おでかけ施設のイベント開催・運営状況に関する施設アンケート
施設内に常設されたアトラクションや遊戯設備とは別に、展示会やショー、参加型の体験企画、ワークショップなど、おでかけ施設内で開催されるイベントもまた、施設の大きな魅力のひとつです。定期的に開催されるイベントもあれば、常に実施されている常設イベント、特定の時期だけ開催される期間限定イベントなど、タイプも規模も様々ではありますが、多くのおでかけ施設がなんらかのイベント企画を過去に実施された経験があるのではないでしょうか。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国150のおでかけ施設の回答から、「おでかけ施設のイベント開催・運営状況」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。
アンケート対象施設の規模区分
まず、今回のアンケート対象となった150施設の施設規模(年間来場者数)について。

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が53%。50,001人以上の施設が40%(分からない7%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出されている事を前提にご覧いただければと思います。ちなみに、「屋外施設」「屋内施設」の割合は「屋外」が41%、「屋内」が59%となります。
施設内でのイベント実施経験の有無
規模の差こそあれ、多くの施設さんがなんらかのイベントを開催されているかと思います。まずは、各おでかけ施設での「イベント開催実績の有無」から聞いてみました。

「施設内でイベントを開催した事がある」と答えた施設さんは全体の80%。実施実績のない施設さんが20%という結果の通り、多くのおでかけ施設が既に施設内でイベントを開催されているとの事です。
ちなみに年間来訪者数「50,001人以上」の施設に絞ると「ある」82%、「50,000人以下」の施設は77%と、施設規模による差はそこまで大きくありません。また、屋内・屋外で比較してみると、「屋外施設」74%、「屋内施設」84%と、イベント開催実績は「屋内施設」の方が少し多い傾向があるようです。
おでかけ施設が開催しているイベント種別
多くのおでかけ施設がイベントを開催されている事は分かりましたが、おでかけ施設では一体どのような内容のイベントが多く開催されているのでしょうか。続いてイベントの種別について聞いてみました。まずは年間来場者数50,001人以上の施設から。

もっとも多かったのは「鑑賞型のショーイベント」で27%。次点は「参加型ワークショップ」で25%。少し間を開けて「周遊系イベント」「展示系イベント」ともに12%と続きます。
お次は、少し規模の小さな年間来場者数50,000人以下の施設の場合。施設規模で開催イベント種別の傾向は変わるのでしょうか。

こちらは「参加型ワークショップ」がもっとも多く39%。続いて「参加型体験イベント」32%となり、この2つのタイプのイベントが全体の7割以上を占めています。
おでかけ施設で実施されるイベント種別の傾向としては、まず施設規模に関係なく、「ワークショップ」系のイベントが多く、施設規模が大きいと「鑑賞型ショーイベント」、施設規模が小さいと「参加型体験イベント」が多くなる傾向が見てとれます。他施設がどんなイベントを実施しているのか気になっている施設さんは、ひとつ参考にされてみてはいかがでしょうか。
イベント開催・運営は自社?他社委託?
イベントをひとつ開催するとなれば、運営や管理はもちろん、ブースを作ったり人を配置したりと、やらなければならない事がたくさんあります。では、イベントを実施している施設さんは、どのようにしてイベントを作り運営されているのでしょうか。
お次は、イベント開催・運営の外部委託状況について聞いてみました。こちらも施設規模に分けて結果を紹介させて頂きます。まずは年間来訪者数50,001人以上の施設から。

「自社開催と外部委託」の併用が53%、「すべて自社開催」が47%という結果となりました。もちろんイベント規模にもよるのでしょうが、自社開催の割合が比較的高い印象です。皆さん限られた人員(社内)の中で様々なイベントを開催されているのかと思うと頭が下がります。
続いて、50,000人以下のおでかけ施設の結果を見てみましょう。

こちらはさらに「すべて自社開催」の割合が大きく増加し75%に。「自社開催と外部委託」が23%、ごく少数ではありますが「すべて外部委託」が2%います。やはり施設規模が小さくなると「自社開催」の比率が上がりますね。
大人のイベント参加費用について
さて、お次はイベントの参加費用について。こちらは施設入場料の有無と併せて聞いてみました。また、「大人」「子供」でもイベント参加費が変わってくる可能性がありますので、大人・子供も分けて結果を見てみます。まずは「大人」から。

施設入場料が「有料」でイベント参加費も「有料」の施設は全体の13%。入場料「有料」でイベント「無料」が26%。逆に、入場料は「無料」でイベント参加費が「有料」は31%ともっとも多く、入場料「無料」イベント参加費も「無料」が25%となりました。割とばらけた結果ではありますが、入場料、イベント参加費、いずれかが「有料」というパターンが上位を占める結果となっています。
では、大人のイベント参加費がかかる場合、どのくらいの料金設定が多いのででしょうか。

大人1名の参加費は「301円~500円」が18%、「501円~1,000円」が27%、「1,001円~2,000円」が27%、そして「2,001円~3,000円」が18%となりました。こちらもばらけた結果ではありますが、強いて言うならボリュームゾーンは「1,001円~2,000円」となっています。
子供のイベント参加費用について
一方、「子供」の場合はどうでしょうか。「大人」との差異はあるのでしょうか。

入場料とイベント参加費の相関では、「大人」とあまり変わらない結果となりました。差異があるとすれば、「子供」の方が入場料「無料」×イベント参加費「無料」の比率が「大人」に比べて少し高めに出ているくらいでしょうか。
続いて、子供のイベント参加が有料の場合の料金設定について。

こちらは「大人」と比べるとやはり「500円以下」の割合がだいぶ増えています。全体でみると「大人」より安い料金設定にはなっていますが、逆に「子供」の参加費が1,000円以上かかると答えた施設さんが43%もいます。イベントの子供参加費による客単価への影響はなかなか侮れませんね。
おでかけ施設がイベントを開催する目的
前項にて、イベント参加費が客単価増に大きく影響しそうという話をしましたが、そもそも施設さんは何を目的にイベントを開催しているのでしょうか。

もっとも多かった回答が「子供の満足度向上」25%、続いて「新規集客」23%、そして「その他」22%と続きます。「子供の満足度向上」は結果的に「リピート集客」に繋がる事(※1)を考えると、おでかけ施設がイベントを開催する目的は、満足度向上によるリピート集客とイベントの話題性による新規集客の2点が大きく、「客単価向上」や「会員獲得」を目的としている施設さんは少ないようです。
※1 新規・リピートのおでかけ先を決める際の判断材料について
1イベントでの規模(参加人数)について
続いて、おでかけ施設が開催しているイベントの規模について。どのくらいの規模(参加人数)のイベントが多いのか、施設規模別で比べてみましょう。まずは年間来場者数50,001人以上の施設から。

1回のイベント参加人数は「501人以上」が37%、「101人~500人」が25%と、「101人以上」の大型イベントが全体の62%を占める結果に。やはり施設規模とイベント規模はある程度比例するという事でしょうか。
続いて年間来場者数50,000人以下の施設の場合を見てみましょう。

だいぶ構成比に変化があります。もっとも大きなボリュームゾーンは「11人~30人」で30%。次点が「31人~50人」の17%。大規模施設と比べると、イベント規模もかなり縮小されています。
成功したと感じているイベント内容
続いて、施設さんが今までに実施したイベントの中で「成功した」と感じたイベントの内容について、フリーアンサーで答えてもらいました。回答の中で、特に目についたテーマやワードに関係する回答を抜粋し、いくつか紹介させて頂きます。
- 【夏休み・自由研究】
- 手作り教室です。夏休みの自由研究の作成援助として重宝されました
- 夏休みイベント。小学生は参加型(支援団体による手仕事など)大人は企画展の話題に沿った講演会など
- 夏休みの自由研究にそのまま使える子供参加型のイベント
- 【キャラクターショー】
- 体験型のキャラクターショーで集客がアップした
- 大型連休以外の休日にキャラクターショー。大きな集客の見込めない普通の土日だとインパクトがあり集客につながった
- キャラクターショーの開催。GWの恒例開催で子供に大人気で集客力が大きい
- 【ゲーム】
- ゲームに参加して通貨を獲得。通貨を使って買い物ができ好きな景品をゲット出来るイベントを無料で開催
- スタンプラリーイベントを実施するとお客様の滞在時間が長くなります
- 宝探しゲームイベントはお子様がとても喜んで参加してくれます
- 【飲食・マルシェ】
- お菓子フェア。県内の和洋菓子店が出店、お客様も地元発見に繋がり出店者も元店への誘客きっかけに。主催側も集客に繋がり3者メリットのある企画に育った
- ハンドメイド市・マルシェイベントで来園者数が増えた
- マルシェ(飲食店中心)は成功したイベント事例のひとつです
- 【コンサート】
- 地元出身声優やアニソンシンガーを招聘しての総合ポップカルチャーイベント
- 施設内レストランステージにて吉本新喜劇を開催。老若男女で楽しめるイベントでファミリーを中心に幅広い年齢で喜ばれた
- 魂の音楽祭マブイオト。アコーディオニストcoba主催の音楽祭
イベント実施の際の告知方法について
お次は、イベントの告知方法について聞いてみました。どれだけ素晴らしいイベントを作っても、ユーザーに知って貰えなければ意味がありません。施設の皆さんはどのような方法でイベント告知をおこなっているのでしょうか。

イベントを実施している施設さんの大半(7割以上)は「施設内のチラシやポスター」「公式サイト」「公式SNS」を活用しているようです。さらに半数近くの施設では広告活用も併用しながら告知されています。最低限、自施設内や自社メディアを活用しつつ、一部外部メディアや広告を利用するパターンが、おでかけ施設のイベント告知のスタンダードのようです。
成功したと感じているイベント告知方法
上記の通り、様々な手法で告知をおこなっているおでかけ施設ですが、その中でも特に成功したと感じたイベント告知方法について、フリーアンサーで答えてもらいました。
圧倒的に多かったのが「SNS」を活用した告知による成果。特にインスタ活用での成果を実感されている施設さんが多いようです。以前、効果的なプロモーション手法について聞いたアンケート(※2)でも、施設側の満足度が特に高かったのが「SNS」でした。
また、「SNS」に次いで多かったのが「地元」への紙告知によるプロモーション成果でした。地域情報誌や広報紙の活用、さらに地元の小学校や幼稚園・保育園へのちらし配布などが大きな成果に繋がっているとの事です。
おでかけ施設のイベント開催に関するまとめ
- 「施設内でイベントを開催した事がある」と答えた施設さんは全体の80%
- 屋内・屋外で比較してみると、イベント開催実績は「屋内施設」の方が少し多い傾向
- 大規模施設は「ワークショップ」系イベントと「鑑賞型ショーイベント」が多い
- 小中規模施設は「ワークショップ」系イベントと「参加型体験イベント」が多い
- 大規模施設は「自社開催と外部委託」が53%「すべて自社開催」が47%とほぼ半々
- 小中規模施設は「すべて自社開催」75%「自社開催と外部委託」23%と自社開催率増加
- 大人1人あたりのイベント参加費のボリュームゾーンは「1,001円~2,000円」
- 子供1人あたりのイベント参加費は「大人」と比べて「500円以下」の割合が増える
- 子供1人あたりのイベント参加費が「1,000円以上」かかると答えた施設さんは全体の43%
- おでかけ施設がイベントを開催する目的は「子供の満足度向上」が25%「新規集客」23%
- 大規模施設の1回のイベント参加人数は「101人以上」が全体の62%を占める結果に
- 小中規模施設は「11人~30人」がもっとも多く30%。次点が「31人~50人」の17%
- 成功イベントに多かったワードは【自由研究】【キャラクター】【ゲーム】【マルシェ】
- 施設の7割以上がイベント告知に「チラシやポスター」「公式サイト」「公式SNS」活用
- 自社メディアは活用しつつ、一部外部メディアや広告を利用するパターンがスタンダード
- 成果を実感した告知方法として多かったのが「SNS」告知による成果。特にインスタ
- 「地元」への紙告知によるプロモーション成果も高い。小学校や幼稚園へのちらし配布等
という事で、今回はおでかけ施設のイベント開催・運営状況に関するアンケート結果について紹介させて頂きました。個人的に、「イベント開催」は何よりも「顧客単価増」を狙う施策として効果的では?と捉えていたのですが、施設側の目的として実はそこはあまり重要でなく、どちらかといえば「新規集客」や「満足度向上(特に子供)によるリピート集客」の狙いが強いようです。他にも、他施設でのイベント単価や成果の出ている告知方法など、参考になるデータもあったのではないでしょうか。
今回のアンケート結果を貴施設の今後の「イベント開催・運営戦略」に少しでも役立てて頂けますと幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/全国150のおでかけ施設
調査日程/2021年4月15日~4月23日