未活用だったグリーンシーズンの営業によりリピーターを獲得した施策事例
おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、「ぬまじりの森 Powered by WHOLE EARTH」さんの「今まで未活用だったグリーンシーズンの営業により短期リピーターを獲得」した事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。
【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

福島県にある「ぬまじりの森 Powered by WHOLE EARTH」は、2021年グリーンシーズンにオープンし、大自然の中でBBQやアクティビティを思いきり楽しめる施設です。2021年は夏〜秋にかけて営業し、好評のため2022年は春〜秋までの期間限定営業。冬期は「沼尻スキー場」として営業しています。
【状況】冬期のスキー場を運営
Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?
1915年に開業し、東北地方では現存する最古のスキー場である「沼尻スキー場」を運営しています。当スキー場はファミリー層や初心者のお客様が多く来場されるのですが、毎年冬期のスキーシーズンが終わると、次のシーズンまで施設を閉めていました。
【課題】冬以外にスキー場の敷地を活かした事業を模索
Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?
2020年まで冬期のスキー場のみ運営をしていたのですが、冬以外にもスキー場施設の敷地を活かした事ができないかと考えました。
【施策】グリーンシーズンの営業を開始
Q:今回、実施された施策内容について詳細を教えてください。
2021年の夏、グリーンシーズンの営業を開始しました。
ゴーカートなどのアクティビティで親子が夢中になって遊べる「アクティビティエリア」、トランポリンやアスレチックなどを設置した「公園エリア」、テント付きの広いウッドデッキで楽しめる「BBQエリア」と、スキー場の広大な土地を活かしたコンテンツを揃えました。また、適宜イベントなども実施し、お客様が大自然の中で思いっきり楽しめる工夫をしています。
【工夫】有識者のアドバイスを参考にする
Q:この施策を実施するにあたり、工夫したことはありますか?
2021年の夏はちょうどコロナ禍で、感染リスクやソーシャルディスタンスの確保等が重要視され、特にアウトドアのニーズが高まっていた時期でもありました。
ただ、ニーズが高いとはいえ、外的要因による一時的なニーズで一喜一憂はできません。BBQ事業を始めるにあたって、福島バーベキュー協会の会長さんにアドバイスをいただき、主に下記の部分に留意しました。
・BBQのテーマを作る
BBQができる所はたくさんあります。極論、家の庭でもできるものなので「ここだからこそ味わえる」というオリジナリティが必要です。もちろん景観などの環境もそのひとつにはなりますが、さらに食材にもテーマを持たせる事にしました。通常、BBQをする時のお肉は薄く切ったものを焼く事が多いと思うのですが、当施設では「アメリカンBBQ」をテーマに「塊肉」でのBBQを楽しめるようにしました。
・区画ごとに仕切り、グループごとに貸し切る
これはコロナ禍という時世的なニーズもありましたが、各グループごとのプライベート性を守れるので、長期的に見てもニーズは高いと思っています。1区画ごとのスペースをしっかり取る事で窮屈なイメージもなくなりますし、スキー場という場所柄、土地はありますのでそれを思いきり活かす形にしました。
【成果】満足度が高く、短期間でのリピートも多かった
Q:この施策を実施したことによる、具体的な成果について教えてください。
2021年のオープン時はパンフレットもない状態で宣伝も間に合わず、SNSくらいしか告知ができなかったんです。なので当施設が夏季に営業している事を多くの人が知っている、という状況は作れませんでした。
そんな状況にも関わらず、非常に高いリピート率と、良い口コミをたくさんいただきました。「密にならなくていい」というコロナ禍ならではのものもありましたが、特に多かったのは、お肉などの食材に関する満足度やスタッフの対応に対するお褒めの言葉でした。
結果、ご来場いただいた数週間後や翌月などに再度ご予約が入り、短期間でリピートいただくお客様が多かったです。
【今後】「お客様を大切に」の気持ちを忘れない
Q:今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?
昨年が初めての夏営業となり、スタッフも初めての事だらけでマニュアルも十分でない中、お客様からスタッフへのお褒めの言葉をいただけたのは、日頃から言っていた「お客様を大切に」という事をみんなが忘れずに持っていたからだと思います。
今後も様々な施策を実施していくと思いますが、根底にあるその気持ちを忘れずに対応していきます。