おでかけ施設のアルバイト求人・採用に関する施設アンケート

施設に遊びに来て頂いたお客さんに楽しんでいただくために絶対に欠かせないもの。それはやはり「人(スタッフさん)」ではないでしょうか。どんなに優れた設備やアトラクションがあっても、どんなに楽しい企画やイベントがあっても、それらとお客さんを繋ぐスタッフさん次第でお客さんの印象や満足度は大きく変わります。

だからこそ、施設さんに「今抱えている課題や悩み」について尋ねると、「集客」や「設備」と並んで「(スタッフの)採用・育成」が必ず上がってくるのでしょう。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国74のおでかけ施設の回答から、「アルバイトスタッフの採用」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。

目次

アンケート対象施設のスタッフ数と年間採用人数について

求人募集のために活用しているツール・サービス

実際に使ってみて「良かった」と感じた求人媒体

求人募集を出す際にプッシュしているポイント

求人募集を出す際の具体的な工夫

採用の合否判断でもっとも重視しているポイント

おでかけ施設のアルバイト求人・採用に関するまとめ

アンケート対象施設のスタッフ数と年間採用人数について

まず、今回のアンケート対象となった74施設それぞれのスタッフ人数について。

対象施設のスタッフの人数についてのグラフ

今回のアンケート対象となったおでかけ施設ですが、10人以下のスタッフで運営されている施設が半数以上、30人以下の施設が全体の8割を占めています。以降の数値やデータについては、「30人以下で運営されているお出かけ施設を中心とした回答」から算出されている事を前提にご覧いただければと思います。

それでは、「アルバイトスタッフの年間採用人数」について聞いた結果から紹介させて頂きます。

アルバイトスタッフの年間採用人数についてのグラフ

そもそも採用を(ほとんど)していないという施設が42%。また、年間採用人数が10人以下(0人含む)の施設が8割以上となっています。1年間に採用するアルバイトスタッフが「数人」という事からも、施設側の「1人」の採用に対する「期待」や「重要さ」が分かります。それだけ重要なアルバイトスタッフの求人・採用を、世の中のおでかけ施設はどのような方法でおこなっているのでしょうか。

求人募集のために活用しているツール・サービス

アルバイト採用の最初のステップは「求人募集」から始まります。募集のためにどのようなツールやサービスを活用するのかで、その成果は大きく変わってくるでしょう。規模や施設ジャンル・エリア等で、相性の違いなどもあるかとは思いますが、他施設が何を用いて求人をかけているのかを知るだけでも、今後の参考になるのではないでしょうか。

求人募集のために活用しているツールのグラフ

おでかけ施設が使っている求人ツールとしては、「WEBの求人情報メディア」が60.7%ともっとも多く、今回回答してくれた施設さんの6割以上が活用している事に。続いて自社サイトが41.1%、求人雑誌を活用されている施設さんも30%以上となっています。自社SNSについては23.2%との結果ですが、アカウントを持っていない施設さんもまだまだ多いでしょうから、自社アカウントを持っている施設さんだけの活用率で考えると、上記以上の数値になるのではないでしょうか。

実際に使ってみて「良かった」と感じた求人媒体

続いて、施設さんが実際に使ってみて「良かった」と感じた求人媒体について聞いてみました。おでかけ施設の求人において、満足度が高かったのはいったいどのような媒体なのでしょうか。

使ってみてよかったと感じた求人媒体についてのグラフ

施設さんが実際に使ってみた上で「良かった」と思えた求人媒体で、もっとも多かったのが18%の「タウンワーク」。次点が「ハローワーク」で16.4%。続いて14.8%の同率で「マイナビバイト」と「Indeed」が並びます。

正直、アルバイト求人で「ハローワーク(公共職業安定所)」が上位に入った事に少し驚きましたが、「ハローワーク」には他媒体に比べて圧倒的な強みがあります。それは「利用料が無料」である事。満足度の観点から見ると「コスパ」部分ではかなり優位と言えます。

また、「ハローワーク」はかなり求人掲載までに手間のかかる印象があったのですが、2020年1月にハローワークインターネットサービスが大幅にリニューアルされ、(事業所登録が済んでいれば)求人掲載のための手続きがインターネット上でおこなえるようになるなど、利便性が大幅に改善されているとの事。このあたりも今回の結果の要因のひとつになっているのかもしれません。

求人募集を出す際にプッシュしているポイント

これまでは、求人募集を「“どこに”出すべきか?」について掘り下げてきましたが、次は「“何を”出すべきか?」について考えてみたいと思います。以下のデータは、求人募集を出す際に各施設さんが「プッシュしているポイント」について聞いた結果となります。

求人の際のプッシュポイントのグラフ

もっとも重視している項目は「楽しさ」と「シフトの柔軟性」で同率の23%。アルバイト求人においては、「いかに楽しく(時間的に)柔軟に働けるのか」を伝える事が重要と考えている施設さんが多いようです。

多くのアルバイトスタッフの募集対象となる(であろう)学生やフリーターにとって、「時間」は非常に大切なものです。さらに「働き方改革」や「ワークライフバランス」などの言葉が一般的となった今の時代、求人に応募する側も「どれだけ稼げるのか」「どれだけ(長く)安定して働けるのか」よりも、「どれだけ自由(柔軟)に時間を使えるのか」「限られた時間をいかに楽しく過ごせるのか」を重視する人が多いのかもしれません。

求人募集を出す際の具体的な工夫

続いて、求人募集を出す際に工夫している点について、自由回答の形で答えてもらいました。中でも特に多かったのが「写真」に関する工夫。「スタッフが楽しく働いている様子の写真を載せる」「実際に働いているスタッフの笑顔の写真を多く載せる」「仕事をしている場面の写真を載せる」「女性スタッフの写真を入れる」など、現スタッフが実際に現場で働いている様子、かつ笑顔の写真を積極的に載せている施設さんが多いようです。また、おそらく女性スタッフを募集する際の工夫でしょうか。意図的に女性スタッフの写真を掲載し、安心感や親近感を演出するような事例もありました。

他には、「毎月シフト制なので”ライフワークに合わせて働ける”と記載」「融通が利くことのアピール」など、勤務シフトの自由さや柔軟性を前面に出す工夫や、「競合より少しでも時給が高くなるように現状より高い時給で求人した」「時給は近隣競合を意識して設定」のように、「時給」に焦点を当ててプッシュされている施設さんも。

また、希少なジャンル・サービスや職場環境を提供されている施設さんであれば、「特殊な業務内容で貴重な体験などができること」「レアな職場で働けることをウリにしています」など、その施設でしか出せない希少価値を訴求するパターンも有効なようです。

採用の合否判断でもっとも重視しているポイント

ここまでは「求人募集」に関するデータの紹介でしたが、ここからは、求人募集の応募が来たあとの「採用合否」に関するアンケート結果となります。面接等で実際に応募者とコミュニケーションを取ったあと、「どこを重視して合否の判断をしているのか」について聞いてみました。

合否判断の際の重視ポイントのグラフ

アルバイトスタッフの採用において、多くの施設さんがもっとも重視しているのは「コミュニケーション力」で33.8%。次点の「明るさ」の13.5%に2倍以上の差をつける、圧倒的な結果となりました。働く上で「コミュニケーション力」はとても大事なポイントではありますが、他業種に比べて、より「コミュニケーション力」に偏った結果にも感じます。やはり、お客さんと施設を繋ぐ「顔」となる、非常に重要なポジションを担う事が多いからこそ、他のどんな項目よりも圧倒的に「コミュニケーション力」を重視する施設さんが多いのかもしれません。

また、「コミュニケーション力」「明るさ」「責任感」と、トップ3に並んだ項目を眺めてみると、すべて「お客さんを楽しませる事・満足させる事」に、より直接的に繋がっている項目が上位に来ているように見えます。このあたりにも、(他業種に比べて)おでかけ施設ならではの「採用」に関する傾向が表れているのではないでしょうか。

おでかけ施設のアルバイト求人・採用に関するまとめ

  • 大半のおでかけ施設において、アルバイトの年間採用人数は10人以下
  • 現状もっとも多く活用されているのは「WEBの求人情報メディア」で6割以上
  • 自社の公式サイトやSNSを、積極的に求人募集に活用している施設が多い
  • 使ってみた上でもっとも「良かった」求人媒体は「タウンワーク」
  • 「ハローワーク」の満足度も高く、施設にとっての利便性も大幅に改善されている
  • 求人募集時に多くの施設がプッシュしている項目は「楽しさ」と「シフトの柔軟性」
  • 求人媒体に掲載する写真は「現スタッフが実際に働いている様子」&「笑顔」
  • 採用の合否判断で重視する点は「コミュニケーション力」がトップで圧倒的

アルバイト採用に対するアンケートひとつ取っても、おでかけ施設が何よりも「お客さんを楽しませる事」を最優先に考え、すべての判断指標がそこに繋がっている事が分かります。他施設の求人や採用に関するデータや事例から、貴施設の今後の求人・採用戦略に何か少しでも役立てて頂けますと幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国74のおでかけ施設

調査日程/2021年1月15日~1月22日