おでかけ施設のクーポン活用に関するユーザーアンケート
世の中には、割引や無料招待、ノベルティプレゼントなど、おでかけ施設をよりお得に楽しむための様々なクーポンがあります。施設にとっては、集客アップや満足度向上に繋げられる効果的な施策のひとつですが、実際に利用するユーザーは、おでかけ施設のクーポンをどのように活用しているのでしょうか。今回は、いこーよおよびいこーよアプリを利用した462名のユーザーを対象にアンケートを実施し、ユーザーのクーポン活用に関する意識や動向について、調査・分析してみました。
おでかけ施設のクーポン利用経験有無について
まずは、おでかけ施設のクーポン利用経験についてユーザーに聞いてみました。

「使った事がある」が61%、「使ったことがない」が39%と、およそ4割のユーザーは過去に一度もおでかけクーポンを利用したことがないという結果に。様々なお得クーポンが溢れているおでかけ市場ですが、利用経験の無いユーザーの多さに驚く施設さんも少なくないのではないでしょうか。逆に言えば、クーポンを活用した集客については、まだまだ大きなポテンシャルを残しているとも言えます。
また、一口におでかけクーポンと言っても、色々な種類の特典やサービスのクーポンがあります。では、実際にユーザーに良く利用されているのはどのようなクーポンなのでしょうか。
実際に利用されているクーポンの種類は?

もっとも多く利用されているクーポンは「入場料割引」の45%。クーポン利用経験のあるユーザーの約半数が「入場料割引」のクーポンを利用している事になります。次点が「施設内のアトラクションやサービスの無料クーポン」で20%。次いで「入場料無料」が17%と、「料金がお得になるクーポン」が全体の8割以上を占める結果となりました。
世の中に出回っているおでかけクーポンの種類比が今時点では分からないので、このグラフの比率がそのままクーポン種類のニーズ値ではないとは思いますが、いずれにせよ「ユーザーがクーポンに求めているもの=料金のお得さ」という傾向は、分かりやすく表れていると言えるでしょう。
クーポンが良く利用されている施設の種類は?
続いて、クーポンが良く利用されているおでかけ施設について。一体どのようなジャンルの施設がクーポンを多く利用されているのでしょうか。

「遊園地・テーマパーク」での利用率がもっとも高く、全体の20.1%。そして「室内遊び場」「水族館・植物園」「動物園・サファリパーク・牧場」と続きます。
上位と下位を比べてみると、なんとなく施設への「入場料」として料金がかかる施設が上位に多い気がします。同じように最初に料金を支払う形態でも、チケット料や宿泊料、サービス利用料、体験料のような見え方より、シンプルに「入場料」がお得になるクーポンの方がユーザーに刺さるのでしょうか。
ただ、こちらもクーポン種類のデータと同様に、クーポンを提供している施設ジャンル比のデータが無いので、上記の結果がそのまま「クーポンと施設ジャンルの相性の良さ」とは言い切れませんが、ひとつの参考値として捉えて頂ければと思います。
クーポンを利用しない理由は?
では、逆におでかけクーポンを今まで一度も利用したことがないと答えたユーザーは、なぜ今までクーポンを利用してこなかったのでしょうか。

もっとも多かった答えは「(クーポンを)見つけたこと/探したことがないから」で34%。次点はほぼ差が無く、「遊びにいく施設にクーポンがないから」で32%。クーポンを使ったことがないユーザーの3割以上ですから、決して少なくないボリュームです。
施設さんにもよるのでしょうが、クーポンを出す狙い(成果)として「ユーザーがおでかけ先を選ぶ(決める)際のきっかけ」を期待している施設さんも多いのではないでしょうか。その場合、「お得なクーポンがある。だからこの施設に行こう」というプロセスを想定しているのだと思います。そういった意味では、この「遊びにいく施設にクーポンがないから」が3割を超えるという結果は、非常に興味深いデータです。もう少しだけ掘り下げてみたいと思います。
クーポンを利用するまでのプロセスについて
以下は、実際にクーポンを利用した際の状況について、「クーポン(内容)からおでかけ先を決めた」のか、「おでかけ先を決めてからクーポンを探した」のかを尋ねたものです。

「クーポンからおでかけ先を決める」つまり、「お得に出かけられるクーポンがあるからこの施設に出かけよう」というプロセスのユーザーは全体の2割程度。逆に「おでかけ先は既に決めていて、どうせ行くならクーポンを利用しよう」という「おでかけ先→クーポン探し」のプロセスのユーザーが78%とほぼ8割。
つまり、ユーザーのクーポン利用に関する意識は、「おでかけ先を決めるためのもの」ではなく、「既に決まっているおでかけ先を“よりお得に”楽しむためのもの」になります。そう考えると、「割引」クーポンが「利用数の多いクーポン内容」の大半を占めている事にも頷けます。
逆に考えると、「おでかけ先として選ばれるためのクーポン」を狙っていくのであれば、「いくら(料金)で出来るのか」よりも「何が出来るのか」が重要であり、「新たな体験」や「特別な体験」を提供するようなクーポンをユーザーに訴求する事ではじめて、「クーポンがあるから○○に出かける」のプロセスを生み出す可能性が見えてくるのかもしれません。
どんなクーポンなら利用したい?
それでは、割引などの「お得系クーポン」以外では、一体どのようなクーポンがあればユーザーはその施設に「行ってみたい」と思うのでしょうか。こちらはフリーアンサーの形式で自由に答えてもらいました。
様々な答えが並ぶ中、特に目立っていたのが「お土産・プレゼント」「子供」「飲食」「体験」「優先・延長」の5つのキーワードでした。自由に記載して頂いた内容をおおまかに分類してみた結果が以下のグラフです。

■プレゼント・お土産
グッズ・ノベルティプレゼントやお土産などを貰えるようなクーポンが欲しいと答えた方が全体の24%。特に、その場所ならではの限定グッズやご当地グッズを求める声が多かったのも特徴のひとつです。
(一部抜粋)
- 記念写真や試供品等をプレゼントしてくれるクーポン
- なにか限定グッズがもらえるようなもの
- オリジナルグッズや記念品がもらえると嬉しい
- その施設独特の商品などがもらえるクーポン
- 限定品や名産品のプレゼントクーポン
■子供
「割引」系クーポンはパパ・ママ(のお財布)に対するメリットであり、クーポン利用のニーズが非常に高い一方、「子供自身」に対するメリットを欲する声も多く、全体の18%を占めています。別アンケートで「おでかけ施設を決めるポイント」について聞いた際、もっとも高かった項目が「子供が楽しめるかどうか」だった事を考えると、「子供」に対するメリットをクーポンで提示する事は、「おでかけ先を決める」きっかけになりやすいのではないでしょうか。
(一部抜粋)
- 子供が喜ぶもの。写真プレゼントや動物を抱っことか思い出になる物
- 子供の誕生日のお祝いクーポン
- 子供にお菓子の詰め合わせなど貰えると嬉しい
- 鬼滅の刃など子供が好きなアニメ等のグッズが貰えるクーポン
- 子供に向けてのサプライズクーポンや、特典、プレゼントなとあると良い
■飲食
次点は「飲食」に関するクーポンで14%でした。施設の中に飲食が出来る場所や購入できる設備がある施設に限定されてしまいそうなクーポンですが、今回の回答内容を見てみると、「近くのカフェで」や「周辺の飲食店で」など、おでかけ施設の外にある飲食施設との連携クーポンを欲している声もかなり多いです。
(一部抜粋)
- 食事にデザートが一品ついてくるだけで幸せな気分になる
- アイスクリームやドリンクのプレゼントクーポン
- 近くのカフェと連携して飲み物一杯無料など
- 目的施設以外にも、周辺の施設(飲食店など)も割引があるとお得で使ってみたいと思う
- お食事20%オフ券 消費税分オフはそんなに嬉しくないです
■体験
次は13%で「体験」に関するクーポン。数字こそ突出して高いわけではありませんが、独自性のある、その施設ならではの「体験」を提供出来れば、それこそ「おでかけ先を選ぶ決め手」になるのではないでしょうか。また、それが「子供が楽しめる」体験であれば、なおさらその傾向は強まると思います。
(一部抜粋)
- ハンドメイドを親子で体験できるイベントに参加できるクーポン
- 特別な体験クーポン(普段やってないことを体験できるなど)は嬉しい
- 餌やり体験や動物の体を洗ってあげられるなど
- そのクーポンでしかできない体験 裏側見学など
- クーポン利用者限定のスタンプラリーとか
■優先・延長
最後は「優先」や「延長」に関するクーポンで10%。「優先」は並ばずにアトラクションを楽しめたり、優先的にサービスを利用出来るようなもの。そして「延長」は、規定の時間よりも長くサービスを楽しめるようなクーポンです。いわゆる直接的なお金のお得さではなく、時間や環境のお得さを提供するような形態のクーポンも、それなりにニーズはありそうです。
(一部抜粋)
- 入園ゲートから近い駐車場を確保できるとか地味に嬉しい
- 順番を待たずに優先的に施設を利用できる
- ショーなどの座席が最前列(前の方)になるクーポン
- 時間制限のある施設の延長クーポン
- 並ばずにアトラクションに乗れるファストパスクーポン
以上、割引や無料招待以外のクーポンニーズについてまとめてみました。「割引」や「無料」以外にもニーズの高いクーポンは色々ありそうです。上記以外にも「使えば使うほど安くなるクーポン」や「次回以降にも特典があるとリピートしやすくなる」など、1回の来訪で終わらない「リピートするほどお得になる」クーポンを求める声も散見されました。
おでかけ施設のクーポン活用に関するまとめ
最後に、おでかけ施設のクーポン活用に関するユーザー意向についてまとめてみます。
- 良く利用されているのは「料金がお得になるクーポン」で全体の8割以上を占める
- シンプルに「入場料」がお得になる施設ジャンルのクーポン利用傾向が強い
- 基本的にクーポンは「おでかけ先を決めてから探す(見つける)もの」
- 「クーポンがあるからおでかけ先を決める」ユーザーは全体の2割程度
- 「割引・無料」以外は「子供」「飲食」「体験」「プレゼント」「優先」のニーズが高め
- プレゼントやお土産は「その場所ならでは」の付加価値があるとなお良い
- 施設外(近場)の飲食施設との連携クーポンを望む声も多い
となります。
上記結果を踏まえると、入場料の「割引」クーポンは新規来訪を促すよりも、より「お得」に楽しんでもらい「来場時の満足度」を向上させ、リピート来訪に繋げるために活用する方が良いかもしれません。逆に、クーポンからの新規来訪を狙うのであれば、「子供自身」が楽しめる「特別な体験」や「プレゼント」を提供するようなクーポンが向いていそうです。また、自施設内で完結する魅力的なクーポンが提供出来そうにないのであれば、近場の施設と連携したクーポンにも十分ニーズはあるようです。
貴施設のクーポンを活用した今後の集客戦略を練るにあたり、少しでも参考になれば幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/いこーよおよびいこーよアプリを利用したユーザー462名
調査日程/2020年12月1日~12月31日