施率が減り、全体の11%に。割引率についても、「3%以下」のレンジが増え、飲食や物販に対して割引をおこなっている施設でも、その大半は10%以下の割引率になっています。
上記までの結果をまとめると、4割程度のおでかけ施設が「入場料」で7%~20%程度の割引をおこない、施設内でのイベント参加や飲食・物販は定価販売、といったスタイルが主流になっているようです。
割引クーポン(チケット)の提供場所について
では、おでかけ施設は割引クーポンやチケットを、どこで提供しているのでしょうか?改めて、ユーザーへの提供方法と場所について聞いてみました。

もっとも多かったのは「地域情報誌やチラシ等の紙媒体」で36%。公式サイトよりもチケット販売サイトよりも紙媒体が上。デジタル化が進む世の中でこの結果は意外でした。今時点ではエリアセグメントされた紙媒体での訴求効率がもっとも高いという事なのでしょうか。
おでかけ施設が割引施策を実施する目的
続いて、おでかけ施設が割引施策を実施する目的について聞いてみました。多くの施設が定価よりも安い料金で集客をおこなう狙いはどこにあるのでしょうか?

もっとも多かった回答は「新規顧客の来訪増」で65.3%。次点が「リピート来訪獲得」目的で58.9%。もちろん新規顧客が増えれば、結果的にリピート来訪にも繋がるでしょうし、拡散の種にもなりますので、そのもっとも風上にあるのが「新規顧客増」という事なのでしょう。
割引額(割引率)を決める指標について
前述の通り、多くのおでかけ施設の割引率は7%~20%の間で定められていますが、施設側はどのような指標からこの割引率を決めているのでしょうか。

もっとも多かった回答は「自施設の客単価や利益率から逆算」で全体の38%。次点が「お得感・インパクトの有無」で32%。確かに「安い、お得」とユーザーに思ってもらえなければ集客増加に繋がらず割引を実施している意味がないのでしょうが、「利益率よりお得感」の視点で割引率を決めている施設が3割以上もいる事には少し驚きました。
今後、割引施策を検討される際、他施設が割引率をどう決めているのか気になる事もあるかと思います。ぜひ、今回のデータを参考にして頂ければと思います。
割引施策での成功事例・失敗事例紹介
最後に、おでかけ施設での割引施策実施における成功事例について。様々な事例が寄せられましたが、中でも多かったのが「SNS連動」「リピーター限定」「セット割引」の3テーマでした。テーマ毎にいくつか寄せられた具体事例を紹介させていただきます。
- 【SNS連動】
- LINE公式アカウントの友だち追加からのクーポンの反応が一番多い
- SNS割でいいねや拡散してもらい、リピートや集客の拡散に繋がっている
- 【リピーター限定】
- リピーター割引(2回目半額、3回目無料)でリピーター客が増えた
- リピート率が低かった層がリピートしてくれるようになった
- 次回来店時特典のクーポンでリピートを獲得できている
- 【セット割引】
- 遊覧船とミュージアム入館のセット券割引によって両方の利用が増加した
- カフェとのコーヒー、ソフトクリームと入館料のセット券
逆に「失敗事例」について尋ねたところ、こちらも色々な事例が出てきました。おおまかな傾向として「条件限定」での割引施策は失敗しやすいようです。「雨の日限定割引」「祖父母同伴限定」「曜日割引」「学生限定」「レディースデー」など、割引対象を限定した施策で失敗(効果が出なかった)されている施設さんが多いです。
ただ、「リピーター限定」での施策は成功事例に挙がっているくらいなので、限定の仕方によっては高い成果が期待出来るとも考えられます。
また、「同時に複数の割引を適用して売り上げがほぼゼロ」「割引の併用について記載があいまいだった」など、「特典併用」に関する失敗も多数寄せられました。
回答数こそ多くありませんが、中には「割引料金に慣れてしまい、通常料金では利用していただけない」そんな回答もちらほら。割引施策として、これは絶対に避けたいケースですね。
おでかけ施設の割引施策に関するまとめ
- おとなの入場料に対して割引施策を実施している施設は全体の37%
- おとなの入場料「7%~20%の割引率」がおでかけ施設のスタンダード
- 定価が高額になるほど割引実施率は下がる(実施していない施設が多い)
- 入場料割引は、対象がおとなでも子どもでも実施率・割引率の傾向は変わらない
- イベント参加・アトラクション利用料金に割引実施している施設はわずか13%
- 飲食・物販料金に割引実施している施設は11%程度。割引率も10%以下が多い
- 割引特典をユーザーに提供している場所は「地域情報誌やチラシ等の紙媒体」が最多
- 施設の割引施策の目的は「新規顧客の来訪増」65.3%「リピート来訪の獲得」58.9%
- 割引率算出指標は「客単価や利益率から逆算」38%「お得感・インパクトの有無」32%
- 割引対象を限定した施策で失敗している施設さんが多いが「リピーター限定」は別
という事で、今回は「おでかけ施設の割引施策」に関するアンケート結果を紹介させて頂きましたがいかがでしたでしょうか。なお、割引クーポンに関するユーザー側のアンケート結果もこちらの記事で紹介させて頂いてますので、ぜひご一読頂ければと思います。
今回のアンケート結果を貴施設の今後の戦略検討や施策に少しでも役立てて頂けますと幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/全国149のおでかけ施設
調査日程/2021年9月15日~9月23日