第7波~第8波時期のお出かけ・宿泊施設の集客状況に関するアンケート

夏休み時期には第7波、秋以降は全国旅行支援などのレジャー促進施策の実施、11月頃からは第8波とも言われる新規感染者の増加など、お出かけ市場の状況が大きく変化しています。そこで今回は「第7波~第8波の集客状況」について全国96のおでかけ・宿泊施設などに聞いたアンケート結果を紹介いたします。

目次

アンケート回答施設の概要

第7波後も、集客状況はコロナ前のレベルに未だ回復していない

予想、目標値と比べても「悪い」と回答している施設が6割

コロナ前と比べると団体客、外国人客の減少の回復が遅れている

マスクをしない人の増加、混雑を気にしないなどのお客様の意識変化も

まとめ

アンケート回答施設の概要

以下は、今回のアンケート対象となった96施設の概要です。
※【施設規模】については、コロナウイルスの影響を受けていない時期の来場人数

【地域】

【施設規模】

 

【施設ジャンル】

第7波後も、集客状況はコロナ前のレベルに未だ回復していない

2022年の夏は第7波の到来はあったものの、コロナ禍以降では初めて行動制限を伴わない夏休みでした。まずは、2022年7~8月の第7波時の集客状況について聞いた結果がこちらです。

第7波はコロナ前の2019年の同時期と比べて「かなり悪かった」と回答した施設が4割、「少し悪かった」が3割と合計で7割もの施設の集客がコロナ前のレベルには戻っていないということがわかりました。

次に、現在の2022年11月~12月の集客状況をコロナ前の2019年の同時期と比べて聞いた結果です。

こちらでも、「かなり悪い」と「少し悪い」の合計が54%と半数以上となっており、現在でも集客状況が戻ってきていない状況となっています。

上記の、コロナ前の2019年の同時期と比較した第7波と現在の集客状況を一つのグラフにして比較してみました。

前述のように、現在でもコロナ前の集客の状況にまでは戻ってきていない状況ではありますが、このグラフをみると、7~8月の第7波の時と比べると現在の11月~12月ではやや改善してきていることがわかります。

予想、目標値と比べても「悪い」と回答している施設が6割

現在の状況は、ある程度想定内の範囲なのか、それとも予想以上に悪い状況なのかを聞いてみました。

「予想や目標よりもかなり悪い」が19%、「少し悪い」が39%と合わせて約6割が当初の予想や目標よりも悪いと回答しており、当初の予想以上に集客が悪い状況であることが見受けられます。

コロナ前と比べると団体客、外国人客の減少の回復が遅れている

それでは、客層についてはどうでしょうか。

コロナ前の2019年と比べて、現在の客層に変化があるかどうかを聞きました。

グラフのとおり、どの客層に関しても、増加したという割合よりも減少したという割合の方が多く、特に「団体」が減少したまま回復していないことがわかります。

また、「外国人客」の減少もいまだ大きいです。10月から外国からの帰国・入国規制が緩和され、外国人観光客が来日しやすい状況になってきたとはいえ、最近までゼロコロナ政策を続けていた中国からの観光客がまだそれほど多く来ていないことが影響していると思われます。

一方、増加したという客層の中では「ファミリー層」が最も多く、お出かけは子どもの様々な成長を刺激する機会という視点で見ると、子どもたちのお出かけや様々な体験の機会が増えてきていることは喜ばしいと言えるでしょう。

マスクをしない人の増加、混雑を気にしないなどのお客様の意識変化も

第7波が収束して以降、来場するお客様のニーズや行動での変化などが見られるのかを聞いた結果がこちらです。

第7波以前のコロナ禍と比べて現在のお客様のニーズや行動に違いを「感じる」という施設は56%と6割近くになりました。

具体的にどのような違いを感じるかを自由回答で聞いたところ、「マスクをしない人が増えた」、「混雑(密)状態を気にする方が減った」、「消毒など感染対策に敏感な方が減った」など、新型コロナ対策に関する意識について変化を感じているという回答が多くあげられました。

マスクをしない人が増えた

  • マスク会食をお願いしていますが、外したままの方が増えました<レストラン・カフェ、ショップ、商業施設/1,000人未満>
  • マスクをしていない人が増えた<レストラン・カフェ、ショップ、商業施設/わからない>
  • マスクをしてない、しないことを希望する人が増えた<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/1,000~5,000人未満>
  • マスクをしていない人が増えた<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/1万~5万人未満>
  • マスクの非着用者の増加<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/50万~100万人未満>
  • マスクをしていない人が増えた<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/10万~50万人未満>
  • マスクをしてこない人が増えた<スポーツ関連施設/1,000人未満>
  • 屋外施設中心なので、マスク着用率が減少した<テーマパーク、遊園地/5万~10万人未満>
  • マスク着用について、あくまで施設等での入館条件として提示しているため従っているが、施設を出るとすぐに外してしまう方(特に大人)が多いように見受けられる<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/10万~50万人未満>
  • 黙食やマスクをしている人が減少している印象<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/1万~5万人未満>
  • マスクをしたくないという希望が高まる<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/1万~5万人未満>
  • 屋外でマスクを着用しない人が増えた<テーマパーク、遊園地/10万~50万人未満>
  • 屋外でマスクをしない人が見受けられる<レストラン・カフェ、ショップ、商業施設/5,000~1万人未満>
  • ノーマスクが増えた<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/10万~50万人未満>
  • 店内以外でマスクを外してる人が多くなった<体験施設/1,000~5,000人未満>
  • マスクをしていても、しなくてもどちらでもOKな人が増えている<プール、スキー場、スケート場などのシーズンレジャー関連/1,000人未満>
  • マスクを外して会話する客が増えた<体験施設/1,000~5,000人未満>

混雑(密)状態を気にする方が減った

  • 密に対しての警戒心の減少<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/50万~100万人未満>
  • イベントなど人が集まる催しを避けなくなってきている<レストラン・カフェ、ショップ、商業施設/100万~500万人未満>
  • お店が混んでいても気にされている方が少なくなったように感じる<レストラン・カフェ、ショップ、商業施設/わからない>
  • ソーシャルディスタンスを気にしなくなってきている<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/10万~50万人未満>
  • 3密の意識低下<テーマパーク、遊園地/50万~100万人未満>
  • 混雑していても気にしない方が増えていると思います<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/1万~5万人未満>
  • 人数を気にする人が減った。<兵庫県の公共施設/わからない>
  • 混雑時に抵抗感を感じる人が減った<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/5万~10万人未満>
  • 座席の間隔を空けての案内にご不満の声あり<プラネタリウム施設/1万~5万人未満>
  • 人混みを気にしない人が増えた<テーマパーク、遊園地/5万~10万人未満>
  • 他の方との距離を取ることを比較的気にしないお客様が増えているように感じます<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/5万~10万人未満>

消毒など感染対策に敏感な方が減った

  • 手指消毒をする人が減少したようだ<体験施設/1,000人未満>
  • アクリルパネルを希望する方が減った。体温を気にする人が減った<兵庫県の公共施設/わからない>
  • 感染予防対策をしないお客が増えた。手洗いをきちんとしない、手指消毒をしない<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/10万~50万人未満>
  • 感染症対策に敏感な方は減った<スポーツ関連施設/1,000~5,000人未満>

行動制限がないため、来場者が増えた(来場意欲の向上)

  • 対策をとりながらも行動しようという感覚が高くなった<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/5,000~1万人未満>
  • マスクの非着用者の増加、密に対しての警戒心の減少、学校団体を中心する団体の増加など<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/50万~100万人未満>
  • 政府より行動制限が無いためかマスク等、感染対策のうえで来館されるお客様が増えたように感じます<道の駅/1万~5万人未満>
  • 2020年に比較すると、自粛する傾向そのものが希薄に感じます<プール、スキー場、スケート場などのシーズンレジャー関連/5万~10万人未満>

屋内やイートインスペースの利用が増えた

  • イートインスペースの利用増<テーマパーク、遊園地/50万~100万人未満>
  • 屋内にとどまる人が増えた<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/10万~50万人未満>
  • 以前より室内での抵抗がない<体験施設/1,000人未満>

第8波に対しても、今まで通りのコロナ対策を継続

年末に向けて、全国的に新型コロナの新規感染者の増加の傾向が見られますが、今後新たに対策等をするものがあるかを聞いたところ、これまでと同じく、できるコロナ対策を引き続きやっていくという回答が多くあげられました。

今まで通りの対策を続ける】

  • 引き続き対策徹底<体験施設/1,000人未満>
  • 引き続き、入店時の手洗いや消毒設置を続けていく予定です<レストラン・カフェ、ショップ、商業施設/わからない>
  • 今まで通りの対策を徹底する<環境情報発信拠点/1,000~5,000人未満>
  • 対策については、新しいことではなく、これまで取り組み、積み重ねてきたことを継続する<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/5,000~1万人未満>
  • 社内への啓蒙を改めて実施(コロナ禍に入ってからずっと実施し続けていることの再啓蒙)<温泉・銭湯、宿泊施設/5万~10万人未満>
  • 基本方針の継続<鉄道模型運転場/1,000人未満>
  • 最初から対策は緩めてない。当県の発生が二桁になるまで緩める気はない<スポーツ関連施設/1,000人未満>
  • 基本対策は継続するが制限などは解除の方向<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/5万~10万人未満>
  • 今までの対策を継続していく<体験施設/1,000~5,000人未満>
  • 現在の対策を継続するのみ<プラネタリウム施設/1万~5万人未満>
  • 変化なく販促は実施予定です<テーマパーク、遊園地/10万~50万人未満>
  • 引き続き基本的な感染対策を行う<プール、スキー場、スケート場などのシーズンレジャー関連/10万~50万人未満>
  • これまで同様の対策で対応する予定です<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/5万~10万人未満>

換気や消毒など感染対策の徹底

  • マスク着用、アルコール消毒の徹底<観光案内所/5,000~1万人未満>
  • 施設内アルコール拭布の徹底。入館時、手指のアルコール消毒の徹底<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/1,000人未満>
  • 換気をこまめにする<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/1,000~5,000人未満>
  • こまめな換気<スポーツ関連施設/1,000~5,000人未満>
  • 業務関係者の体調管理と入場時の手指消毒を基本とし、利用人数を把握すること、人数によって換気したり、部屋を移動してもらうなどの対策を実施している<図書館、自習室/わからない>
  • マスク着用の継続、職員のワクチン接種を推奨<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/10万~50万人未満>
  • 共同部分の消毒の徹底、掃除<プール、スキー場、スケート場などのシーズンレジャー関連/1,000人未満>
  • 従業員の感染対策の徹底<テーマパーク、遊園地/5万~10万人未満>
  • 換気、館内施設や来館者の手指等の消毒<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/5万~10万人未満>

システムやフローの変更等

  • 予約システムにて予約リソースを細かく利用出来るように変更した<キャンプ場、バーベキュー、釣り、公園などのアウトドア関連/1万~5万人未満>
  • 少ない人数で営業できる様、セルフで完了するサービス・商品の打ち出しや検討<プール、スキー場、スケート場などのシーズンレジャー関連/5万~10万人未満>
  • 入館カードの復活<博物館、科学館、植物園、美術館、工場見学、社会見学などの学び関連/1万~5万人未満>

その他

  • イベントの形態を変えて行こうかと思ってます。農園座禅とか、農業者向けとか<体験施設/1,000~5,000人未満>
  • 料金値上げ<スポーツ関連施設/1,000~5,000人未満>
  • web広告を増やして、近場の方の集客をしていきたいと考えています<テーマパーク、遊園地/1万~5万人未満>
  • 警戒しているものの具体的な準備はしていない<動物園、サファリパーク、牧場、水族館などの生き物関連/50万~100万人未満>

まとめ

今回、回答いただいた多くの施設では、第7波時も現在も、2019年のコロナ以前のレベルにまでは集客が戻ってなく、予想値や目標値と比べても低いということがわかりました。

その要因の一つとして、団体客や外国人客の来場が戻っていないことがあげられます。

しかし、現在来場しているお客様の意識や行動に変化を感じるという施設も6割弱と多く見られ、マスクをしないお客様が増えた、混雑(密)状態を気にする方が減ったという意見が多くあがっています。

今年の年末年始は夏に引き続き、行動制限を伴わない冬休みとなり、3年ぶりに年末年始のイベントを開催するといったニュースなども報じられています。また、中国のゼロコロナ対策の緩和などにより、今後観光市場に大きな変化をもたらすことが予測されます。

今後、お出かけ市場が順調に回復していくことを期待しています。

 

※ユーザーに聞いた市況レポート2022年12月公開分(11・12月分データ)「年末年始は帰省予定が増加、室内あそび場の人気復活」も合わせてご覧ください。

調査方法/インターネットアンケート
調査地域/全国
調査対象/全国96のおでかけ施設、宿泊施設
調査日程/2022年11月22日~12月2日
調査分析/いこーよ総研