おでかけ施設の梅雨時期の対応や状況に関する施設アンケート
今年は6月末に梅雨明けという例年にない早さで梅雨明けの発表がされました。通常であれば、梅雨は1ヶ月から2ヶ月程度続きます。恵みの雨となる施設もあれば、そうではない施設もあるかと思います。そこで今回はアンケートに協力して頂いた全国80のおでかけ施設の回答から「おでかけ施設の梅雨時期の対応や状況」について、アンケート結果を紹介させていただきます。
アンケート対象施設の規模区分
まず、今回のアンケート対象となった80施設の施設規模(年間来場者数)について。
※コロナウイルスの影響を受けていない時期の来場人数

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が60.0%。50,001人以上の施設が32.5%(分からない7.5%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出しています。
梅雨時期の来場者数
つぎに、梅雨時期の来場者数について梅雨入り前の5月下旬~6月上旬頃と比べてどう変化するのか尋ねました。

今回アンケートに回答してくれた施設さんの回答では、「少し減る」「かなり減る」の合計が55.0%、「あまり変わらない」が23.8%、「少し増える」「かなり増える」の合計が17.6%となり、半数以上の施設が梅雨時期の方が梅雨入り前より「減る」との事でした。
なお、屋内施設なのか屋外施設なのかで天候の影響度も大きく違うでしょうから、改めて屋内屋外で分けてデータを見てみましょう。

やはり天候の影響を大きく受ける屋外施設の場合、「かなり減る」という施設がもっとも多くなりました。逆に屋内施設の場合は「あまり変わらない」という施設がもっとも多くなり、「かなり減る」「少し減る」「少し増える」が同程度という結果に。
梅雨時期の広報・宣伝活動
以下、梅雨時期の集客について、各施設がどういった施策をしているのか、もう少し細かく見ていきます。
まずは、広報・宣伝活動について。梅雨時期、梅雨入り前の5月下旬~6月上旬、夏休みなどの繁忙期のそれぞれでどういった施策をおこなっているのかを尋ねた回答がこちら。

梅雨前、梅雨時期、繁忙期すべてにおいて、突出して多かった回答が「SNSの更新」。3つの時期の中でも、とくに繁忙期に力を入れるようです。やはり今の時代、SNSでの集客プロモーションは欠かせないものです。手間やコストをあまりかけずに世界中へ発信できるという事もあり、多くの施設が積極的に実施していると考えられます。
その他、「ポスティングやチラシの投函」「DM配信」「紙媒体への有料広告」「Web媒体への有料広告」に関しては、すべてにおいて梅雨入り・梅雨時期に一定数の施設がおこない、繁忙期には若干実施する施設が増えるという結果になりました。
梅雨時期の特別な施策
続いて、梅雨時期に特別な施策をおこなっているかどうかについて尋ねた結果がこちら。

先程紹介した、広報・宣伝活動の結果と同様に、7割の施設が「特別な施策は実施していない」と回答。「雨の日の楽しみ方をHPなどで紹介」している施設が1割程度あるようです。
なお、「雨の日割引」や「限定コンテンツ」を実施されている施設の場合、具体的にどのような事をおこなっているのかを尋ねたところ、以下のような回答があがりました。一部抜粋します。
- 近隣のあじさい園とのコラボ企画
- アンブレラスカイの実施
- 梅雨限定プランの販売
- ホタルの鑑賞
施設の環境や予算によってできるできないがあるかと思いますが、梅雨時期の集客でお悩みであれば、アイデアのひとつとして参考にされてみてはいかがでしょうか。
梅雨時期に設備面で気をつけていること
次に、梅雨時期に気をつけている事を、設備面と接客面に分けて尋ねてみました。
まずは、設備面について尋ねた結果がこちら。

先程と同様「特にない」が多い結果にはなりましたが、約半数の施設は何かしら気をつけている事があるようです。「床や遊具などをこまめに拭く」が25%、「傘の水切り・滴取りの設置」「傘カバーの設置」「注意喚起の掲示」がそれぞれ10%前後でした。
その他として、防カビ対策、匂い対策、晴れ間に換気、日常点検の増強など、梅雨ならではの「嫌なカビや湿気」に対してこまめに気を遣われている施設さんが多くいらっしゃいました。
カビは嫌なニオイを発生し、建物自体の汚れや老朽化につながり、アレルギーを持つ子供には天敵となり、百害あって一利なしとはまさにこの事。こういった点に対してきちんと気を遣い、清潔に保てている施設には梅雨の時期でも親子は安心して遊びに行けますし、純粋に施設を楽しめると思います。
梅雨時期に接客面で気をつけていること
では、接客面はどうでしょうか。まずは、(梅雨時期だから)特に気をつけている事があるかないかで尋ねた結果がこちら。

「ある」と回答した施設は2割。前述の設問同様、梅雨だからといって特別な接客をされているという施設は少ないようです。
では、「ある」と回答した施設は具体的にどのような事に気をつけているのでしょうか。自由回答結果を一部抜粋します。
- 足元への注意喚起
- 傘を忘れないように声掛け
- 雨の中来てくださり感謝している旨伝える
- 駐車場に水たまりができないよう配慮する
少しの気遣いが施設を利用した方にとってはとてもありがたい事だったりします。施設スタッフの小さな気遣いひとつが、利用者にとって気持ちの良いおでかけとなり、リピートにも繋げられるのではないでしょうか。
梅雨時期の施策の成功事例と失敗事例
これまでにおこなった梅雨時期の施策について、成功事例と失敗事例を自由回答形式で尋ねてみました。それぞれについて一部抜粋して見てみます。
- 【成功事例】
- 梅雨時期であれば【室内で遊べる】というキーワードがヒットする場合が多い
- 翌日の天気が良ければ、前日の夜でもPRを忘れないこと
- 外気温で調整する
- 傘の無料レンタル
- 【失敗事例】
- ふだんは気が付かない場所に水たまりができてしまう
- お客様を待たせ、場合によっては門前払いになる
- 梅雨が続き換気が出来なかった時期に、常時使用しない部屋の床にカビが発生した
成功事例として「【室内で遊べる】というキーワードがヒットする場合が多い」と回答してくださった施設さんは、WEB検索やSNS検索を非常に上手に使われている施設さんと言えます。以前「いこーよにおける月別人気タグの傾向調査・分析」の記事で紹介したように、いこーよでは「雨の日でもOK」や「雨の日おでかけ」など「雨」ワードや「室内」ワードで検索するユーザーが多くいます。こうしたワードに目を向けると、梅雨時期のおでかけを探している親子に届く可能性が高くなります。ぜひ意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
失敗事例としては、「気づかないところに水たまりやカビなどが発生してしまっていた。」といった施設さんがチラホラ。カビはこびりついてしまうと、処理が面倒になってしまいます。梅雨時期は特にこまめな換気や拭き取りを意識する必要がありそうです。
おでかけ施設の梅雨時期の対応と状況まとめ
最後に、今回紹介したアンケート結果をまとめます。
- 梅雨時期の来場者数は梅雨入り前と比べて「減る」施設が約半数。そのうち屋外施設においては「かなり減る」施設が多数。
- 「梅雨時期」「梅雨入り前」「繁忙期」と時期問わず「SNS更新」に力を入れている施設が多い。
- 梅雨の時期だからといって特別な施策は行わない。
- 設備面では、床や遊具などをこまめに拭いたり、傘の水切り・傘カバーの設置、防カビ対策などに気をつけている施設も。
- 接客面では、足元への注意喚起や傘の忘れ物注意などを実施。
梅雨の時期は天気が悪い日が続き、施設側もユーザー側も気分が滅入りがち。その中で少しでもお互いに気持ちよく過ごすには、少しの気遣いがとても重要なのかもしれません。
施設形態によって対応できることできないことは違うかと思いますが、今回の結果が少しでも貴施設の今後の施策の参考になれば幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/全国80のおでかけ施設
調査日程/2022年6月23日~6月29日