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▶第5波の影響等で夏休みのお出かけ費用はいまだ通常時に戻らず
今年の夏は、新型コロナウイルス感染拡大の第5波や8月のお盆期間に続いた雨もあり、「今年こそはおでかけをしたい」と思っていた家族にはあいにくの夏休みとなりました。今回は、そんな今年の夏休みのおでかけ状況と、新型コロナ感染拡大が少し落ち着いてきた現在の状況におけるおでかけ意欲について、いこーよサイトへのアクセス状況やユーザーアンケート結果等を踏まえて分析してみました。
今年の夏休みのお出かけに使用した金額について、通常時との差を聞いたところ、半数が「かなり減った」と回答。「少し減った」の30%と合わせて実に80%もの人が、お出かけ費用が通常時より減ったと回答しています。新型コロナの感染拡大第5波の影響が非常に大きく、通常時のようなおでかけができるようにはならなかった夏休みとなりました。
出典:いこーよ9月お出かけアンケートより
施設側にも新型コロナによる売上への影響について聞いたところ、今年の夏休みは2020年と比べても売り上げがマイナスになったと回答している施設が多く、第5波の影響が色濃く出ている状況です。特に屋外施設は、夏休みの中で一番の繁忙期であるお盆期間に天気が悪かった事もあり、昨年よりも売り上げが下がったところが多く見受けられます。
一方、天候に左右されない屋内施設には、今年のお盆期間の雨の影響で屋外施設に行けなかった人が多く訪れ、昨年よりも売り上げが増加した施設もあります。ただし屋内施設の場合、多くの顧客が訪れたとしても、感染対策として人数制限を実施する施設も多く、新型コロナの感染が落ち着き、「密」に対する過度な感染対策が必要ない状況にならない限り、なかなかコロナ前のように人数を多く受け入れて売り上げを増加させる事ができない状況もあるようです。
出典:いこーよ9月施設アンケートより
夏休み後半から、子どもの感染が増えているという報道を受け、子どもを連れてのおでかけを控える傾向が顕著となり、施設への訪問者も減少しました。しかし、9月に入り、復調の兆しも見えてきました。以下グラフは、昨年4月からのいこーよサイト閲覧数(お出かけ施設ページのみ)と、2019年(コロナ前)の閲覧数を比較したもの(2019年を100%として)です。
※直近の9月のデータは、分析時点の9月中旬までのデータを使用。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
9月になり新型コロナ新規陽性者数が減少してきた事から、いこーよサイトへの訪問数の減少に下げ止まりの傾向が見られます。シルバーウィークの3連休では、あたかも通常時に戻ったかのような高速道路渋滞などのニュースも流れ、9月後半はお出かけ状況に大きな回復が表れてきています。
Google Trends(ある単語がどのくらいGoogleで検索されたのかを表した推移データ)で、「コロナ」の検索数の推移を表したのがこのグラフです。こちらのデータでも、9月になり「コロナ」を検索する人が急激に減少してきました。
出典: Google Trendsより
それと同時に、「自粛」のワードを検索する人も少なくなっており、第5波の時に見られた「お出かけ自粛の意識」がだんだん低下してきている様子が分かります。
出典: Google Trendsより
夏休みに一時期上昇、その後第5波の影響で低下したお出かけ意欲でしたが、自粛意識の低下傾向と連動し、9月後半から「お出かけ」を検索している人が増加してきています。また、9月末の緊急事態宣言の解除後には、さらに上昇していく事が予想されます。
出典: Google Trendsより
これから夏休みというタイミングで、デルタ株によるかつてない感染拡大が続き、お出かけ市場には大きな逆風となった今年の夏休みでしたが、9月になり感染拡大のピークが過ぎてきた事で、お出かけ再開の兆しが出てきました。シルバーウィークの3連休でも、久しぶりに高速道路の交通渋滞のニュースが流れるなど、通常時に戻ってきているような雰囲気に明るさを感じます。
春から延期されている学校の遠足や修学旅行、課外授業などが、この秋に実施されるのかどうかも注目です。9月末で緊急事態宣言は解除されますが、冬までの間のそれら学校行事の実施有無によっても、施設の売り上げが大きく影響されるためです。
また、新型コロナワクチンの2回目の接種率が5割を超え(2021年9月20日時点)、ワクチン接種済みもしくはPCR検査等で陰性だった人を対象にした、「ワクチン・検査パッケージ」で、社会経済活動を回復させようという議論も始まっています。
世界でも、先進国を中心に少しずつ社会経済活動の再開、活性化に大きく舵を切り始めている中、日本でも自粛一辺倒ではなく、経済活動や子ども達の学校活動など、コロナ対策と日常生活をどう両立していくのか、そんな方向に施策が転換していく事を切に願います。