2022年8月公開分(7・8月分データ)「過去波と比べ7波の影響は最小、子ども達の活動を止めないでの声多数」

3年ぶりに新型コロナウィルスによる行動制限を伴わない夏休みに期待していたお出かけ市場を、第7波が直撃しました。感染防止観点のためだけでなく、自分自身や家族がコロナに感染したため夏休みの予定を変更したという人も少なからずいらっしゃったのではないでしょうか。そこで今回は、第7波の中でのお出かけ状況や、コロナに対する意識などについて調査・分析をしてみました。

目次

第7波の影響を受け、6~7月に回復していたお出かけ意欲が8月は減少

8月前半は雨などの天候の影響も大きく受け、東北を中心に東日本へのお出かけ不調傾向

「コロナがとても怖い」が再度24%に増加、屋内施設への「遊びに行きたい」意欲にも影響

第7波は今までの波に比べると最も影響は少ない

8月後半に入りお出かけ意欲は回復傾向へ

「これ以上子どもたちの学校行事や宿泊行事がなくなるのはかわいそうだ」という意見が9割超

お出かけ市場レポート総括

第7波の影響を受け、6~7月に回復していたお出かけ意欲が8月は減少

以下グラフは、2020年4月からの「いこーよ」サイト閲覧数(お出かけ施設ページのみ)と、2019年(コロナ前)の閲覧数を比較したものです(2019年を100%として比較)。お出かけ意欲の増減をみるひとつの指標として活用しています。

第7波の影響で、好調だった6~7月から一転し、8月の現時点では、対2019年比81%とお出かけ意欲が低下しました。

いこーよのサイトアクセス数の比較

※直近の8月のデータは、分析時点の8月中旬までのデータを使用。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。

出典:Google Analyticsより

8月前半は雨などの天候の影響も大きく受け、東北を中心に東日本へのお出かけが不調傾向

今年の8月1日~17日の都道府県別のお出かけ状況を、「いこーよ」の都道府県別ページのアクセス数で分析しました。昨年のアクセス数を100%とした場合の今年のアクセス伸び率をグラフにしています。赤の棒は他都道府県と比較して昨年比の伸びが低い都道府県、緑は高い都道府県を表しています。

これをみると、どの都道府県も昨年と比べると大きく「いこーよ」でのアクセス数が伸びており、昨年比110%以上となっています。

ただし、地域別にみると西日本は昨年と比較してアクセス数の伸び率が大きくなっています。反対に東北を始めとして東日本では昨年と比べた伸び率が低めの都道府県が多く、東北などでの記録的豪雨がお出かけ状況に大きく影響したと考えられます。

また、首都圏と関西圏をみると、東京および大阪は昨年と比べたアクセス数の伸び率が非常に大きいですが、その周辺の県では逆に小さい県が多く、東京と大阪にお出かけが集中し周辺県にはあまり行かなかった様子が伺えます。

2022年8月の「いこーよ」都道府県ページ別アクセス数昨対比~東日本~
2022年8月の「いこーよ」都道府県ページ別アクセス数昨対比~西日本~

出典:Google Analyticsより

コロナが「とても怖い」が再度24%に増加、屋内施設への「遊びに行きたい」意欲にも影響

続いて、新型コロナウィルスの感染リスクに対する考えを時系列で比較したデータがこちらです。第7波の影響で、6月には11%まで減少していた「とても怖い」という割合が、8月は24%まで増加しました。「全く気にしていない」、「あまり気にしていない」の合計も6月には23%にまで増加していましたが、8月は13%に減少し、感染リスクに対する恐怖意識が再度戻っています。

ただし、「とても怖い」という割合は、2月の第6波の時の31%までにはならず、波が来ているとはいえある程度抑えられている状況と言えます。

新型コロナウイルスの感染リスクに対する考え

出典:いこーよ8月ユーザーアンケートより

同じく時系列で見ている屋内施設へのお出かけ意欲に関するデータでも、「積極的に遊びに行きたい」と「遊びに行きたい」の割合が6月に70%だったのが8月は60%に減り、「なるべく遊びに行きたくない」、「決して遊びに行きたくない」も6月に8%だったのが8月で17%まで増えました。

屋内施設へのおでかけ意向

出典:いこーよ8月ユーザーアンケートより

屋外施設へのお出かけ意欲についても、「積極的に遊びに行きたい」「遊びに行きたい」の合計が6月には92%だったのに対し8月は85%に低下しています。ただし、屋外に関しては「遊びに行きたくない」という人はそれほど増えず、基本的には「遊びに行きたい」という人が圧倒的に多いという状況は変わりません。

屋外施設へのおでかけ意向

出典:いこーよ8月ユーザーアンケートより

第7波は今までの波に比べると最も影響は少ない

こちらは、「いこーよ」サイトのセッション数の対2019年比を今までのコロナの各波のピーク月だけ抜き出してグラフにしたものです。

第7波で2019年比82%まで減少したものの、過去の波と比べるともっともコロナの波の影響を受けていません。波が重なるにつれて、少しずつお出かけ状況が通常時に戻っていると言えます。

第1波~第7波までのいこーよのサイトセッション数対2019年比

出典:Google Analyticsより

同じく、屋内施設や屋外施設のお出かけ意向を、コロナの各波のピーク月だけを抜き出してグラフにしたものです。お出かけ意向のデータでも、やはり今回の第7波でもっとも「遊びに行きたい」の合計が多くなっており、意識においても通常時に戻ってきていることがわかります。
(※この質問は毎月測定していないため、各波のピーク月と測定月のタイミングが違うことがあります。その場合は近い月のデータで比較しています。)

屋内施設へのおでかけ意向

出典:いこーよユーザーアンケートより

屋外施設へのおでかけ意向

出典:いこーよユーザーアンケートより

8月後半に入りお出かけ意欲は回復傾向へ

以下は、Google Trends(ある単語がどのくらいGoogleで検索されたのかを表した推移データ)で、「コロナ」の検索数の推移を見たものです。第7波後、コロナへの関心が高まり増えていた検索数も、8月を過ぎてから減ってきています。

Google Trendsによる「コロナ」検索数推移

出典:Google Trendsより

第7波で急激に高まった「BA5」に対する関心も、急速に減少しています。

Google Trendsによる「BA5」検索数推移

出典:Google Trendsより

「自粛」についても関心が低下しています。第7波の自粛意識は、ピーク時に高まりはしたものの、第5波や第6波と同程度までには達していません。

Google Trendsによる「自粛」検索数推移

出典:Google Trendsより

一方、第7波のピークが過ぎたことを反映し、「おでかけ」を検索する人が少し増えてきています。

Google Trendsによる「おでかけ」検索数推移

出典:Google Trendsより

同じく、「旅行」の勢いも少し戻ってきています。

Google Trendsによる「旅行」検索数推移

出典:Google Trendsより

「これ以上子どもたちの学校行事や宿泊行事がなくなるのはかわいそうだ」という意見が9割超

第7波に対する考えを聞いてみました。

今回の第7波では、「外出自粛などの行動規制は必要ない」「飲食店の営業時間短縮や人数制限は必要ない」という考えに対しては意見がわかれており、賛成する意見がやや多いという結果になりました。ただ、「個々人の考えで感染対策をすることが重要だと思う」という考えに対しては、圧倒的に「そう思う」が多くなっています。 具体的な行動に関して第7波でどのようにしたいと思っているかについて聞いたところ、大人数の会食については約8割、対面のイベントに関しては7割弱が「第7波のピークが過ぎるまで控えよう思う」と回答、それに対し旅行やお出かけに関しては、「第7波のピークが過ぎるまでは控えようと思う」という人が半数弱と少なく、大人数の会食や対面のイベントよりは控えなくてもいいと考える人が多くなっています。

また、「これ以上子どもたちの学校行事や宿泊行事がなくなるのはかわいそうだ」という意見が9割を超えており、子どもたちの学びや思い出作りの場をこれ以上制限しないでほしいという強い思いが表れています。

第7波に対する考え

出典:いこーよ8月ユーザーアンケートより

お出かけ市場レポート総括

第7波の影響を少なからず受けた夏休みのお出かけ市場でしたが、行動制限を伴わなかったこともあり、今までの第6波以前と比べるともっとも影響が少なかったことがわかりました。第7波の新規感染者のピークを過ぎ、お出かけ意欲も少し回復傾向にあります。

新型コロナだけでなく、天候もお出かけ状況に大きく影響を与えており、記録的豪雨だった東北など東日本では西日本に比べてお出かけ状況が低調傾向だったこともわかりました。 第7波に対する意識を聞いた質問では、行動制限に対する考えはそれぞれの個人や、制限される行動が会食か旅行かなどで意見がわかれていますが、9割超の家族が、「これ以上子どもたちの学校行事や宿泊行事がなくなるのはかわいそうだ」と回答していることが印象的です。

世界の動きに続いてウィズコロナに本格的に舵を切りつつある昨今、医療、旅行・お出かけ市場を含む経済活動、子どもたちの教育現場などが、今後どのようなバランスで進んでいけば全体での負担や被害がもっとも少なく済むのかを、一人一人が今まで以上に考え、模索し続けていくタイミングに来ていると感じます。