コロナウイルス第7波の影響に関する施設アンケート
約3年ぶりの行動制限のない夏休み。今年こそ思い切り遊べる夏が来ると思っていた矢先に発生した新型コロナウイルス第7波。いこーよ総研でも数ヶ月前に第6波の影響についてお伝えしたばかりでした。夏休みやお盆の時期に直撃した「第7波」はおでかけ施設にどれほどの影響を与えたのでしょうか。今回は、「コロナ第7波がおでかけ施設に与えた影響」について、全国115のおでかけ施設に協力していただいたアンケートの結果を紹介します。
アンケート対象施設の規模区分
まず、今回のアンケート対象となった115施設の施設規模(年間来場者数)について。
※コロナウイルスの影響を受けていない時期の来場人数

なお、コロナウイルスの影響度は屋内施設と屋外施設で異なってくると思うので、今回は屋内と屋外に分けて分析していきます。それぞれの年間来場者数は以下の通り。


以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出しています。
第7波による集客状況の変化
早速、第7波が施設の集客にどれほどの影響を与えたのかについて見ていきましょう。
今回は、比較対象として
①感染者数がとても少なかった「第7波直前(2022年5月・6月)」
②オミクロン株により感染が拡大した「第6波時(2022年1月~3月)」
③デルタ株により感染が拡大し、行動制限がなされた「第5波時(2021年7月~9月)」
④コロナ禍になる前
以上の4つの時期と比べてどう変化したのかを尋ねました。
まず、コロナウイルスが流行してから、より影響を受けたであろう「屋内施設」から見てみます。

まず、第7波直前と比較した場合、「少し増えた」と「少し減った」の回答が同程度ありました。同じ屋内施設にもかかわらず、相反する回答が同程度になる理由を分析するため、それぞれの回答をした施設の来場者数との関係を見てみました。

すると、「少し増えた」と回答した施設は年間来場者数が5,000人以下の施設に多く、「少し減った」と回答した施設は5,001人以上の施設が多くあったことがわかりました。つまり、第7波が流行しているとはいえ夏休みなので遊びに出かけた家族は一定数いたが、多くの人が集まるであろう大型施設への訪問は控え気味だったと考えられます。
第6波、第5波と比較した場合は双方似たような割合となり、「かなり増えた」が20%程度、「少し増えた」が35%前後となりました。
第6波は、感染拡大していたものの行動制限はなく、第7波時と同条件。ただし、5~6月という時期と比べると、夏休みということがプラスに働き、来場者数が増えたのでしょう。
一方第5波は、7~9月で同時期ではあるものの、重症化率が高いとされたデルタ株の流行+行動制限ありという、第7波よりは厳しい条件でした。そのこともあってか、第7波最中とはいえ来場者数が増えた施設が多かったと考えられます。
つぎに、屋外施設についても見てみましょう。

まず、第7波直前と比べた場合、「変わらない」という施設がもっとも多くなりました。第7波直前はほとんど通常の土日だったのに対し、第7波時は長期休暇の夏休みやお盆の時期。2つを比較して変わらなかったというのは、この夏の来場者数は実質的には少なかった施設が多いといえるかもしれません。
第6波と比べた場合においても、第7波直前比較と同様に「変わらない」がもっとも多くなりました。前述のとおり、第6波と第7波のコロナによる条件は同等。しかし、こちらも夏休みが重なった第7波時と寒くて屋外施設の利用者が減る時期と重なった第6波では、そもそもの来場者数の違いを鑑みると、実質的には「減った」と捉えている施設が多いのかもしれません。実際、2番目に多かった回答が「かなり増えた」となっているのは、時期の違いから、来場者数が「かなり増えた」と考えられます。
そして、第5波と比べた場合は「かなり増えた」と回答した施設がもっとも多くなりました。やはり、重症化率の高さと行動制限の有無は親子のおでかけに大きく影響を与えていたのでしょう。
また、屋内施設であれ屋外施設であれ、コロナ禍前と比べると「かなり減った」施設が多く、徐々に客足が戻ってきているとはいえ、やはりコロナ禍前ほどの集客には戻りきっていないようです。
第7波による客層の変化
つぎに、客層への影響について、先程と同様、4つの時期と比較して尋ねてみました。
まずは屋内施設の回答から。

どの時期と比較しても「変わらない」と回答した施設がもっとも多くなったものの、2番目に多くなったのは「ファミリー層が増加した」という回答でした。これは第7波が夏休み時期だったことから、直前や第6波よりファミリー層が増えたと考えられます。また、昨年の第5波時と比べて、ファミリー層が増えたというのは集客自体が増えたということではないでしょうか。
また、コロナウイルスが流行してから高齢者や他人に感染させないように、行動するなら家族で、という考えが普及しました。そのこともあって、コロナ禍前と比べるとファミリー層が増えたり、個人客が増えたりしていると考えられます。
屋外施設についても見てみましょう。

屋内施設に比べて「変わらない」の回答率があがったものの、「変わらない」と回答した施設がもっとも多かったという点では同様です。また、ファミリー層が増加したり、個人客が増加したというのも屋内施設と同様の理由かと思います。
コロナ禍前と比較して「団体客が減少した」割合が屋内施設より多くなっているのは、今回回答してくれた施設のうち団体客を受け入れていた施設が屋外のほうが多かったからではないでしょうか。コロナ禍になり学生の修学旅行や団体向けツアーの中止・延期が相次いだことの影響は、今もなお完全に回復したとは言えないようです。
施設の受け入れ人数
最後に、施設の受け入れ人数についても調査しました。一時は、ほとんどの施設が人数制限をおこない受け入れ人数を減らしていましたが、現状はどうなっているのでしょうか。こちらも屋内・屋外に分けて見ていきます。


現状では、屋内屋外ともに4割以上の施設は人数制限をせず、100%の人数で受け入れをしているようです。しかし一方で、屋内施設では5割以上の施設が、屋外施設では約4割の施設が今もなお人数制限をおこなっているとのことでした。そして、現状も50%以下に制限している施設が、屋内の場合15%以上、屋外の場合3%あり、やはり密の生まれやすい屋内施設のほうが、コロナウイルスへのリスクに対してよりシビアに捉えていることがわかります。
では、この数字が第7波による影響なのか分析するため、先程のように「第7波直前」「第6波時」「第5波時」と比較したものを見てみましょう。


すると、これらの時期と比較した場合では受け入れ人数は「変わらない」という施設がもっとも多い結果となりました。
一部の施設では「第6波時」や「第5波時」に比べると受け入れ人数を増やした(人数制限を緩和した)というところもあるようですが、減らした(人数制限を強化した)という施設は少数のようです。
コロナ禍前と比べると、100%の受け入れが出来ていない施設が4~5割あるものの、より猛威を振るう新たなウイルスが現れない限り、今以上に収容人数を制限する施設は少ないのではないでしょうか。
おでかけ施設へのコロナウイルス第7波の影響まとめ
今回は、7月から続いているコロナウイルス第7波がおでかけ施設にどれほどの影響を与えているのかを調査・分析しました。以下、まとめると
- 屋内施設、屋外施設ともに第6波、第5波に比べて集客が増えた施設が多いものの、まだコロナ禍前ほどには回復していない
- 屋内施設、屋外施設ともにファミリー層や個人客が増え、団体客が減少した
- 屋内施設では約半数、屋外施設では約4割の施設が現状でも人数制限をおこなっているが、双方4割以上の施設は100%の割合で受け入れている
- 第5波以降の比較では受け入れ人数に変化はなく、新たな強いウイルスがでない限りは変えないと予想される
という結果でした。
徐々に感染状況が落ち着いてきているとはいえ、まだ第7波の真っ只中。第7波が終わっても、また第8波、第9波が発生する可能性はゼロではありません。しかし、コロナウイルスと共存して生活していくことが受け入れられつつある世の中で、今後さらに強いウイルスが出現しないことを願い、多くのおでかけ施設がコロナ禍前の状況に一刻も早く戻ることを祈るばかりです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/全国115のおでかけ施設
調査日程/2022年8月23日~8月31日