おでかけ施設のスタッフ教育・研修制度に関する施設アンケート

ここ数年だけでも世の中の価値観は大きく変化しています。数年前の当たり前はもはや当たり前ではなく、おでかけ施設においても接客態度や言動ひとつ、時代にそぐわない応対はすぐにSNS等で世界中に拡散され、社会から叩かれてしまう世の中です。施設のスタッフも、いかにそのリスクや状況について理解し行動するかが重要となります。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国88のおでかけ施設の回答から、「おでかけ施設のスタッフ教育・研修制度」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。

目次

アンケート対象施設の規模区分

おでかけ施設におけるスタッフ研修の実施状況

実施している研修の対象者について

実施している研修の内容について

施設スタッフの研修成果(実感)について

施設スタッフが役にたったと感じている研修

さらに良い研修にするために必要なもの

今後受けてみたい研修内容について

施設ならではのスタッフ育成方法

おでかけ施設のスタッフ教育・研修制度に関するまとめ

アンケート対象施設の規模区分

まず、今回のアンケート対象となった88施設の施設規模(年間来場者数)について。

アンケート対象施設の年間来場者数のグラフ

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が64%。50,001人以上の施設が30%(分からない7%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出されています。ちなみに、「屋外施設」「屋内施設」の割合は「屋外」が39%、「屋内」が61%となります。

おでかけ施設におけるスタッフ研修の実施状況

まずは、そもそもおでかけ施設において、スタッフ研修がどの程度実施されているのか?について、社内研修・社外研修に分けて聞いてみました。

スタッフ研修の実施状況について

実施有無でいうと、53%の施設が何らかのスタッフ研修を実施していると回答。47%とほぼ半数の施設は研修自体をおこなっていないとの事です。また、実施されている研修のほとんどは「社内研修」で、スタッフさんのために「社外研修」まで用意している施設は全体の7%とごく少数となりました。

ちなみに、他業種も含めた調査と比較すると、中小企業(300名以下)での研修実施比率がこれと近しい結果でした。また、最近ではオンラインを導入する会社も増えているようで、オンライン研修もより身近なものになってきています。今後、さらにオンラインでの研修実施比率が上がってくるかもしれません。

実施している研修の対象者について

では、スタッフ研修を実施している53%の施設さんは、一体誰に対して研修をおこなっているのでしょうか。研修を実施している施設さんに対し、その研修の対象者について聞いてみました。

実施している研修の対象者について

もっとも多かった回答は「一般社員」向けで全体の78%。次点が「新入社員」で65.9%、そして「新入アルバイト」58.5%と続きます。「マネージャー・管理職」に対しての研修を実施している施設さんは半数以下と、割と少ないのが意外でした。

また、「その他」を抜くと、もっとも実施率が低いのが「中堅アルバイト」で、全体の3割程度となっています。施設にもよりますが、お客さんとの接触がもっとも多いのは実はこのレイヤーだったりするのではないでしょうか。であれば、「中堅アルバイト」にこそ、しっかりとした研修が必要なのかもしれません。

実施している研修の内容について

続いて、研修の内容について掘り下げてみたいと思います。研修と一言でいっても様々な研修があります。おでかけ施設では、一体どのような内容の研修がおこなわれているのでしょうか。

実施している研修内容について

もっとも多かったのが「接客に関する研修」で全体の75.6%。続いて「新人研修」で70.7%でした。「接客に関する研修」がこれだけ多いのも、施設スタッフの一挙手一投足が施設の価値にダイレクトに影響してしまう事から、施設側も徹底した接客スキルの向上をスタッフさんに求めているのではないでしょうか。

そして次に続くのが、「コンプライアンス」48.8%と「リスクマネジメント」31.7%。さらにひとつ飛ばして「ハラスメント」が24.4%。このあたりは、まさに「今の世の中(の風潮)」が分かりやすく表れている気がします。

施設スタッフの研修成果(実感)について

続いては、実際に受けた研修の成果について。今までに受けた研修が自身の業務に活かされていると思うかどうかを聞いてみました。

研修が活かされていると思うか

「活かされていると思わない」と答えたのは僅か4%。96%の方は、受けた研修がきちんと現在の業務に活かされていると回答しています。これは(研修を実施されている)各施設さんにとっては非常に嬉しい結果ではないでしょうか。

世の中の会社でおこなわれている研修の中には「この研修って受講する意味ある?」と思ってしまうような、至極形骸的な研修もたくさんあると思います。これだけ多くのスタッフが肯定的に受け入れている(受講者側が成果を実感できている)事は正直意外でした。おでかけ施設でおこなわれている研修は、かなり効果的に活用されているようです。

この結果から考えると、研修による知識のインプットだけでなく、スタッフモチベーションにも好影響を与えている可能性が高いのではないでしょうか。まだスタッフ研修を実施していない施設さんも、スタッフ研修の導入について積極的に検討されてみてはいかがでしょうか。

施設スタッフが役にたったと感じている研修

続いて、「もっとも役にたったと思う研修内容は?」という設問にフリーアンサーで答えて頂きました。

・接客に関する研修

もっとも多かった回答はやはり「接客に関する研修」でした。おでかけ施設スタッフは接客のプロであり、お客様との直接的なコミュニケーションも多い仕事ですから、研修成果をダイレクトに実感される方も多いのでしょう。

・ビジネスマナー研修

「接客に関する研修」以外で特に多かったのが「ビジネスマナー研修」。ビジネスマナーといっても、その中身は挨拶や礼儀作法であったり、メールの書き方や電話応対の仕方など、普段の生活においても必要な要素がたくさん詰まっています。そういった基本的な知識や意識は、お客様と対峙された際の受け答えや立ち振る舞いにも表れるものですし、接客以外に関係各所とのやりとりもあるでしょうから、「ビジネスマナー研修」はおでかけ施設スタッフにとって、広く役立つ研修と言えるのかもしれません。

他に、「他業種との接客マナー研修」のような、他の業種や会社(施設)の接客を学べる研修が特に為になった、という回答も多数ありました。

さらに良い研修にするために必要なもの

続いては、実際に研修を受けた上で「さらに良い研修にするために必要なもの」について、自由に答えて頂きました。

こちらも色々な回答が集まりましたが、中でも多かったのが「研修を受ける側の希望、意識や能力などと研修内容のフィット感」に関する意見でした。

具体的には、「(受講者に)研修の目的、理由を事前に理解してもらうこと」「個々人のレベルに合った研修を適切な時期に実施する」「事前に各スタッフが抱える課題や改善、身に着けたいスキルを把握する事」など。研修を作る側は、受講者が何を学びたいのかを事前にキャッチアップしておく事、受ける側は、何を得るための研修なのかを理解しておく事、このあたりのフィット感が重要と捉えている方が多いようです。

また、オンライン研修の導入について希望されている方も一定数いました。コロナ禍でなかなかリアルで集まる事の出来ない状況ですが、何らかの形で学びを求めている方が多いようです。

今後受けてみたい研修内容について

お次は、おでかけ施設のスタッフが今後受けてみたいと思っている研修について聞いてみました。

・他業種や他施設の研修

前述の「役にたったと思う研修内容」でも出てきましたが、他業種や他施設の研修を受けてみたいと答えた方はかなり多かったです。例えば「地域消防署などとの共同訓練」や「競合他社でのオペレーションへの参加」、中には「ディズニーランドの研修」のように具体的な施設名まで出されていた方も。

・WEBやPCスキル向上

次に多かったのは「オンラインコンテンツの制作方法」「エクセルやワード、パワポ、イラストレーター等のPCスキルUP」「ファイルメーカーやイラストレーターなどソフト系」のような、WEBやPCスキルの向上を目的とした研修でした。

・経営、マネジメント研修

少し意外だったのは、「経営、マネジメント研修」を受けてみたいという声がかなり多かった事。今の現場業務に直接的に役立つものだけでなく、自身の視野を広げたり、先を見据えた学びを欲している方も割と多いようです。

施設ならではのスタッフ育成方法

最後に、「施設ならではのスタッフ育成方法」について聞いてみました。そこまで特別な研修や育成手法をおこなっている施設も少ないのか、数としてはあまり集まらなかったのですが、ひとつ印象的だった回答に「山本五十六の教え」というものがありました。人材教育・育成に関する名言として扱われる事も多い言葉なので、改めて最後に紹介させて頂きます。

山本五十六の教え

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

おでかけ施設のスタッフ教育・研修制度に関するまとめ

  • 53%の施設が何らかのスタッフ研修を実施。社内研修がほとんどで社外研修は僅か4%
  • 研修の対象者は「一般社員」78%、「新入社員」65.9%、「新入アルバイト」58.5%
  • お客さんとの接触がもっとも多いであろう「中堅アルバイト」への研修実施率は3割程度
  • 研修内容は「接客に関する研修」が75.6%でトップ。次点は「新人研修」で70.7%
  • 「コンプライアンス」48.8%、「リスクマネジメント」31.7%、「ハラスメント」24.4%
  • 研修の成果について、96%が「(実業務に)きちんと活かされている」と回答
  • 特に役にたったのは「接客研修」「ビジネスマナー研修」「他業種との接客マナー研修」
  • 更なる研修改善のポイントは「受ける側の希望、意識や能力と研修内容のフィット感」
  • 受けてみたい研修は「他施設の研修」「WEBやPCの研修」「経営、マネジメント研修」

という事で、今回はおでかけ施設のスタッフ教育・研修制度に関するアンケート結果について紹介させて頂きました。施設さんとお話すると、集客や客単価、顧客満足度あたりの課題とともに、必ず出てくるのが「人材育成」に関する話題で、他の施設さんのスタッフ教育や育成に関する取り組み、施策について聞かれる事も多いです。

ひとつのアンケート結果からの分析ですので、あくまで参考程度ではありますが、今回のアンケート結果を貴施設の今後の「スタッフ教育・研修制度の改善」に少しでも役立てて頂けますと幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国88のおでかけ施設

調査日程/2021年6月15日~6月23日