おでかけ施設への会員登録に関するユーザーアンケート

リピーター獲得、はたまたマーケティング活用など、様々な目的のために多くのおでかけ施設が「会員化」をおこない、自施設の運営に役立てているかと思います。一方、ユーザー側は施設への会員登録に関して、どのように感じているのでしょうか。今回は、いこーよおよびいこーよアプリを利用した305名のユーザーを対象にアンケートを実施し、おでかけ施設への会員登録について、調査・分析してみました。

目次

おでかけ施設への会員登録経験

会員登録をおこなったおでかけ施設のジャンル

会員登録をおこなった際の会員特典

会員登録時の入力項目

会員登録をおこなった際の状況・方法

おでかけ施設から会員へのお知らせや連絡

施設のお知らせから再来訪した経験の有無および特典

おでかけ施設への会員登録に関するまとめ

おでかけ施設への会員登録経験

まずは、「おでかけ施設への会員登録をおこなった事があるか」について聞いてみました。ここ数年でユーザー側の個人情報に対する意識も高まり、会員登録へのハードルが大きく上がっているようにも感じますが、一体どのような結果になるのでしょうか。

会員登録をやったことがあるかどうかのグラフ

おでかけ施設への会員登録経験のあるユーザーは全体のおよそ7割。今回のアンケートは96.1%が小学生以下の子供を持つ親からの回答となっています。その中で、全体の7割が何らかのおでかけ施設に会員登録をしているという状況は、数値としても「非常に高い」と感じます。ユーザーは、おでかけ施設への会員登録について比較的ポジティブに受け止めていると言えるのではないでしょうか。

会員登録をおこなったおでかけ施設のジャンル

では、会員登録経験のある7割のユーザーは、いったいどのようなジャンルのおでかけ施設に会員登録をおこなったのでしょうか。おでかけ施設をジャンル別に分けて見てみましょう。

会員登録をおこなったことがある施設ジャンルのグラフ

7割近いユーザーが「屋内キッズパーク」の会員になっています。利用頻度が比較的高いジャンルとはいえ、会員登録をおこなう事への抵抗感はかなり低いと言えるのではないでしょうか。そして、次点の「遊園地・テーマパーク」もほぼ6割のユーザーが会員登録経験あり。この2ジャンルへの登録率が他ジャンルを圧倒しています。

ジャンルによって施設数や利用頻度の差もあるので、一概に上記数値が会員登録ニーズの差とは言えませんが、ひとつの参考値としてご覧いただければと思います。

会員登録をおこなった際の会員特典

続いて、会員登録をおこなった際の「必須・任意」の状況と「特典」について。会員になる事でのユーザーメリット(割引やプレゼント等)の有無によって、ユーザー側の対応も少なからず変わるでしょうから、その辺りの意識や動向についても掘り下げてみたいと思います。

登録した会員の必須化と特典についてのグラフ

まず、施設やサービスを利用するために会員登録が「必須」だったケースは、「必須(会員特典あり)」35%、「必須(会員特典なし)」18%、合わせて53%。逆に「任意」だったケースは「任意(会員特典あり)」34%、「任意(会員特典なし)」13%、合わせて47%。「必須・任意」の割合は、53%:47%とほぼ半分ずつの結果になりました。

続いて「会員特典の有無」で見てみるとどうでしょうか。「必須(会員特典あり)」35%、「任意(会員特典あり)」34%、合わせて69%。一方、特典なしのケースは「必須(会員特典なし)」18%、「任意(会員特典なし)」13%、合わせて31%と、「特典なし」であるにも関わらず、3割のユーザーが会員登録をおこなっています。さらに「必須」かつ「特典なし」が18%に対して、「任意」でも「特典なし」で会員登録をおこなっているユーザーが13%もいる事は、むしろポジティブに捉えて良い結果ではないでしょうか。

とはいえ、「会員特典」があった方が登録率が高いのも事実。では、どのような特典があれば、ユーザーはおでかけ施設への会員登録をしたい(しても良い)と思うのでしょうか。以下は、「任意」での会員登録の場合でも「登録したいと思える特典」について聞いたアンケートです。

任意でも会員登録したいと思う特典内容についてのグラフ

85.1%のユーザーが「入場料割引」を望んでいるという結果に。その場で会員になる事で、その日の入場料を割引してもらえるのですから、会員にならない理由はないでしょう。

続いて「お誕生日特典」も64%とニーズが高く、会員特典に付ければかなり喜ばれそうです。「ノベルティプレゼント」だと37.1%と低めですが、これを「誕生日特典」として表現する事で、ユーザー側の印象や受け取り方は大きく変わるのではないでしょうか。プレゼントを貰える誕生日の子供はもちろん嬉しいでしょうし、施設さんにとっても、少なくとも毎年1回はリピートしてもらえるわけですから、会員特典として積極的に活用していくべきだと思います。

会員登録時の入力項目

お次は、会員登録時の入力項目について。一般的に登録項目が増えれば増えるほど登録率は減少します。また、ユーザーの個人情報への意識が高まっている今、「どこまでの情報を取得するのか」の判断は、会員獲得効率に大きな影響を与える事は間違いないでしょう。

そこで、「会員登録のためにユーザーが許容出来る記入項目」について、会員特典がある場合とない場合に分けて聞いてみました。

会員登録のために許容できる登録項目についてのグラフ

まず、なんであれ「特典は付けるべき」というのがひとつの結論です。もっとも抵抗感の低い「メールアドレス」ですら、特典なしの場合は半数以上が入力したくないとの結果に。その他の項目をみても、「特典あり」と比較すると許容率が大幅に減少しています。

個別に見ていくと、「メールアドレス」については83%と、ほぼ抵抗なく登録してくれそうです。意外だったのは、「LINEの友達登録」が54.1%あるのに比べ、同じSNSの「Twitter」「Instagram」の許容率が15.1%、14.1%と非常に低い事。昨年(2020年)7月にICT総研が発表した「2020年度 SNS利用動向に関する調査」によると、世の中のLINE利用率は77.4%、Twitter 38.5%、Instagram 35.7%との事なので、そもそもLINEの利用率が高いのは間違いないのですが、それにしても「許容率」の差が大きい(4倍近い)です。「利用率の高さ=安心感」から「LINE」の許容率が大幅に上がっているのでしょうか。

いずれにせよ、会員化のためにむやみに多くの情報を集めようとするのは、登録効率を下げるだけで得策とは言えなさそうです。マーケティング目的で細かいデータが必要であれば仕方ないとは思いますが、リピート来訪を促すために「連絡先」が必要なだけであれば、「メールアドレス」や「LINEアカウント」程度にとどめておいた方が良いのかもしれません。

また、「誕生日特典」とセットであれば、「子供の生年月日」「子供の名前」等を取得する必然性がありますし、上記データにおいてもともに上位(許容率が高い)に入っている項目になりますので、ユーザーも比較的抵抗なく入力するのではないでしょうか。

会員登録をおこなった際の状況・方法

続いて、会員登録をおこなった際の状況や方法について。施設によって登録方法は様々ですが、いったいどのような状況・方法で登録をおこなったユーザーが多いのでしょうか。

会員登録を行ったときの状況についてのグラフ

もっとも多かったケースが「店頭でスマホ(アプリ含む)等で登録」で45%。続いて「店頭で登録用紙に記入」が32%。SNS連携は12%とまだまだ低いです。いずれにせよ、店頭での登録が全体の89%とほぼ9割。おでかけ施設の会員登録については、来店時にその場でおこなうのがスタンダードのようです。

今後はおそらく、登録用紙に記入するようなアナログな登録形態は減少し、スマホやアプリでの会員登録や、よりライトなSNS連携による登録が増えていくと思います。オペレーションや設備面での対応が必要になる施設さんも多いとは思いますが、会員化による成果が少しでも見えているのであれば、積極的に対応していくべきではないでしょうか。

おでかけ施設から会員へのお知らせや連絡

さて、これまでは「ユーザーが会員登録をするまで」の話でしたが、ここからは会員登録後の部分について触れてみます。以下は、会員登録をおこなった後に「施設からのお知らせ・通知を受け取ったことがあるか」についてのデータとなります。

施設からお知らせを受け取ったことがあるかどうかのグラフ

8割近いユーザーが、何らかのお知らせを施設から受け取っています。別のアンケートでおでかけ施設側に聞いた「会員に対して連絡や通知をおこなっているか」の結果でも、「おこなっている」が73%、「おこなっていない」が27%でしたので、概ね数値は一致しています。

続いて、「ユーザーは施設からの連絡を何(どんなツール)で受け取ったのか」について。

施設から連絡を受け取った方法についてのグラフ

「メール」でお知らせを受け取っているユーザーが40%。次いで「LINE」が24%。ほぼ同率で「アプリ通知」が22%。この3つだけで全体の9割近くを占めています。

なお、一般的にはメルマガの開封率が10%程度に対してLINE公式アカウントの開封率は60%と言われています。自社アプリを既に持っている、もしくは開発出来る環境がないのであれば、やはり今後はLINEを活用した会員化がもっとも有効ではないでしょうか(今後LINE利用者が大きく減少しない前提ですが)。一方で、(現時点での仕様では)LINEによる会員への配信コストは、会員数(配信数)が一定量を超えるとそれなりに大きな金額が発生します。会員への配信方法については、想定している会員組織のボリュームによって、「メール」「LINE」のいずれかを選ぶと良いかもしれません。

施設のお知らせから再来訪した経験の有無および特典

最後に、「おでかけ施設のお知らせからの再来訪」についてのデータを紹介します。まずは、施設からのお知らせを受け取った事で実際に再来訪した経験があるかどうか。

お知らせを見て再来訪した経験があるかどうかのグラフ

お知らせを受け取った事があるユーザーのうち、75%が「お知らせからの再来訪」の経験があるとの事。施設からお知らせを送る事がいかに有効かつ重要であるかが分かります。

続いて、実際に再来訪したユーザーが受け取ったお知らせに「会員特典がついていたかどうか」に関して聞いてみました。

お知らせに会員特典がついていたかどうかのグラフ

「特典が付いているお知らせ」から再来訪したユーザーは64%。逆に36%のユーザーは「特典なし」のお知らせでリピートしています。この結果を、「特典を付けた方が再来訪率が高まる」という結論で捉えるか、「特典を付けなくても4割近いユーザーは再来訪する」と捉えるかは施設さん次第ですが、いずれにせよ、会員に対して積極的にお知らせを送る事は、間違いなくリピーター獲得に繋がっていると言えるでしょう。

おでかけ施設への会員登録に関するまとめ

  • おでかけ施設への会員登録をおこなった事があるユーザーはおよそ7割
  • 会員登録率の高いジャンルは「屋内キッズパーク」「遊園地・テーマパーク」
  • 会員登録をした際「必須」が53%「任意」が47%と「必須・任意」の割合はほぼ半分ずつ
  • 「会員特典なし」でも約3割のユーザーは会員登録をおこなっている
  • 「任意」の会員登録でも「入場料割引」「誕生日特典」があれば登録するユーザーは多い
  • 会員登録のために許容できる登録項目は「メールアドレス」「LINEアカウント」が上位
  • 特典の有無によって、許容できる登録項目は大きく変わる(特典なしでは許容率半減)
  • 同じSNSでも「Twitter」「Instagram」に比べ「LINE」への「許容率」は4倍近く高い
  • 「誕生日特典」とセットで「子供の生年月日」「子供の名前」を取得すると良さそう
  • 現時点のおでかけ施設の会員登録は来店時にその場でおこなうのがスタンダード
  • 今後はスマホやアプリ、よりライトなSNS連携による登録が増えていくのでは?
  • 約8割のユーザーが何らかのお知らせを施設から受け取った事がある
  • お知らせの受け取り方法は「メール」40%「LINE」24%「アプリ通知」22%
  • 開封率を考慮するとLINEがもっとも効率的だが会員数によっては配信コストに懸念あり
  • お知らせを受け取ったユーザーの75%が「お知らせからの再来訪」の経験がある
  • 再来訪したユーザーのうち、「特典あり」からの再来訪は64%。「特典なし」から36%

今回の結果を見ると、おでかけ施設が自施設の会員化を進める事で、会員の再来訪率向上に大きな効果を生み出す事は間違いなさそうです。一方、現状の施設会員はそのほとんどが店舗来訪時の登録者である事、さらに「お知らせ」からの来訪率が非常に高い事を踏まえると、未来訪のユーザーを効率的に会員化する仕組みがあれば、「未来訪会員」へのお知らせから多くの「新規来訪」を生み出す、そんな可能性も感じました。

貴施設の今後の会員化戦略に少しでも参考になれば幸いです。

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/特に地域の限定はなし

調査対象/いこーよおよびいこーよアプリを利用したユーザー305名

調査日程/2021年1月4日~1月15日