おでかけ施設のシニア層への対応に関する施設アンケート

施設には様々な年齢のお客様がいらっしゃいます。以前、未就学児対応に関するアンケートを実施し紹介しましたが、逆にシニア層への対応はどうしているのでしょうか。今回はアンケートに協力して頂いた全国83のおでかけ施設の回答から「おでかけ施設のシニア層への対応」について、アンケート結果を紹介させて頂きます。

目次

アンケート対象施設の規模区分

シニア層の来園状況

シニア層への割引・特典

シニア層への年齢制限

シニア層へのサービス・接客面での配慮

シニア層への設備・コンテンツ面での配慮

シニア層への配慮での成功事例

おでかけ施設のシニア層への対応に関する施設アンケートまとめ

アンケート対象施設の規模区分

まず、今回のアンケート対象となった83施設の施設規模(年間来場者数)について。
※コロナウイルスの影響を受けていない時期(2019年)の来場人数

アンケート対象施設の年間来場者数

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が54.2%。50,001人以上の施設が38.6%(わからない7.2%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出しています。

シニア層の来園状況

はじめに、シニア層の来園状況について尋ねました。今回は「65歳以上」をシニア層と定義しています。

シニア層の来園状況

施設のジャンルや形態によってシニア層の来園状況は様々かと思いますが、今回回答してくださった施設では「多くはないが少なくもない」という施設が39.8%、「多い」が16.9%、「少ない」が25.3%でした。

シニア層への割引・特典

未就学児に対して割引やプレゼントなど様々な特典を実施されている施設も多いと思いますが、一方シニア層への割引や特典対応についてはどうなのでしょうか。

シニア層への割引・特典

結果、「割引も特典もない」という施設が7割。「割引はあるが特典はない」施設が2割程度でした。

ちなみに、シニア割をおこなっている施設の場合、どの程度の割引をされているのでしょうか。今回は、大人の通常料金を基準にシニアの割引率を尋ねてみました。

シニア割引の割引率

6割の施設が「50%以上」と回答。シニア割を実施している多くの施設が「通常料金の半額以下」と設定されているようです。次点で「10%~19%」引きが25%という結果でした。

なお、「割引以外の特典がある」という施設に対し、どのような特典を付与しているのか尋ねたところ、以下のような特典を実施しているとの事でした。

  • 敬老の日等に施設無料利用券の配布
  • 70歳以上、市内在住の方入園料金無料
  • ポイント割引など

無料券の配布など、広い意味では割引の実施と考えると、シニア特典の大半は特典含め「割引」を主としたものになっているようです。また、敬老の日に限定したり、市内在住の方に限定するなど、エリアや対象を絞って実施されている施設も多いようです。

シニア層への年齢制限

続いて、施設のサービス・コンテンツ利用に対して、シニア層への年齢制限を設定しているかどうかについて尋ねてみました。

シニア層への年齢制限

「ない」という施設が95%。一部、身体を使うスポーツ関連やレジャー関連の施設などで年齢制限を設けている施設はあったものの、ほとんどの施設がシニア層への年齢制限は特に設けていないようです。

シニア層へのサービス・接客面での配慮

次に、シニア層に対してサービスや接客面で特別な配慮をおこなっているかについて尋ねました。

サービス・接客面でのシニア層への配慮

半数以上の施設が「特にない」と回答。一方、配慮を実施していると答えた施設では、「注意事項や説明をシニア向けにより丁寧に実施」したり「こまめな声掛け」をおこなっている施設が多いようです。

シニア層への設備・コンテンツ面での配慮

では、設備・コンテンツ面ではどうでしょうか。

設備・コンテンツ面でのシニア層への配慮

こちらも「特にない」が最多で49.4%。一方、3割の施設が「バリアフリー対応」や「車いすの貸出し」などをおこなっており、さらに“シニア層に向けて”10%弱の施設が「老眼鏡の貸出し」を実施されています。小さい文字を読む機会があるような施設の場合、目の悪い方でも不自由なく楽しむ事ができて、とても助かるサービスになっているのではないでしょうか。

シニア層への配慮での成功事例

過去にシニア層に対しておこなった対応や配慮の中で、成功した具体的な事例を自由回答で尋ねてみました。

  • 椅子を設置し、歩き回らずにすむようにした
  • エアコンの温度など他のお客様より気にかけて感謝された
  • 受付時に何か心配はないか等話を聞き、ゆっくり丁寧に説明する

といったように、より丁寧に対応して感謝されたという施設が多くありました。サービス面において約3割の施設がおこなっている「より丁寧な注意事項や説明」や「こまめな声掛け」は実際にシニアの役に立っているようです。

そんな中、以下のような施設も。

  • シニアの行動力や考えを尊重する。迷ったり困っていそうでも場合によるがすぐに声掛けしない

明らかに困っていたり、丁寧な説明が必要そうなお客様にはそれ相応の対応が必要かと思いますが、やりすぎは逆に失礼になるケースも。まずは気にかけ、本当に困っているのかを確認した上で、逆に余計な声がけをおこなわない事もまた気配りと言えるのかもしれません。

おでかけ施設のシニア層への対応に関する施設アンケートまとめ

最後に、今回おこなった「おでかけ施設のシニア層への対応に関する施設アンケート」の結果をまとめます。

  • シニア層の来園状況は「多くはないが少なくもない」施設が40%、「多い」施設が17%、「少ない」施設が25%
  • シニア層への割引特典は「どちらもない」が71%、「割引はあるが特典はない」が19.3%
  • シニア割がある場合「50%以上」の割引を行っている施設が6割
  • 自施設のコンテンツ利用でシニア層の年齢制限は「ない」施設が95%
  • サービス・接客面での配慮は「特にしていない」施設が半数、している場合「丁寧な説明」や「こまめな声掛け」を実施
  • 設備・コンテンツ面で配慮も「特にしていない」施設が半数、している場合「バリアフリー対応」や「車いすの貸出し」「老眼鏡の貸出し」などを実施
  • シニア層に対して「丁寧な接客」で成功している施設もある一方で、「シニアの行動を尊重し、特別扱いしすぎない接客」で成功している施設もあり

今回ご紹介した調査データが、少しでも貴施設の今後の施策の参考になれば幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国83のおでかけ施設

調査日程/2022年5月18日~5月31日