スタッフが研修に参加できる環境を作った事で意識向上に成功した施策事例
おでかけ施設が抱える様々な課題に対して、施設さんが実際におこなった具体的な施策と成果について紹介させて頂く事例紹介。今回の事例は、「知覧特攻平和会館」さんの「研修への参加により、業務に対する意識がさらに向上」した事例となります。今後の貴施設の施策検討の参考にされてみてはいかがでしょうか。
【施設】今回の事例を紹介してくれたおでかけ施設

鹿児島県南九州市知覧にある知覧特攻平和会館では、第二次世界大戦末期の沖縄戦において特攻という人類史上類のない作戦で、爆装した飛行機もろとも敵艦に体当たり攻撃をした陸軍特別攻撃隊員の遺品や関係資料を展示。およそ5000点もの遺品や遺影、実際に使われた戦闘機など、当時の貴重な資料も数多く展示・公開されており、平和学習の場としても有名で、世界に唯一現存するといわれる陸軍四式戦闘機「疾風(はやて)」や海中から引き揚げられた「零戦(ぜろせん)」なども見学できるお出かけ施設です。
【状況】学芸員3名で企画展、展示方法などを相談
Q:まず、今回の施策を実施されるまでの状況について教えてもらえますか?
当施設では学芸員が3名おり、展示内容や展示の方法などは学芸員や施設の従業員と相談しながら決めていました。
【課題】大きな課題は感じていなかった
Q:その状況の中で、何を一番の課題として捉えたのでしょうか?
正直、そういった状況に対してなにかトラブルが起きたり、うまくいかないという事もあまりなかったので、それまで特に大きな課題というものは感じていませんでした。
【施策】日本博物館協会に加盟し、研修に参加
Q:今回、実施された施策内容について詳細を教えてください。
2020年から日本博物館協会に加盟しました。会員費はかかりますが、各種研修の案内をいただけるようになりました。さまざまな研修を知り参加する機会ができたため、新たな視点や知識を学ぶ事ができるようになりました。
【工夫】これまでのやり方に固執せず、さまざまな意見に耳を傾ける
Q:この施策を実施するにあたり、工夫したことはありますか?
工夫とは少し違いますが、日本博物館協会への加盟は施設代表者が話を持ってきたのではなく、学芸員の1人から勧められました。その方は南九州市役所の職員ですが、学芸員資格を持ち、当施設のほか過去に様々な施設や業務を経験されており、我々にはなかった知識や視野がありました。その方から色々と話を聞き、これまでのやり方に固執し続けるのではなく、新たな知見や繋がりを持とうと加盟を決断しました。
【成果】学芸員のモチベーション向上に寄与
Q:この施策を実施したことによる、具体的な成果について教えてください。
当施設では年3回企画展を実施しているのですが、研修に参加したことにより、企画展のテーマ出しやパネル作りがより活性化しました。他施設へ見学に行ったりする事によって、施設内の展示の仕方について改善の意見が出たり、業務に対する意識もさらに向上したと感じています。
また、インバウンドに関するものや、今や修学旅行等の受け入れをするにあたって必要になってきているSDGsに関する研修など、施設運営をしていくにあたって必須となりつつある知識や情報を、研修という形で学ぶ機会を得られるようになりました。
また、日本博物館協会に加盟した事で、こういった研修を知る事ができるようになっただけでなく、安く参加できるようになりました。
【今後】状況に応じて必要なものを学ぶ場を提供
Q:今後考えられている展開や打ち手は何かありますか?
日本博物館協会から案内される様々な研修の中から、スタッフがそれぞれ希望する研修を受講している状況です。現在はコロナ禍ということもあり、「どこでもすぐに行く」という事が難しい状況ではありますが、今後もそれぞれが状況に応じて、その時の自分たちに必要なものを学ぶ場の提供を続けていく予定です。