「宝くじ」を使った、閑散期のリピート来館頻度増加に関する施策事例

おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、天然温泉施設「ゆの郷」さんの「リピーター増加」に関する事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。

目次

施設:今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

状況:様々なリピーター獲得施策を模索

課題:「お得感」にどう「ワクワク感」を組み合わせるか

施策:計5回の抽選がある宝くじを配布

工夫:管理に手間がかかっても、なるべく多くの当たりが出るように

成果:実数はとれていないがリピーター割合・来館頻度が確実に増加

今後:この施策をベースに、都度ニーズに合った施策を検討

【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

天然温泉 ゆの郷 Spa Nusa Dua

天然温泉ゆの郷Spa Nusa Dua外観
天然温泉 ゆの郷 Spa Nusa Dua 外観

埼玉県川口市にある、ショーやイベントなど盛りだくさんの天然温泉施設。天然温泉は「美人の湯」と称されるほど泉質は抜群。温泉のほか、リラクゼーション、スパ、フィットネス、レストラン、くつろぎスペースなどもあり、家族でのんびりできる施設です。

【状況】様々なリピーター獲得施策を模索

Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?

どこの施設さんもそうだと思いますが、特に閑散期に「何度も来ていただけるリピーター」を増やすための施策をいろいろ考えては実行する、ということを繰り返していました。

【課題】「お得感」にどう「ワクワク感」を組み合わせるか

Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?

もともとリピーターは多い状況ではあったのですが、「その再訪サイクルをいかに短くできるか?」ということを課題と捉えていました。

何かしらのキャンペーンを実施するにしても、どんなキャンペーン内容がより刺さるのかを模索していましたね。割引や招待券を提供し、いわゆる「お得感」だけの施策を実行しても、本当の意味でのリピーターの獲得にはならないと考えていたので、施策自体の「楽しさ」や「ワクワク感」をどう組み合わせていくか、が大事だと思っています。

また、その期間が短すぎてもダメですし、逆に長すぎてもいけない。その最適な期間はどこにあたるのか、ということを徹底的に考えました。

【施策】計5回の抽選がある宝くじを配布

Q:実施内容について詳細を教えてください。

入館料や館内での飲食などのお買い上げ時に「宝くじ」をお渡ししました。通常、宝くじって当選番号が発表される日が〇日と決まっていて、番号が揃った人に〇〇をプレゼント、というものですよね。ゆの郷で実施した宝くじは、当選日が1週間に1回×5週間、つまり同じ番号で5回抽選される形のものにしました。

番号が当選したらその次の発表日までの間が商品引き換え期間になり、当たっているかどうかのワクワク感を計5回味わえるようにしました。

宝くじイメージ
実際の宝くじのイメージ

【工夫】管理に手間がかかっても、なるべく多くの当たりが出るように

Q:宝くじ施策を実施するにあたり、工夫したことはありますか?

当たるか当たらないかのワクワク感があっても、やっぱりなにかしら当たらないと楽しさは半減してしまうというか、少しガッカリしてしまいますよね。お客様が「私、宝くじたくさん持ってるけど何も当たらなかった」となってしまうのが嫌だったので、1回から5回までのすべての当たり番号を把握して、できるだけ当選番号がバラバラになるように調整しました。

たとえば、宝くじを10枚持っていたらそのうち3枚は5回の抽選のうちに、下2ケタは当たっているようにしました。実際には大当たり・中当たりの番号も含まれているので、下2ケタはあってるけど百の位が違っていたなど、「おしい!」と思ってしまうものにしています。

番号の管理・調整は大変でしたがやって良かったと思っています。

【成果】実数はとれていないがリピーター割合・来館頻度が確実に増加

Q:宝くじ施策を実施したことによる、具体的な成果について教えてください。

当施設は会員制ではないので明確な実数はとれていないのですが、期間中に来館されたお客様のお顔を見ていると、リピーター割合や来館頻度はかなり上がったと実感しています。

「当選番号が当たっているか見てほしい」というお客様が多くなってしまうと、スタッフの負担が増えてしまうかもしれないとも思ったのですが、ほとんどのお客様がワクワクした素振りでご自身で当選番号を照らし合わせている様子を見ていると、当たり商品が目的というより、「宝くじ」というイベント自体を心から楽しんでいらっしゃるのかなと感じました。

実際、お客様からも「宝くじが当たることが目的というより、当たるか当たらないかで次回こそは!と思って来ちゃう」とお言葉をいただいたりも。

実はこの宝くじ施策、当選番号発表の周期を2週間、10日間、1週間、1日と、いろいろ試してみました。結果、一番効果を実感できたのが1週間でした。また、宝くじの当選発表回数も5回だけでなく何パターンか試してみましたが、これも5回(5週間)がベストでした。

回数が少なすぎると単発で終わってしまう、回数を多くすると次回の当たる確率と期待感は確実にが増えますが、ダラダラとなってしまうのも良くないなと思っています。この当たり設定は各施設の来館頻度の状況によって違うと思います。月に一度来てもらえれば良い施設、2週間に1度でもありがたい施設など、そのお店の特徴に合わせると良いかと思います。

Q:もともと想定していなかった成果などはありましたか?

まったく想定していなかったというわけではないのですが、宝くじの進呈を「2,000円につき1枚」という形で実施していたので、お食事等で「あと数百円でもう1枚もらえるから1品追加」といったオーダーをいただくことも多く、付帯の売上が増加しました。また、お店に来て頂く回数も増え、お客様にとってのホーム施設にして下さった方も増えました。

館内のリラクゼーション施設などのテナントさんにもこの施策に参加いただいてたのですが、テナントさんでも同様のことがあったと聞いています。

【今後】この施策をベースに、都度ニーズに合った施策を検討

Q:この施策の成果を受けて、今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?

閑散期にこの「宝くじ」という施策に関して、当選回数や方法などをいろいろ試し、現在は「1週間に1度の当選発表×5回」というのがベストな形だと思っています。コロナ以前に、イベントを1日だけやった時、その日だけの当選番号をつくったこともありましたが、その際も大きな効果が出ました。

いずれにしても、最善策は不変ではなく状況次第で変わっていくものだと思っているので、「この形がベストだから」と同じやり方に固執するのではなく、その時その時でできる限りお客様が最大限満足できる方法を考えながらブラッシュアップしていきたいと思っています。