おでかけ施設の会員化および会員活用に関する施設アンケート

おでかけ施設の会員化、言い換えれば自施設の「ファン」になってもらう事。集客面においてもマーケティング面においても、おでかけ施設にとって非常に重要な課題だと思います。とはいえ、ユーザーに登録を促したところで、そんなに簡単に「会員」が集まるわけでもないでしょうし、苦労して集めた「会員」を活用し集客や売上に繋げるには、また別の戦略が必要です。

そんな「会員化および会員活用」に関する戦略策定のためには、他施設の施策内容や状況は極めて重要な情報となるはずです。そこで今回は、アンケートに協力して頂いた全国74のおでかけ施設の回答から、「おでかけ施設の会員化および会員活用」についてのアンケート結果を紹介させて頂きます。

今回は「おでかけ施設への会員登録に関するユーザーアンケート」の結果と比較しながら解説している部分が多いので、お時間あるようでしたらこちらも是非ご覧ください。

目次

アンケート対象施設の規模区分

おでかけ施設における会員化施策の実施状況

会員登録時の状況や方法について

会員へ付与する特典について

会員登録に必要な入力項目について

施設から会員に対しての連絡や通知について

おでかけ施設の会員化および会員活用に関するまとめ

アンケート対象施設の規模区分

まず、今回のアンケート対象となった74施設の年間来場者数について。

74施設の年間来場者数のグラフ

今回のアンケート対象となった施設は、年間来場者数10,000人以下の施設が51%。10,001人から100,000人の施設が21%、100,001人以上の施設が28%となっています。以降のデータについては、上記の施設規模(年間来場者数)のおでかけ施設による回答をもとに算出されている事を前提にご覧いただければと思います。

おでかけ施設における会員化施策の実施状況

まずは、「今現在、会員化のための施策を実施しているか」について。施設規模による差異も踏まえ、年間来場者数50,000人以上と50,000人以下の施設に分けてデータを出してみます。

現在会員化施策を実施しているかどうかのグラフ(50,000人以上の施設)

年間来場者数50,000人以上の施設の場合、「会員化施策を実施している」と答えた施設は54%、実施していない施設が46%とほぼ半々に。ユーザー側に聞いた「おでかけ施設への会員登録をおこなった事があるか」の設問では約7割のユーザーが「ある」と答えている事を考えると、若干会員化をおこなっている施設比率が少ない印象を受けます。

一方、もう少し規模の小さい50,000人以下の施設に絞るとどうなるのでしょうか。

現在会員化施策を実施しているかどうかのグラフ(50,000人以下の施設)

50,000人以上の施設に比べ、さらに「会員化施策を実施している施設」の比率は下がり、全体の25%に。75%のおでかけ施設が、現時点で会員化に関して何も施策をおこなっていないというのは、なかなか驚きの結果です。

ちなみに、ユーザーに聞いた「おでかけ施設のお知らせからの再来訪」に関するアンケートでは、施設からのお知らせを受け取ったユーザーのうち、75%が「再来訪経験あり」との事でしたので、リピート集客に対して「会員化」が有効である事は間違いないでしょう。まだ会員化施策を実施していない75%の施設さんには、積極的に「会員化」の仕組みを導入する事をおすすめします。

さらにもうひとつ、「屋内施設」と「屋外施設」に分けたアンケート結果も。

現在会員化施策を実施しているかどうかのグラフ(屋外施設)

こちらは「屋外」のおでかけ施設のみに絞った「会員化施策実施状況」についての結果です。ほとんどの施設さんが「未実施」と答えており、現時点で既に会員化をおこなっているのは全体の16%のみ。これが「屋内施設」になるとどう変わるのでしょうか。

現在会員化施策を実施しているかどうかのグラフ(屋内施設)

「屋内」のおでかけ施設の場合、「会員化施策」を実施している施設が半数近い45%に。「屋外」に比べ、明らかに「屋内」のおでかけ施設の方が積極的に「会員化施策」を実施しています。これは、おでかけ施設における会員化についての傾向と言えるかもしれません。

会員登録時の状況や方法について

続いて、会員化施策をおこなっている施設さんに対して、会員登録時の状況や方法について聞いてみました。まずは、ユーザーが会員登録をおこなう場所や使用するツールについて。

お出かけ施設の会員登録方法のグラフ

「店頭で登録用紙へ記入」させている施設さんが46%ともっとも多く、次点が「店頭でスマホによる登録」の24%。飲食店などでよく見る「SNS連携」は僅か9%となっています。現状トップの「登録用紙への記入」は、ユーザー側にとっても施設側にとっても、もっとも手間がかかりそう(会員データの管理や登録後の活用時含め)な印象ですが、他業種と同じように、今後はおでかけ施設も「スマホ登録」や「SNS連携」の比率が増えていくのでしょうか。

お次は「施設利用に対して会員登録が必須かどうか」について。

会員登録が必須かどうかのグラフ

8割以上の施設さんは、「必須」ではなく「任意」での会員登録にしているようです。一概にどちらが良いという話ではありませんが、現状おでかけ施設の会員登録においては、「任意」での登録がスタンダードになっていると言えるでしょう。ちなみにユーザーへのアンケートでは、おでかけ施設への会員登録をおこなった事のあるユーザーのうち、「必須」だったケースと「任意」だったケースはほぼ半々でした。「任意」の場合、どうしても「登録率」は下がるでしょうから、今回のユーザー側との差異についてはその辺の影響が表れているのかもしれません。

会員へ付与する特典について

「登録率」の面では、「会員特典の有無」も大きく影響するのではないでしょうか。ユーザーにとって会員登録にメリットを感じられれば、たとえ任意だったとしても「登録したい」と思うユーザーは増えるでしょう。では、どのくらいの施設が、登録時に会員特典を付けているのでしょうか。

お出かけ施設の会員に付与した特典のグラフ

「特典なし」の施設さんは全体の1割以下。ほとんどのおでかけ施設は、会員登録に対して何らかの「会員特典」を付けているようです。中でももっとも多かったのが「施設入園料金の割引」で32%。続いて「施設内設備や飲食等の割引」が19%と、「割引」に関する特典だけで全体の半数を超えています。

ユーザーへのアンケートでも、「割引」はもっともニーズの高い特典でしたので、今回の結果ともフィットしています。なお、ユーザー側では「割引」に次いで「誕生日特典」も非常に高い結果が出ています。施設側の実施状況においては12%と低めですが、こちらも積極的に活用されると良いのではないでしょうか。

会員登録に必要な入力項目について

続いて、「会員登録に必要な入力項目」について聞いてみました。会員化施策を既に実施されている施設さんは、会員情報として一体どのようなユーザー情報を取得しているのでしょうか。

お出かけ施設の会員登録に必要な入力項目のグラフ

「住所」84.6%、「電話番号」76.9%、「親の名前」61.5%と、個人情報の代表格のような項目が上位に並んでいますが、昨今のユーザーが嫌がりそうな項目ばかりの印象です。いったい「住所」や「電話番号」は何に活用されるのでしょうか。ハガキによるDM送付や電話営業などをおこなっている施設さんがそんなに多いとも思えないので、少し驚きました。

ちなみに、「ユーザーが会員登録時に許容できる入力項目」の結果とも大きく乖離しています。改めて、貴施設が会員化をおこなう目的を明確にし、取得項目について「本当に必要な情報の整理」をおこなった方が良いかもしれません。

施設から会員に対しての連絡や通知について

最後は、会員に対してのお知らせや通知について。せっかく自施設の会員になってくれたのですから、その情報を有効に活用し効率的に集客等に繋げたいところです。そもそも、会員へのお知らせや通知をおこなっている施設さんはどれほどいるのでしょうか。

お出かけ施設の会員への連絡をしているかどうかのグラフ

会員を持っているおでかけ施設のうち、73%の施設さんは会員に対して何らかのお知らせを送っているとの事。逆に、会員に対して連絡や通知をおこなっていない3割近い施設さんは、リサーチのみに会員情報を活用されているのでしょうか。前述の通り、施設からのお知らせを受け取ったユーザーのうち、75%が「再来訪経験あり」との結果も出ていますので、かなりもったいない気がします。

お次は、会員への連絡・通知をおこなっている施設さんの「連絡方法」について。

お出かけ施設の会員への連絡・通知方法のグラフ

さきほど、「ハガキによるDM送付や電話営業などをおこなっている施設さんがそんなに多いとも思えないので」などと勝手な推測で書いてしまったのですが、実際は「ハガキ(DM)」がもっとも多く、その後に「LINE」「Instagram」「Facebook」とSNS勢が続きます。アナログ(紙)からデジタル(スマホ)への移行期間の途中と見るのか、もしくはおでかけ施設の場合「ハガキ」からの来訪率が特別高く、あえて「ハガキ」を活用されているのか、判断は難しいところです。

おでかけ施設の会員化および会員活用に関するまとめ

  • 年間来場者数50,000以上の施設の場合、会員化施策を実施しているのは54%で約半数
  • 年間来場者数50,000以下の施設の場合、会員化施策を実施しているのは25%とかなり低め
  • 屋外施設で会員化施策を実施しているのは16%だが、屋内施設だと45%に跳ね上がる
  • 登録方法については、店頭で登録用紙へ記入させている施設が46%ともっとも多い
  • 店頭でスマホ登録させている施設は24%、最近他業種で増えているSNS連携は僅か9%
  • おでかけ施設の会員登録においては「任意」での登録が8割、「必須」は2割程度
  • 登録時「会員特典なし」の施設は全体の1割以下で、ほとんどの施設が何らかの特典あり
  • 特典内容は、「割引」に関する特典だけで全体の半数を超え、ユーザーニーズともマッチ
  • 登録に必要な情報は「住所」「電話番号」が上位に並び、ユーザーニーズと大きく乖離
  • 会員保有施設のうち、73%の施設が会員に対して何らかのお知らせを送っている
  • 会員への連絡方法については、「ハガキ(DM)」がもっとも多く、その後SNS勢が続く

今回は、「おでかけ施設の会員化・会員活用」について、施設側へのアンケートとユーザー側へのアンケートを比較しながら紹介してみましたが、施設側の会員化に関する現状とユーザー側のニーズには、まだまだ大きな乖離がある印象です。他業種が物凄いスピードでデジタルによる会員登録に移行している中、おでかけ施設だけがその波に置いていかれるとも思えません。今後、多くの施設で「会員化・会員活用」に関して様々な改善が施されていくと思います。

ひとつのアンケート結果からの分析ですので、あくまで参考程度ではありますが、今回のアンケート結果を貴施設の今後の会員化戦略に少しでも役立てて頂けますと幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/全国74のおでかけ施設

調査日程/2021年1月15日~1月23日