学びの場を提供した事により、スタッフの自発性や意識が向上した施策事例

おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、「キウイフルーツカントリーJAPAN」さんの「学びの場を提供したことにより、スタッフのモチベーションが向上した」ことに関する事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。

目次

施設:今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

状況:インバウンド客の増加と対応スタッフの属人化

課題:スタッフに学びの場をどう提供するか

施策:週1回1時間のフリー英会話教室の開催

工夫:受講側が受け身にならないように意識

成果:自発性の向上に加え、事業にも良い影響を与えた

今後:スタッフの自主性を尊重する

【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

キウイフルーツカントリーJAPAN

キウイフルーツカントリーJAPAN内観
キウイフルーツカントリーJAPAN

静岡県掛川市にあるキウイフルーツカントリーJAPANは、世界中から80種類ものキウイフルーツが集められ、一年中「食べ放題」が楽しめる観光農園です。バーベキューのほか、どんぐりのこみちや、冒険の森、ウォークラリー、自然のままで遊べるわんぱく体験や、ひつじやうさぎなどの動物たちとのふれあいなど、さまざまな体験を楽しむ事ができます。

【状況】インバウンド客の増加と対応スタッフの属人化

Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?

インバウンドが徐々に増えてきていました。ただ、英語対応ができるスタッフが一部しかいなかったので、海外のお客様がいらした時はそのスタッフが対応する、という形をとっていました。なので、そのスタッフの不在時には十分なご対応ができない事もありました。そんな中で、他のスタッフから「自分も英語ができるようになりたい」という声が上がったんです。

【課題】スタッフに学びの場をどう提供するか

Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?

スタッフから「これがやりたい」という声が出てくるのはとても喜ばしい事でした。「それなら英会話教室とか通ってね」と言うのは簡単でしたが、英語ができるスタッフが増える事は当農園としてもありがたいですし、スタッフがやりたいと感じた事はできるだけこちらで提供したいと思っていました。

課題と言われると、前述のとおり大元は「属人化の改善」になるのでしょうが、それをきっかけに、これからスタッフへの学びの場をどう提供するのか、どのような形で提供していくべきかを考えるようになりました。

【施策】週1回1時間のフリー英会話教室の開催

Q:今回、実施された施策内容について詳細を教えてください。

まず、英語が堪能なスタッフに講師になってもらい、週に1回、1時間の英会話教室を開催しました。当日参加できないスタッフには、後でダウンロードできるような資料や動画を用意したりもしました。

内容は事前に各スタッフにどんな事を学びたいのかをヒアリングしてニーズを吸い出し、それに合ったプログラムを準備し、仕事で使えるようなものだけでなく、海外旅行に行った際にも使えるようなものにしたり、料理をしながら、というものもあります。また、英会話教室のほかにヨガ教室も開催しました。

【工夫】受講側が受け身にならないように意識

Q:この施策を実施するにあたり、工夫したことはありますか?

ただ聞いているだけでなく、コミュニケーションが発生するようなやり方を意識しました。ゲーム感覚でできるようなものであったり、前述した料理をしたり、といったやり方です。

また、「ただ学ぶ」ではなく、やった事によって少しでも人生が楽しくなるような内容にしようと考えました。例えば、海外旅行に行った時に役に立つとか、英会話教室で作った料理が夕飯の一品に加わる、といったような、そこに参加した事でちょっとしたお得感が得られるようなものになるように心がけました。

【成果】自発性の向上に加え、事業にも良い影響を与えた

Q:この施策を実施したことによる、具体的な成果について教えてください。

離職率はもともと低かったので、特にそこに変動はありませんでしたが、スタッフの自発的な行動が多くなりました。

例えば、英会話教室での料理で「キウイのピクルスを作ってみたい」という声が出て、自身で調べて実行していました。結果、そのキウイのピクルスは商品化に繋がったりと、事業にも良い影響を与えてくれました。ヨガ教室は当農園の畑でやっていたのですが、「畑でのヨガはとても気持ちがいい」とスタッフにとても好評で、現在は一般の方も募集して開催するイベントとなりました。

両方とも、スタッフが自分たちのためにやりたいと言って始めた施策でしたが、結果的にしっかりと事業に還元されています。

【今後】スタッフの自主性を尊重する

Q:今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?

今まで教わる立場だったスタッフが、今度は教える側でやってみたいという声が上がっているので、まずは地域の方々向けになにかできないかなと考えています。