おでかけ施設の夏休み対策に関する施設アンケート

1年のうちでユーザーのおでかけ意欲がもっとも高まるのが8月、つまり「夏休み」の時期ですね。他の月との意欲差は非常に大きく、ユーザーがいかにこの時期のおでかけを楽しみにしているかが、こちらの調査結果からも明らかです。一方、おでかけ施設側でも、夏休み時期に向けた様々な集客施策が実施されています。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国88のおでかけ施設の回答から、「おでかけ施設の夏休み対策」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。

目次

アンケート対象施設の規模区分

夏休みに向けた特別な集客施策の実施有無

夏休みに向けた特別な集客施策の内容

具体的な集客施策の内容について

集客施策実施による成果について

夏休み時期に来訪客に対して心がけている事

夏休み時期にスタッフに対して心がけている事

夏休み時期のスタッフ体制について

おでかけ施設の夏休み対策に関するまとめ

アンケート対象施設の規模区分

まず、今回のアンケート対象となった88施設の施設規模(年間来場者数)について。

アンケート対象となった88施設の年間来場者数のグラフ

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が64%。50,001人以上の施設が30%(分からない7%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出されている事を前提にご覧いただければと思います。ちなみに、「屋外施設」「屋内施設」の割合は「屋外」が39%、「屋内」が61%となります。

夏休みに向けた特別な集客施策の実施有無

まず、夏休みに向けて、通常時はおこなわないような「特別な集客施策」を実施しているか?について、施設さんに聞いてみました。

夏休みに向けた集客施策実施の有無のグラフ

全体の65%の施設さんが「実施している」と回答。ちなみに、施設規模の大小や屋内・屋外でも比較してみましたが、この比率はほとんど変わりませんでした。回答施設の中には夏休み時期が繁忙期ではない(特に夏休み時期を重要視する必要のない)施設さんもいますので、「夏休み対策=繁忙期対策」と捉えると、もう少し「実施している」の比率が高くなると考えられます。

夏休みに向けた特別な集客施策の内容

では、「実施している」と答えた施設さんは、具体的にどのような方法で集客施策をおこなっているのでしょうか。

実施している夏休みに向けた特別集客施策のグラフ

全体の6割のおでかけ施設が、夏休み向けの「イベント開催」をおこなっていると回答しています。他項目と比べても圧倒的に高く、夏休み向けのイベントを実施する事は、おでかけ施設にとってスタンダードな夏の集客施策になっているようです。

次点は「期間限定コンテンツ」の24.6%、そして「コラボ企画」へと続きます。「コラボ企画」は数値的には22.8%とそこまで高い数値ではありませんが、それでもおよそ4施設のうち1施設が何らかのコラボ企画を実施しているという事になります。

一方、PR施策側を見てみると、WEBと紙媒体を活用した広告実施が多いようです。企画側の結果も踏まえて考えると、夏の「イベント」「限定コンテンツ」「コラボ企画」等を準備した上で、WEB、紙媒体を使ってその内容や魅力を訴求する手法が、おでかけ施設の夏休み集客における定番スタイルと言えます。

具体的な集客施策の内容について

続いて、より具体的な施策内容について掘り下げてみましょう。分かりやすく、施策内容を「企画」と「PR」に分けて、集まった回答を整理してみました。特に目についた施策をいくつか抜粋して紹介します。

■企画

・自由研究を絡めたイベント
顕微鏡を使った微生物の観察や大型ワークショップ、子ども教室の開催など、夏休みの自由研究にそのまま活用出来るイベントや企画を実施されている施設さんが多いようです。

・子供向けの体験プラン
一部、自由研究を絡めたイベントとも重複しますが、工作体験や科学実験、川遊び体験、夜の動物の生態体感企画など、子供の“体験”にこだわったイベントも多く目につきました。

・夏定番のイベント
夏と言えば、的な定番イベントも多く、納涼祭りや浴衣での来園キャンペーン、花火大会など、「THE夏」なイベントも数多く実施されているようです。

・近隣施設とのコラボ
コラボ企画といえば、キャラクターや有名作品との連動企画を想像していたのですが、意外と多かったのが、近所のcafeランチと陶芸体験のコラボや、異業種体験施設との共同企画など、近隣施設とのコラボ企画。同じような課題や悩みを持った施設同士の力を合わせて相乗効果を狙う素晴らしい取り組みですね。

■PR

・小学校や幼稚園へのダイレクトアプローチ
いわゆる広告によるPRだけでなく、夏休み前に県内の小学校や幼稚園への冊子を配布するなど、子供ターゲットでピンポイントにPRをおこなっている施設さんもいらっしゃいました。

・夏休み時期限定のキャンペーン
やはりPR軸でもっとも多いのは、期間限定のキャンペーンやクーポン配布。こども入園無料、ファミレスでの割引クーポン配布、子ども団体向けセットプラン、1クール利用券配布など、多くの施設さんが夏休みに向けて様々なクーポンやキャンペーンを実施しています。

集客施策実施による成果について

続いて、上記施策による成果について、具体的にお答え頂いた施設さんの声をいくつか紹介いたします。

施策/こども入園無料クーポンを配布
成果/こどもだけの入園がほとんどないため、結果的に大人の来場数が大きく増加した

施策/工作や科学実験・体験等のイベントを実施
成果/当日来訪したお客さんに夏休み期間中のイベントチラシを配布。多くがリピーターに

施策/商品の単品販売をやめ複合券にインクルード。販売商品も複合券に絞った
成果/複合券の価値観のUPにより単価向上・売上総額のUPに繋がった

施策/普段は土日しかない公演を夏休み期間は平日も実施
成果/子ども会など、子どもの多い団体の来訪が増加した

施策/夏休みこどもイベントで顕微鏡を使った微生物の観察
成果/地域教育委員会から高く評価を頂き教育委員会とのコラボが出来る様になった

夏休み時期に来訪客に対して心がけている事

お次は、おでかけ施設が来訪客に対して「夏休み期間だからこそ」特に心がけている事について。こちらも自由回答の形で答えて頂きました。

やはり圧倒的に多かったのが「熱中症対策」。ミスト機の配置・空調管理など、施設内の温度管理はもちろん、WBGT計の設置によりお客さん自身の注意を促したり、塩飴の無料配布や冷たい飲み物の提供、他にも休憩所を設置したり、熱中症アナウンスを定期的に流すなど、とにかく様々な方法でお客さんの安全を守るべく徹底されています。なお、温度管理と言っても一概に暑さ対策だけでなく、逆に「冷えすぎ」に注意していると答えた施設さんが多かったのも印象的でした。

「熱中症対策」ほどではありませんが、「虫対策」についての回答もなかなか多かったです。やはり屋外施設ですとどうしても夏休みの時期は虫が増えますので、特に「防虫」に力を入れている施設さんも多いようです。

もうひとつ、良く目についたのが「ケガ防止」についての回答。前述の通り、夏休み時期はおでかけ意欲がもっとも高まる時期で、いわゆるおでかけ繁忙期にあたります。来場者が一気に増加する施設さんも多いことから、施設内混雑によってお子様のケガも増えてしまうそうです。

夏休み時期にスタッフに対して心がけている事

続いてはお客さんではなく、スタッフに対して「夏休み期間だからこそ」特に心がけている事。こちらはどんな事を心がけているのでしょうか。

やはり、お客さん同様に熱中症や暑さ対策に関する回答が圧倒的に多かったです。休憩頻度を増やす、定期的な水分補給や帽子着用の徹底、冷却グッズの配布、中には定期的な安否確認を実施されている施設さんも。特に今は、常にマスクを着用されているスタッフさんがほとんど。例年以上にスタッフさんの暑さ対策にも気を使われているようです。

少し変わったところで、「体臭管理」と答えられた施設さんもいらっしゃいました。自分自身では気付かない事も多く、一方で想像以上にお客様を不快にさせてしまう恐れも。確かに重要かもしれませんね。

夏休み時期のスタッフ体制について

最後に、夏休み期間のスタッフ体制について聞いてみました。多くのおでかけ施設にとって繁忙期にあたる夏休み時期。スタッフ人員の数や配置など、どのような対策をおこなっているのでしょうか。

夏休み期間のスタッフ体制についてのグラフ

もっとも多かった回答は「スタッフの配置人数を増やす」で、半数近い施設さんが実施されています。おそらくその方法論として、「短期アルバイト募集」と「一人あたりの勤務時間増」をおこなう施設さんが多いという事でしょう。

おでかけ施設の夏休み対応に関するまとめ

  • 規模や環境問わず、65%の施設さんが夏休みに向けた特別な集客施策を実施している
  • 全体の6割のでおでかけ施設が夏休みに向けて「イベント開催」をおこなっている
  • 「期間限定コンテンツ」「コラボ企画」実施施設も比較的多く、それぞれ24.6%と22.8%
  • 夏休みに向けたPR施策では、WEB広告活用21.1%と紙媒体活用の広告施策17.5%の2強
  • 特に多い企画は、近隣コラボ、夏定番イベント、子供向け体験、自由研究イベントあたり
  • 夏休みの来訪客に対して特に気を付けている事は「熱中症対策」「虫対策」「ケガ対策」
  • 夏休み時期のスタッフに対して特に気を付けている事は「熱中症・暑さ対策」「体臭」等
  • 夏休み時期、ほぼ半数(47.7%)のおでかけ施設がスタッフの配置人数を増やしている
  • 夏休み時期のスタッフ数増加の方法は「短期バイト募集」30.7%と「勤務時間増」21.6%

という事で、今回はおでかけ施設の夏休み時期の集客や人員対策に関するアンケート結果について紹介させて頂きました。ユーザーのおでかけ意欲がもっとも高まり、施設としても繁忙期にあたる夏休み。今回のアンケート結果からも、イベントや限定コンテンツ、コラボ企画など、多くのおでかけ施設が様々な夏休み施策を実施している事が分かりました。他の施設で良くおこなわれているイベントやその成果など、参考になる情報も少しはご紹介出来たのではないでしょうか。

今回のアンケート結果を貴施設の今後の「夏休みの集客戦略や対策検討」に少しでも役立てて頂けますと幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国88のおでかけ施設

調査日程/2021年6月15日~6月23日