おでかけ施設の集客プロモーション(広告活用)に関する施設アンケート

おでかけ施設の集客向上のため、多くの施設さんが様々なプロモーションをおこなっているかと思います。今回は、アンケートに協力して頂いた全国95のおでかけ施設の回答から、集客プロモーション手法やターゲット属性についてのアンケート結果について紹介させて頂きます。

目次

アンケート対象施設の規模区分

新規集客のターゲット属性について

リピーター集客のターゲット属性について

集客プロモーション予算について

集客プロモーション手法について(活用実績)

集客プロモーション手法について(効果・満足度)

おでかけ施設の集客プロモーション(広告活用)に関するまとめ

アンケート対象施設の規模区分

まず、今回のアンケート対象となった95施設の年間来場者数について

対象施設の年間来場者数のグラフ

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数10,000人以下の施設が37%。10,001人から100,000人の施設が35%、100,001人以上の施設が28%となっています。施設規模によって効果的なプロモーション手法が異なる部分もあるかと思いますので、今回は年間来場者数50,000人以下とそれ以上に分け、双方の比較も交えながら分析してみたいと思います。

新規集客のターゲット属性について

まず、集客ターゲット属性についてのデータから。以下は「新規」の来場者に関する回答結果になります。「年間来場者数50,000人以上」のおでかけ施設が、「新規顧客の集客」において、一体どこのターゲットを重点的に狙っているのか聞いてみました。

年間来場者数5万人以上の施設の新規顧客ターゲット

県内のファミリー層が45%、県外のファミリー層が31%と、県内外合わせて「ファミリー層」が8割近い結果に。若者やシニア層に関してはすべて合わせても24%。大半の施設さんが「ファミリー」の集客を欲している事が分かります。

一方、「県内外」の方で比較してみると、県内は64%、県外が36%。数値比較では県内が多いとはいえ、やはり中規模以上の施設さんになると、より県外からの集客についても強く意識すると言えるのではないでしょうか。

年間来場者数5万人以下の施設の新規顧客ターゲット

一方、年間来場者数が50,000人以下のおでかけ施設では、県内のファミリー層が51%、県外のファミリー層が23%、合わせて74%と、ファミリー層をターゲットにしている施設さんが大半を占める点は、50,000人以上の施設さんと同様です。

ただ、ファミリー層における県内外の比率には少し差が出ていて、より「県内」からのファミリー集客に軸足を置いている施設さんが多いようです。

リピーター集客のターゲット属性について

続いて、リピーター集客についても同じ視点で比較してみましょう。まずは年間来場者数50,000人以上の施設から。

年間来場者数5万人以上の施設のリピーターターゲットのグラフ

新規集客と比べて、ファミリー層の割合が少し減少し、若者・シニア層で4割近くを占める結果となりました。新規が24%だった事を考えると大幅に増加しています。ただ、いずれにしてもファミリー層がメインターゲットである事は変わりません。また、県内外の比率についても、新規集客の場合と概ね同じような比率になっています。

まとめると、年間来場者数50,000人以上のおでかけ施設が求める集客ターゲットについては、

  • 新規・リピーターともにファミリー層が中心
  • リピーターの場合は若者・シニアの比率が少し高まる
  • 新規・リピーターともに県内、県外の比率は6:4程度

となります。一方、年間来場者数50,000人以下の施設さんのリピーター集客ターゲットはどうでしょうか。

年間来場者数5万人以下の施設のリピーターターゲットのグラフ

新規集客と同じように「県内ファミリー」の来訪を求める声が多いですが、県内ファミリー60%、県外ファミリーは11%と、「県内」への偏りはさらに大きくなっています。

また、若者・シニアも含めた県内・県外比率はおよそ7:3。50,000人以上の施設と比較すると1割ほど県内に寄っています。新規同様、規模(来場者数)が小さ目の施設ほど、県内ユーザーの来訪に重きを置いていると言えるでしょう。

上記から、年間来場者数50,000人以下のおでかけ施設が求める集客ターゲットについては

  • 施設規模問わず、新規・リピーターともにファミリー層が中心
  • 規模の大きい施設と比べ、県内の集客ニーズが高い
  • ファミリーで1度訪れた県内ユーザーの再来訪がもっとも重要

という結果となりました。

以上を踏まえ、以降の項目に対しての分析や傾向・考察は、特に「県内のファミリー層」の集客を重視する施設さんを中心としたアンケート結果として捉えて頂ければと思います。

プロモーション予算について

続いてはプロモーション予算についてです。他施設や同ジャンルの施設さんが集客プロモーションにどのくらいの予算をかけているのか。「まったく興味ない」という施設さんは少ないと思います。

まずは、年間来場者数50,000人以上の施設さんの、月間プロモーション予算から見てみましょう。

年間来場者数5万人以上の施設の月間有料プロモーション予算のグラフ

3割ほどの施設さんは、有料プロモーションをまったくおこなっていないとの事。また、有料プロモーション実施実績の中でもっとも比率の大きいレンジは「10万円未満」で31.6%。年間来場者数50,000人以上の施設さんでも、月間プロモーション予算として500,000円以下と答えた施設さんが8割近くを占める結果となりました。

年間来場者数5万人以下の施設の月間有料プロモーション予算のグラフ

一方、年間来場者数50,000人以下のおでかけ施設の月間プロモーション予算は、ほぼ半数が有料プロモーション実施なし。残りの半数も大半が100,000円以下との結果に。やはり、施設規模(年間来場者数)が大きいほどプロモーションにかける予算も大きくなっているようです。とはいえ、施設規模に関わらず月間プロモーション予算100,000円以下のレンジがもっとも多いのも事実。今後のプロモーション予算を検討する際の参考値のひとつになるのではないでしょうか。

集客プロモーション手法について(活用実績)

大まかにおでかけ施設の集客ターゲットやプロモーション予算の目安が見えてきたところで、次は「プロモーションの方法」について。おでかけ施設は集客のためにどのような媒体やツールを活用して集客プロモーションをおこなっているのでしょうか。

平常時(コロナ時期以前)に、実際にプロモーションで活用した事のある媒体やツールについて聞いてみました。こちらについても年間来場者数50,000人以下と50,000人以上の施設に分けて見てみます。

年間来場者数5万人以上の施設の有料集客プロモーションのグラフ

年間来場者数50,000人以上の施設の出稿実績として、もっとも多かったのは「雑誌広告」で19.3%。次いで「SNS広告」「DM(紙)」でともに14.5%。電通の出している日本の広告費データにおいて、ここ数年右肩下がりで下降し続けている「雑誌広告」ですが、おでかけ市場においてはまだまだスタンダードなのかもしれません。

一方、雑誌広告と逆に右肩上がりで伸びているWEB広告において、一般的にコスト効率が良いと言われている「検索連動型」や「運用型広告」の実施実績は2.4%とかなり低め。広告運用に多少リテラシーや手間が必要になる事がハードルになっているのでしょうか。

続いて、年間来場者数50,000人以下の施設の方も見てみましょう。

年間来場者数5万人以下の施設の有料集客プロモーションのグラフ

こちらはSNS広告、DM(紙)が同率トップで18.3%。続いて雑誌広告が14.6%で次点に。もっとも少なかったのがメール広告と検索連動型・運用型広告の2.4%となりました。雑誌広告やDMなどの「紙媒体」と「SNS広告」が強く、50,000人以上の施設と同じような傾向が出ています。

一方、ポスティング広告については大きく差が出ており、50,000人以上の場合は4.8%で9位なのに比べ、50,000人以下の場合は11%で4位。集客ターゲットについてのアンケートデータにもあった通り、年間来場者数の少ない施設ほど、より近場からの集客を狙う傾向があり、地域を絞って狙い撃つような「ポスティング広告」の強みが、より活かせると考えられているのかもしれません。

集客プロモーション手法について(効果・満足度)

上記は、広告の効果や満足度ではなく、過去の活用実績の有無に関しての設問でしたが、次にご紹介するデータは、実施した上での満足度について。プロモーションとして実施してみて実際に効果があったものを、「集客力(数)」と「コストパフォーマンス(費用対効果)」の2点から絞りこんでみます。まずは50,000人以上の施設から。

年間来場者数5万人以上の施設の有料集客プロモーション満足度のグラフ

集客力・コスパともに、もっとも満足度が高かったのは「SNS広告」。次点が「検索連動型・運用型広告」。なお、集客力は弱いがコスパは良いのが「記事広告(WEB)」、逆に集客力の高さに比べてコスパがいまいちなのが「テレビ広告」のようです。

実施実績のデータではかなり数の少なかった「検索連動型・運用型広告」ですが、実際に活用されている施設さんは相当満足度の高い成果に繋げられているようです。

年間来場者数5万人以下の施設の有料集客プロモーション満足度のグラフ

続いて50,000人以下の施設の場合。こちらでもっとも満足度が高かったのは「SNS広告」。集客力・コスパともにトップとなっています。続いて「検索連動型・運用型広告」となっており、満足度の面からみて「SNS広告」「検索連動型・運用型広告」が上位になるのは、50,000人以上の施設の場合と同様です。

さらに、「ポスティング(紙)」や「DM(紙)」のようなエリア狙い撃ちの紙広告も、満足度が高いようです。やはり近所や地域を限定して集客を狙うには、効果的・効率的に活用出来るツールと言えるのではないでしょうか。

一方、実績ではもっとも多かった「雑誌広告」については、規模関係なく満足度は低めに。ブランディング効果等、間接的な成果として捉える部分もあるのでしょうが、直接的な集客のためのプロモーションとして考えるのであれば、少し戦略を練り直す必要がありそうです。

おでかけ施設の集客プロモーション(広告活用)に関するまとめ

■年間来場者数50,000人以上の施設の場合
◎ターゲット属性
  • 集客ターゲットは県内・県外のファミリー層が多い
  • リピーター集客は、新規集客の時より県内比率が上がる
  • 未実施含め、月間のプロモーション予算10万円未満が6割ほど
◎プロモーション方法
  • 活用実績としては「雑誌広告」がもっとも多いが集客効果・満足度は低め
  • 活用実績は少ないが「検索連動型・運用型広告」の満足度は非常に高い
  • SNS広告は実績・満足度ともに高い
■年間来場者数50,000人以下の施設の場合
◎ターゲット属性
  • 集客ターゲットは県外よりも県内のファミリー層が多い
  • リピーター集客は、新規集客よりさらに県内比率が上がる
  • 月間のプロモーション予算10万円未満が9割(半数は未実施)
◎プロモーション方法
  • もっとも満足度が高いのはSNS広告。(実績・満足度ともに)
  • エリアを絞った近場の集客にはポスティングやDM(紙)が効果的
  • 活用実績としては「雑誌広告」がもっとも多いが集客効果・満足度は低め
  • 活用実績は少ないが「検索連動型・運用型広告」の満足度は非常に高い

今回のアンケート結果から考察すると、雑誌広告については成果側面からもう一度見直してみると良いかもしれません。逆に施設規模関係なく、SNS広告は積極的に活用すべきプロモーションツールと言えるでしょう。同様に、検索連動型・運用型広告のような、単価や掲出量を自身でコントロールし、成果をウォッチしながら運用していくプロモーション手法もどんどん取り入れていくべきと言えます(どうしても多少の知識や手間・時間は必要になりますが)。また、より近場からの集客を狙うのであれば、ポスティングやDM(紙)も効果的に活用出来るツールと考えられます。

もちろん、施設のジャンルや特性、立地条件によって、戦略も手法も大きく変わってくるとは思いますが、貴施設の今後のプロモーション戦略を練るにあたり少しでも参考になれば幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国95のおでかけ施設

調査日程/2020年12月15日~12月31日