新サービス提供と合わせた料金改定により客単価が倍になった施策事例

おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、「キウイフルーツカントリーJAPAN」さんの「新サービスの提供により客単価が約2倍に増加」した事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。

目次

施設:今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

状況:入園料が原価割れし、客単価も伸び悩み

課題:悪印象を与えない値上げの方法

施策:サービス付加により満足度を上げる

工夫:“値上げ”ではなく“新サービスの価格”という意識を持ってもらう

成果:客単価が2倍近く増加

今後:客単価をさらに向上させる

【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

キウイフルーツカントリーJAPAN

キウイフルーツカントリーJAPANの内観
キウイフルーツカントリーJAPAN内観

静岡県掛川市にあるキウイフルーツカントリーJAPANは、世界中から80種類ものキウイフルーツが集められ、一年中「食べ放題」が楽しめる観光農園です。バーベキューのほか、どんぐりのこみちや、冒険の森、ウォークラリー、自然のままで遊べるわんぱく体験や、ひつじやうさぎなどの動物たちとのふれあいなど、さまざまな体験を楽しむ事ができます。

【状況】入園料が原価割れし、客単価も伸び悩み

Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?

当農園は入園料をお支払いいただいてキウイの食べ放題を楽しんでいただいています。入園料は、お客様の食べられる量などをある程度予測し、逆算して設定していました。

しかし、実際にお客様が食べているキウイの数や原価をしっかりと数値化してみると、実は原価割れを起こしている事に気付いたんです。カフェを2018年にオープンしましたが、売れてはいるものの、大きく客単価を伸ばすところまではいかない、という状況でした。

【課題】悪印象を与えない値上げの方法

Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?

2年前に入園料の見直しをおこないました。原価割れしているわけですから、入園料を上げる必要があるのですが、単純に「値上げ」となると、お客様からしたら、今まで同じサービスをもっと安い価格で受ける事ができていたために悪印象になることが多く、悪い口コミ評価がつくこともあります。悪印象を持たれないように値上げをするにはどうするべきか、というのが課題でした。

【施策】サービス付加により満足度を上げる

Q:今回、実施された施策内容について詳細を教えてください。

入園料が1,080円だったのを1,300円に上げました。

ただ、提供するサービスそのままで値上げをするのではなく、キウイのジャムを使ったロシアンティーをお出しする事にしました。当農園ならではのサービスを追加する事にしたんです。ちなみにキウイのジャムはスタッフの英会話教室(記事はこちら)でアイデアが出たものです。

また、2018年にカフェをオープンし、少しずつメニューも充実させていきました。最初はキウイのスムージーやサイダー、サワーなどの提供がメインでした。そこから、近隣の醸造所と提携して作ったキウイのビール、牧場と提携して作ったキウイのアイスなど、地域の方々と協力して作ったもの、トマトをキウイに変更したハンバーガーなど、「ここでしか味わえないもの」「ここで初めて知るもの」のラインナップを増やしていきました。また、カフェ事業を通じてキウイの使い方を模索する中で、キウイの新しい価値を見出すきっかけになり、お客様にもキウイの新しい良さを伝えられる機会に繋がりました。

【工夫】“値上げ”ではなく“新サービスの価格”という意識を持ってもらう

Q:この施策を実施するにあたり、工夫したことはありますか?

前述した通り、「単純な値上げ」にならないようにした事です。施設運営をしている以上、値上げせざるを得ない状況は設備費が上がったりした際に発生してしまうと思います。お客様も、値上げの理由が分かっていれば、ある程度納得してくれる事がほとんどだと思いますが、「今までできていたことが同じ金額ではできなくなった」という事実は、多少なりとモヤモヤと残ってしまうでしょう。

そうした際、今までなかった要素をプラスする事によって満足度が上がり、「今までと同じサービスが値上げになった」ではなく「新しいサービスの価格になった」という意識になっていただけるのではないかと思います。

同様にカフェでも定番メニューのほか、ハンバーガーやトルティーヤなど、キウイフルーツの新しい食べ方の提案となるようなメニューを増やし、「キウイフルーツが食べ放題の場所」から「新たな体験ができる場所、新鮮な経験ができる場所」となるようにしていきました。

【成果】客単価が2倍近く増加

Q:この施策を実施したことによる、具体的な成果について教えてください。

それまで1,500円ちょっとだった客単価が、現在では2,500円を超えるようになりました。入園料の上げ幅は220円でしたが、カフェメニューの充実などにより、客単価が一気に伸びました。お客様自身の認識が、前述したような「キウイフルーツが食べ放題の場所」から「新たな体験ができる場所、新鮮な経験ができる場所」へと変わっていってくれたからだと思います。

また、キウイの新しい食べ方の提案が、よりキウイの販売力の増加に繋がっていると感じます。

【今後】客単価をさらに向上させる

Q:今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?

新規集客も大切ですが、果物は数に限りがあるため、さらなる客単価の向上を目指していきたいと思っています。特にお土産の売上を上げたいと思い、商品の並べ方や表示の仕方なども勉強して、少しずつ成果が表れ始めてきたところです。