おでかけ施設のトイレ設備に関する施設アンケート
ひとくちに「おでかけ施設」と言っても、地域、規模、ジャンルなどによって、設置されている設備には様々な違いがあります。しかし、そのほとんどの施設に共通して設置されている設備のひとつが「トイレ」ではないでしょうか。おでかけ施設に限らず、トイレが汚れていただけで二度とその施設に行きたくなくなってしまう、そんなユーザーも少なくないのでは?たかがトイレ、されどトイレ。おでかけ施設の設備改善の対象としてフォーカスされる事は少ないかもしれませんが、「ユーザー満足度」という観点において、トイレは意外と侮れません。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国208のおでかけ施設の回答から、「おでかけ施設のトイレ設備」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。
アンケート対象施設の規模区分
まず、今回のアンケート対象となった208施設の施設規模(年間来場者数)について。

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数50,000人以下の施設が61.1%。50,001人以上の施設が33.7%(分からない5.3%)となっています。以降のデータについては、上記の規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出されている事を前提にご覧いただければと思います。ちなみに、「屋外施設」「屋内施設」の割合は「屋外」が41%、「屋内」が59%となります。
おでかけ施設のトイレ設置状況について
まずは、前提となるおでかけ施設における「トイレの設置状況」について。屋外施設と屋内施設でだいぶ環境も違うと思いますので、今回は「屋外」と「屋内」でデータを分けてみました。

屋外のおでかけ施設では、自施設内に男女別のトイレを設置している施設さんが91%とほとんど。確かに屋外施設ですと比較的敷地も広いですしトイレ設備自体も大きめで、男女共有のトイレはまず見かけません。一方、屋内施設の場合はどうでしょうか。

屋外施設と比べると、「男女別」の比率が91%から76%へ減少し、逆に男女共有の比率が大きく上がり3%から16%に。トイレ未設置の施設も4%から7%に増加しています。やはり屋外施設に比べ活用出来る敷地の広さも限られるでしょうから、必然的にトイレ設備に割ける敷地も小さくなり、男女兼用やトイレ設備自体を設置しないというケースも増えるのでしょう。
おでかけ施設トイレ設備の便器設置台(据)数
続いて、自施設のトイレ設備に設置されている便器台(据)数について。こちらも「屋外」「屋内」のデータで比較して見てみます。
施設内のトイレに便器を5台以上設置していると答えた施設さんが「屋外」71%「屋内」57%と、「屋外」の方が14%割合が大きくなっています。こちらもやはり「屋外」の方がトイレ設備自体が大きいためでしょうか。また、便器が1台の施設は「屋外」4%「屋内」10%と、逆に「屋内」の方が割合が大きくなります。
ちなみに「屋内」かつ「年間来場者数50,000人以下」の施設に絞った場合、便器4台以下の施設は半数を超えます。当たり前の話かもしれませんが、おでかけ施設におけるトイレ・便器の数は「屋外>屋内」であり、施設規模が小さくなればなるほど便器台数も少なくなるようです。
おでかけ施設トイレ設備の便器種別について
ちなみに、最近は日常生活の中で「和式トイレ」を目にする機会もだいぶ減っているのではないでしょうか。文部科学省の調査によると、小中学校のトイレもだいぶ和式から洋式への移行が進んでいるようですし、世の中の和式トイレの数はここ数年だけでも急激に減っている印象です。
※参考:文部科学省:公立学校施設に関する調査(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/1334433_00001.htm)
であれば、おでかけ施設においても同じような傾向が見られるのではないでしょうか。続いて、各施設のトイレに設置している便器の「和式」「洋式」に関する状況について聞いてみました。
やはり、「洋式のみ」の施設が「屋内」「屋外」ともにもっとも多く、「屋外」53%、「屋内」63%となっています。前述の通り、屋内施設の方が便器自体の設置台数が少ないため、洋式移行が進めやすいのかもしれません。
また、「洋式・和式両方」と答えた施設さんも「屋外」45%「屋内」35%と数多くいらっしゃいます。公共トイレの場合は特に「直接便器に接触したくない」等の理由から、あえて和式を選択する方も少なからずいるようです。たくさんのお客さんが利用するおでかけ施設(のトイレ)だからこそ、敢えて一部「和式」を残す施設さんもいるのかもしれません。
おでかけ施設のトイレに設置されている設備
続いて、おでかけ施設のトイレに設置されている各種設備について。最近のトイレはウォシュレットのような温水洗浄便座をはじめ、様々な設備が付帯されています。現在のおでかけ施設のトイレ設備はどのような状況なのでしょうか。
「屋外」「屋内」を比較すると、若干「屋内」の方がトイレ設備の近代化が進んでいるようですが、「暖房便座」「温水洗浄便座」導入率の高さなどを見ると、全体的におでかけ施設のトイレ設備に関する状況は、他市場と比べても比較的近代化が進んでいる印象です。
また、オムツ交換台が「屋外」53.8%「屋内」53.1%、多目的トイレが「屋外」47.5%「屋内」59.3%と、非常に高い導入率になっています。これは、小さなお子様からお年寄りまで様々な属性のユーザーが利用する事の多いおでかけ施設ならではの傾向と言えるかもしれません。
おでかけ施設トイレ設備の清掃状況・頻度
続いて、おでかけ施設におけるトイレ設備の清掃状況・頻度について。不特定多数のユーザーが利用するおでかけ施設ですから、常に清潔に保っていく事もなかなか大変です。皆さんどのくらいの頻度でトイレの清掃をおこなっているのでしょうか。
トイレの数や敷地の広さの影響もあってか、若干「屋外」より「屋内」の方が清掃頻度が高いようです。とはいえそこまで大きな差はなく、「1日複数回」が「屋外」44%、「屋内」50%。「1日1回」と答えた施設さんが「屋外」44%、「屋内」43%となっています。
トイレを清潔に維持するための工夫・成果
続いて、施設さんが自施設のトイレを清潔に保つために工夫されている具体的な施策について聞いてみました。通常、自由回答の形で聞いた場合、回答はバラバラになる事が多いのですが、今回は概ね綺麗に2つに分かれる結果となりました。ひとつは「張り紙」、もうひとつは「定期巡回」。それぞれ実際の回答をいくつか抜粋してみました。
- ◎張り紙
- お客様に使用していただく際の注意事項を掲示(日本語・英語・中国語)
- きれいに使用していただくよう張り紙を貼っている。英語・中国語表記を併記している
- 便座の使用について、お願いの張り紙を張っている
- ◎定期巡回
- アラームをかけ、定期的にスタッフがチェック
- 営業時間中も不定期に見回り点検(と簡単な清掃)を行っている
- 社員に1ヵ所ずつ使用する場所を指定して用を足したら汚れていないかチェック
皆さん、様々な張り紙施策を実施されているのですが、その中で目についたのが、ただ張り紙を見せるだけでなく「多言語対応」を意識されている施設さんが多い事。トイレひとつでも文化の違いはあるでしょうし、(張り紙を読めずに)困ってしまう方をひとりでも減らしたいという施設側の真摯な姿勢や想いを感じました。
また、施策に対する成果について回答してくださった施設さんも複数いらっしゃいました。例えば「多目的トイレ内におむつ台を設置し赤ちゃんの駅として登録、未就学児を連れたお客様が増えた」や「トイレ内におむつ台を設置した事で未就学児を連れたお客様が増えた」など、トイレに関する施策から集客成果に繋げた事例、さらに「センサーライトに変更して電気代の節約に繋がった」のような、コスト削減の成果に繋げたという事例も。
おでかけ施設のトイレ設備に関するまとめ
- 自施設内に男女別のトイレを設置している施設は「屋外施設」91%「屋内施設」76%
- 「男女共有」は「屋外」3%「屋内」16%、「トイレ未設置」は「屋外」4%「屋内」7%
- 便器を5台以上設置している施設は「屋外」71%「屋内」57%と「屋内」の方が少ない
- 「屋内」かつ「年間来場者数50,000人以下」の施設だと便器4台以下の施設が半数超え
- 「洋式のみ」の施設が「屋内」「屋外」ともにもっとも多く「屋外」53%「屋内」63%
- 「洋式・和式両方」の施設は「屋外」45%「屋内」35%。「和式のみ」はともに僅か2%
- 「屋外」「屋内」を比較すると、若干「屋内」の方がトイレ設備の近代化が進んでいる
- 「屋外」「屋内」ともに「暖房便座」「温水洗浄便座」導入率はおよそ7割と非常に高い
- 「屋外」「屋内」問わず、「おむつ交換台」「多目的トイレ」の導入率が高い印象
- 「1日複数回」が「屋外」44%「屋内」50%と、若干「屋内」の方が清掃頻度が高い
- トイレを清潔に維持する為おこなっている具体的な工夫の大半は「張り紙」「定期巡回」
- 中にはトイレに関する施策・対策から「集客成果」や「コスト削減成果」に繋げた事例も
今回のアンケート結果を貴施設の今後の「トイレ設備に関する対策・施策」に少しでも役立てて頂けますと幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/全国208のおでかけ施設
調査日程/2021年3月15日~3月23日