おでかけ施設のSNS活用状況に関する施設アンケート
おでかけ施設にとって、ユーザーへの情報発信(拡散)やコミュニケーション、マーケティング、集客の為に、もはや無くてはならないツールとなったSNS。自社会員システムの為に大きな費用や時間をかけずとも手軽に会員化をおこなえるため、積極的に運用されている施設さんも多いのではないでしょうか。一方、本気で取り組めば取り組むほど手間も時間もかかるのがSNS運用。そこに人手をかける事に二の足を踏んでしまう施設さんも少なくないと思います。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国119のおでかけ施設および98のイベンターの回答から、「おでかけ施設のSNS活用状況」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。
おでかけ施設の現在のSNS運用状況について
まずは、そもそも今現在どのくらいのおでかけ施設が「公式SNS」を運用しているのか?について調べてみました。

既に公式SNSを運用している施設さんが88%と、ほぼ9割のおでかけ施設は何らかのSNSを活用されています。過去のアンケート結果から、なんとなくおでかけ業界はデジタルとアナログの2極化が強い印象を持っていたのですが、SNSについては非常に積極的に活用している業界と言えます。逆にまだ活用されていない12%の施設さんは、この状況を自覚し、改めて自施設のSNS運用について検討されてみてはいかがでしょうか。
おでかけ施設が活用しているSNSの種類について
最近話題となっている「Clubhouse」のように新しいツールやサービスが次々と出てくる中、どれを?いつから?どうやって?始めれば良いのか分からないという施設さんも少なくないでしょう。そこでお次は、現在おでかけ施設で運用されているSNSの種類について聞いてみました。

もっとも使われているSNSは「Facebook」で80.6%。次いで「Instagram」の77.4%。そして「Twitter」54.8%、「LINE」40.3%と続きます。
正直、国内での利用者が減少している「Facebook」がトップである事に多少違和感を感じてしまいましたが、確かに「Facebook」のメイン層は20代~40代で小さなお子様を持つママパパ世代にフィットしています。また、「Facebook」にはFacebookページを活用して自施設のサービスや商品をユーザーやファンに訴求する機能もありますので、店舗が運営する公式SNSとしては活用しやすいツールと言えます。ちなみに「おでかけ施設の集客プロモーション(広告活用)に関する施設アンケート」では、「SNS広告」は施設規模に関わらず上位でした。そういった「広告連動のしやすさ」も、おでかけ施設が積極的にFacebookを活用する要因なのかもしれません。
また、2位とはいえ活用率が77.4%と非常に高いのが「Instagram」。こちらは若年層を中心に年々利用者数が増えており、当面はおでかけ業界においてもSNSツールの中心として活用されそうです。
なお、今回アンケートに答えて下さった施設さんの中で1施設だけですが「Clubhouse」という回答がありました。今急激に会員を増やしている話題のツールですし、今までにはないタイプのSNSなので、今後の成長・展開が楽しみです。
おでかけ施設がもっとも成果を感じているSNS
前述の通り、新しいツールやサービスが次から次に出てくるSNSですから、既に複数ツールを運営されている施設さんも少なくないでしょう。そこでお次は、おでかけ施設が「もっとも成果を感じているSNS」について聞いてみました。

2位以下に倍以上の差をつけ、「Instagram」が39%でトップに。続いて「なし(成果を感じるSNSはない)」と「Facebook」が17%で同率2位。「なし(成果を感じるSNSはない)」が2位というのは少し寂しい結果ですが、まだまだ改善の余地があるとも言えます。
「Instagram」は10代・20代の若年層が中心と言われていますが、ママ・パパにも十分有用なようです。これだけのおでかけ施設が明確に「成果を感じている」と答えているわけですから、まだ活用されていない施設さんは、すぐにでも始めるべきではないでしょうか。
ちなみに上記は、単純に回答の数からSNS毎の占有率を表示したグラフなので、どうしても元々利用数が少ないツールは占有率も少なくなってしまいます。改めて、ツール別の利用数も加味した満足度(各ツールの利用数を母数とした満足度)の視点で集計してみましょう。

こちらでは「Instagram」の満足度は50%で、活用されている施設さんの半数が「もっとも成果あり」と答えています。やはりおでかけ施設と「Instagram」の相性は非常に良さそうですね。一方、「Facebook」については、僅差ではありますが「LINE」「Twitter」よりも下に。どのSNSに力を入れるべきか、またはどのSNSから始めるべきか、悩んでいる施設さんにとってはひとつの参考になるデータではないでしょうか。
おでかけ施設がSNS活用によって実感している成果
続いて、おでかけ施設が「SNS活用で実感している成果」について掘り下げてみたいと思います。こちらはフリーアンサーで自由にご回答頂いたものを、テーマ別に分類した結果となります。

SNSの成果として、半数近くの施設さんが実感しているのが「集客」。その他は「マーケティング」「情報発信力」「コミュニケーション」「認知度向上」と、4つのテーマが近しい比率で並びます。特に多かったテーマ「集客」「マーケティング」に関する回答について、具体的な内容をいくつか紹介させて頂きます。
- 【集客】
- 体験申込やイベントの申込が「インスタを見て」という方がかなりいます
- Instagram広告に対する反応がよく若い世代の来園に繋がっている
- SNSを見て興味を持って来店されるお客様が増えた
- 告知をするとお客様からメッセージで予約が入る
- 来場の時にインスタ見たと言ってくださる方が多い
- 【マーケティング】
- イベント案内を掲載すると反応やコメントをもらえる
- facebookなどでの情報発信は記事を見てくれた人の反応ががわかる
- 博物館への関心度合を図るのに一役買っている
- リツイートやいいねなど投稿内容に対する反応が分かる
- 見てくれている人で興味関心の高いターゲット層が分かる
おでかけ施設が運営する公式SNSの会員数について
おでかけ施設の大半が既に公式SNSを活用している事は分かりましたが、皆さんどのくらいの規模のアカウントを運用されているのでしょうか。続いては「運営している公式SNSの会員数」について聞いてみました(複数のツールを運営されている施設はもっとも会員登録数の多いSNSで回答)。

「100人未満」のアカウントが18%、「100人~499人」が26%、「500人~999人」が19%、「1,000人から2,999人」が22%となっています。「3,000人以上」も10%程度はいるようですが、多くのおでかけ施設のSNSアカウントは「1,000人未満」の規模感と考えて良さそうです。
おでかけ施設が運営する公式SNSの運営体制・状況
続いて、おでかけ施設が運営する公式SNSの「運営体制」と「運営状況」について、いくつかの項目に分けて調べてみました。まずは「更新頻度」に関するアンケート結果から紹介させて頂きます。

全体の4割の施設さんが「週に2、3回」の更新頻度でSNSを運用されています。次いで「月に数回程度」が29%、「1日に1回程度」が20%と続きます。アカウントを作ってみたものの更新せずに放置してしまうのが一番良くありません。そういった意味では「更新していない」と答えた施設さんがほとんどいない(2%)というのは、喜ばしい結果と言えます。
また、何の情報を発信するかによっても「適した更新頻度」は変わってくるでしょうから、一概にどれが正解とも言えません。そこでお次は「SNSへの発信内容」について聞いてみました。

95%近い施設さんが「(施設の)最新情報・お知らせ」を届けるために活用されているようです。「スタッフの日常・つぶやき」を発信している施設さんも37.6%と意外と多いですね。SNSは文字の先に「人」が見えると「ファン化」しやすいとも言われています。機械的な情報投稿だけでなく、時には「人の温度」を感じる投稿を適度に混ぜてあげるのも有効ではないでしょうか。
また、少し気になったのが「混雑状況」が9.7%と非常に低い事。ユーザーに「おでかけ先(施設)を決めるポイント」について聞くと、常に「混雑状況」は上位に顔を出します。比較的空いている時間帯や曜日の情報などを事前に届けてあげれば、単純な集客効果だけでなく「集客の効率化(分散化)」にも繋げられるのではないでしょうか。
続いて、公式SNSの運用に携わっている「スタッフ数」について。SNSの運営をしっかりおこなう為にはそれなりに時間と手間がかかります。会員数や発信内容と違い、運営体制についてはなかなか外からは分からない情報なので、他の施設さんがどれくらいの人手をかけて運用されているのか、気になっている施設さんも多いのではないでしょうか。

半数近い施設さんが「1人」のスタッフで運用されているとの事。おそらく専任(SNS運用だけ)で人を配置している施設さんはそう多くないと思いますので、厳密には「1人以下(兼務)」というニュアンスで捉えた方が実情に近い気がします。
SNS運用をおこなっていない理由
最後に、今時点で公式SNSを運用されていない施設さんに対し、「SNS運用をおこなっていない理由」について聞いてみました。

やはり、上位は「人」と「手間」への懸念が上がりました。逆にいうと「人」や「手間」をかけるだけの「成果」が見込めれば、という事でしょう。前述の、SNSを既に活用されている施設さんのアンケート結果を見ると、集客やマーケティングなど、きちんと成果に繋げているおでかけ施設も少なくありません。まだSNSを運用されていない施設さんは、改めて「SNS」への取り組みについて検討されてみてはいかがでしょうか。
おでかけ施設のSNS活用状況に関するまとめ
- 約9割のおでかけ施設は(何らかのツールを活用し)公式SNSを運営している
- もっとも使われているSNSはFacebookで80.6%、次いでInstagramの77.4%
- もっとも満足度が高いツールは「Instagram」で、利用施設の半数が成果を実感している
- 半数近くの施設さんが公式SNSの成果として実感しているのが「集客」
- おでかけ施設のSNSは「1,000人未満」の規模が多く「3,000人以上」は10%程度
- 約4割の施設が「週に2、3回」の更新頻度でSNSを運用。「月に数回程度」が3割程度
- 95%の施設が「最新情報・お知らせ」を届けるためにSNSを活用している
- 施設情報だけでなく「スタッフの日常・つぶやき」を発信している施設も37.6%いる
- 半数近いおでかけ施設が、現状「1人以下」で公式SNSを運用している
- 公式SNSを運用しない理由の多くは「人がいない」事と「手間がかかる」事
SNSによる集客効果の高さや重要性は他業種でも年々高まっています。そして、今回のアンケート結果での「おでかけ施設におけるSNS利用率」の高さをみても、今後「SNS」の活用方法や成果が、おでかけ施設にとってより重要になってくるのは間違いないでしょう。
今回のアンケート結果を貴施設の今後のSNS戦略に少しでも役立てて頂けますと幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/全国119のおでかけ施設および98のイベンター
調査日程/2021年2月15日~2月20日