子育てファミリーの移住意識に関するユーザーアンケート

2019年以降、東京や大阪など都会への一極集中を解消するための地方創生事業として、地方に移住してきた人に対してお金や家などを支給をする、移住者支援制度を設けるようになりました。実際、子育て世代のファミリーは移住についてどう思っているのでしょうか。今回は、「子育てファミリーの移住意識に関するユーザーアンケート」の結果を紹介します。
※2018年のアンケートデータを活用

目次

いこーよユーザーの移住意向について

現在の居住地の満足度

移住先への要望

子育ての理想の環境

地方居住・地方子育ての不満点

いこーよユーザーの移住意向について

はじめに、移住を予定したり検討しているかなど、移住に関する意向について尋ねた結果がこちら。

移住に関する意向

※1 内閣官房「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」2014 年8 月実施
※2 インテージ「1万人の移住意向調査」2015年3月実施

全国の場合と東京在住に絞った場合で分けてみると、双方ともにいこーよユーザーのほうが内閣府やインテージの調査結果に比べて移住意向が高い結果となりました。つまり、いこーよユーザーは移住について前向きな方が多いと言えます。

続いて、子どもの年齢別で見てみた場合がこちら。

子どもの年齢別移住意向
長子の年齢別移住意向

子どもが2歳以下の方が移住意向が高くなっています。これは、移住するのであれば子どもが幼稚園などに入園して友達関係を築く前に動きたい、そんな思いが反映されているのではないでしょうか。

3~8歳に比べ、9歳以上が高くなるのも、子どもがある程度大きくなり自分で友達を作って関係を築ける年齢になっている事が影響していると考えられます。

次に、移住検討に対して、現在の居住地・パパママの出身地等が関係するのかどうかを調べた結果がこちら。

出身県の相違別移住意向

現在の居住地がパパママ両方ともの出身地と違う場合、移住を検討する割合が高くなっています。また、片方が同じでも片方が違えば、両方同じ場合よりも高くなるようです。出身地に居住している場合、住み慣れた環境で住み心地も良いでしょうから、わざわざ移住をするという考えには至らないのかもしれません。

では、パパママの両親(祖父母)との同居は関係してくるのでしょうか。

父方祖父母同居移住意向
母方祖父母同居移住意向

父方の両親との同居、母方の両親との同居で分けた結果、母方の両親と同居している方が移住の検討率が上がることがわかりました。

現在の居住地の満足度

現在の居住地の満足度について尋ねた結果がこちら。

現在の住まいの環境の満足度
住まいの環境の満足点

約7割のユーザーが満足していると回答。満足しているポイントは「買い物や職場等へのアクセスの良さ」が上位に来ており、日々の生活にストレスが少ない環境を居住地として選択している人が多いことがわかります。

逆に、不満に感じているポイントについて尋ねた結果が以下。

「子どもの遊び場があまりないこと」や「自治体の子育て支援が充実していないこと」が上位に来ています。最近では、子育て支援に力を入れている自治体も増えてきていますが、数にすればまだまだ少ないのでしょう。

移住先への要望

では、移住先に求めることは一体何なのでしょうか。

移住先への要望

もっとも高い割合となったのが「生活コストが安い」こと。やはり、子育てにはお金がかかるため、少しでも生活にかかる費用を抑えたいという思いが反映されているようです。

続いて、ユーザーの居住地を「政令指定都市」「都道府県庁所在地」「それ以外」で分けて見てみました。

居住地別移住先への要望

政令指定都市に在住の方には「四季や旬」「自然の多いところでのびのび」「自然がきれいなところ」などの言葉が響いており、より自然豊かな地域への移住の潜在希望があると言えます。

ただし、「仕事や収入」「通勤通学」「教育」「医療」などに支障がなかったらという条件が付いており、その点は日頃都会で便利に生活している人ならではの条件と言え、利便性をすべて捨てて見渡す限り自然ばかりの地方への移住はなかなか難しいのかもしれません。

子育ての理想の環境

子育て世帯にとって、子育てがしやすい環境が整っていることは絶対条件ではないでしょうか。そこで、親が考える「子どもを育てる際の理想的な環境」についても尋ねてみました。

子育て環境の理想

上位にあがってきた項目は「治安、自治体、教育機関、医療機関と、整ったインフラ」。その中でも「治安のよさ」がダントツで高い割合に。やはり安全で安心できる環境のもと、のびのびと子どもを育てたいという思いを持った親が多いようです。

さらに、要望事項と同様に、ユーザーの居住地を「政令指定都市」「都道府県庁所在地」「それ以外」で分けて見てみましょう。

居住地別子育て環境の理想

すると、政令指定都市など、都会居住者の方がより「治安、自治体、教育機関、医療機関と、整ったインフラ」を求める傾向が高く、いかにインフラが整っていることを訴求できるかどうかが、移住の後押しのポイントとなりそうです。

なお、希望事項の際には響いていた「自然」や「水や空気のきれいさ」などはそこまで高くなく、理想の環境という観点では二の次になるようです。

地方居住・地方子育ての不満点

最後に、現在「地方」に居住している方が抱えている不満についてフリー回答で尋ねた結果を一部抜粋して紹介します。

  • 【交通の便】
  • いちいち「車」を利用しなければならない、交通機関が不便(多数)
  • 食料品以外の買い物が不便
  • 駅までもう少し近いと嬉しい
  • 【住環境】
  • 歩道が狭いのに車通りが多い、家のまわりの道が狭い(多数)
  • 住宅密集地、住居が狭い
  • 【コミュニケーション】
  • 近所に同世代の人、子供がいない
  • 【行楽】
  • 都心みたいに多様なイベントがなく自然やアウトドアのような体験はともかく科学展や体験型イベントなど子供の刺激になるようなイベントがない。美術館もほとんど知らない写真家の展覧会やお年寄りむけ。水族館に行くのも三時間以上車を走らせて交通費はばかにならない。なので頻繁には行けない。特に冬場は家族やお友達ファミリーと出掛けるところも遊ぶところもない。習い事や塾の種類も限られている。公園も似たり寄ったりでイマイチ。
  • 近所に公園はあるけれどその公園の環境がよくない
  • 行楽がない

地方は自然も多く、治安も良い地域が多い一方で、交通の便が悪かったり、子どもが遊べる場所や施設が少ないといった子育てをするには不便な点もあるようです。

今回は、2018年の集計データを元に、子育てファミリーの移住意識に関するユーザーアンケートの結果をまとめました。以前よりは制度も整い、子育て世帯向けに開発を進める地域も増えてきていると思います。こちらのデータが少しでも移住促進を課題としている行政・自治体の方の参考になれば幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/いこーよを利用したユーザー216名

調査日程/2018年7月頃