「ワーケーション」や「ラーケーション」という用語をよく耳にするようになった昨今、「働き方改革」や「休み方改革」についてもさまざまな議論が広がっています。そこで今回は、おでかけや旅行のために子どもが学校を休むことについて保護者がどのように考えているかについて、ユーザーアンケートをもとに調査・分析しました。
おでかけや旅行に行くために幼稚園・保育園、学校を休ませた経験のある人は半数以上
まず、おでかけや旅行に行くために子どもに実際に幼稚園・保育園、学校を休ませたことがあるかをユーザーアンケートで聞いた結果を見てみましょう。
「ある」と回答した人は56%で、おでかけや旅行に行くために子どもに幼稚園・保育園、学校を休ませた経験がある人が半数以上という結果でした。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
休ませた理由は「平日の方が空いているから」「平日の方が安いから」など利便性
「おでかけや旅行で子どもを休ませたことがある」という人に、休ませた理由を聞きました。
「平日の方が空いているから」(58%)、「平日の方が料金が安いから」(42%)、「平日の方が施設の予約が取りやすかったから」(33%)と、平日おでかけすることのメリットを重視して休ませた人が多いことがわかりました。
また、「保護者の仕事の都合で子どもの学校を休ませないとおでかけや旅行に行けなかったから」(36%)、「学校を休ませても家族でおでかけや旅行に行くことに価値があると思ったから」(33%)など、家族でのおでかけや旅行を優先したいという理由で学校を休ませたという人も多く見られました。
さらに、「連休前後や飛び石連休の間を休むことで長期で旅行に行けたから」という長期
旅行のために休日を繋げたかったという理由も2割ほどありました。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
休ませていない理由は「休ませてまで出かける理由がないから」が多い
一方、「休ませたことがない」という人にその理由を聞いてみると、5割以上が「学校を休ませてまで出かける必要性がないから」と回答しており、「学校のある平日にそこまでおでかけや旅行に行きたい理由がない」という意見が多く見られました。
そのほか、「子どもに学校は休んでいいものだと思ってほしくないから」(39%)、「病気や忌引き以外は学校には行くべきだと思うから」(33%)など、「とにかく学校は行くもの」という断固とした理由も3~4割程度見られます。
また、「学校の勉強に遅れを取るのではないかと心配だから」(30%)とお出かけや旅行よりも学業を優先したいという理由で休ませないという人も同じく3割いました。
出典:いこーよ2019年/2023年7月ユーザーアンケートより
本音ではおでかけや旅行に行くために幼稚園・保育園、学校を休ませることに賛成派が約7割と多数
では、実際の経験とは別に、本音では、おでかけや旅行で子どもが幼稚園・保育園、学校を休むことについて賛成と反対どちらの意見が多いのでしょうか。
「賛成」と回答した人が33%、「どちらかというと賛成」と回答した人が36%で、合わせて約7割の多くの人が賛成派という結果でした。
これは、前述の実際の行動で「休ませたことがある」という人が6割(※)であるのと比べると、実際の行動よりさらに本音では、もっと多くの人がおでかけや旅行で子どもを休ませることに「賛成」であることがわかります。
※「まだ通っていない」という9%を抜いた回答者数を100%として算出
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
賛成の理由を聞いてみると、「家族との思い出を作るのも大事だと思うから」が6割を超え、多くの人が「家族との時間を優先してもいい」と考えていることがわかります。
また、「平日の方が空いているため、休日より満喫できるから」(53%)、「平日の方が料金が安いため、家計への負担が軽減されるから」(47%)という声も多く、休ませたことがある人に聞いた理由と同じく、やはり、平日おでかけすることにメリットを感じている人が多くいます。
ほかにも、「保護者の仕事の都合で学校が休みの時に旅行やおでかけに行けないこともあると思うから」「混雑の分散になると思うから」という理由も半数近くありました。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
次に、実際におでかけや旅行で子どもを休ませたことがある、もしくはないという人がそれぞれ、本音ではどう思っているかを見てみましょう。
おでかけや旅行で子どもを休ませたことが「ある」という人の9割が本音でも休ませることに「賛成」と回答しているのは予想どおりですが、休ませたことが「ない」という人も、4割近くが「賛成」と回答しています。実際に休ませたことはないが休ませることに反対しているわけではないという人が多くいることがわかります。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
反対派は「とにかく学校は休むべきではない」という考えが根強い
つぎに、反対の理由について見てみましょう。
おでかけや旅行で子どもが幼稚園・保育園、学校を休むことについて「反対」という人は約3割と少数でしたが、その理由としては、「子どもに学校は休んでいいものだと思ってほしくないから」という声が目立ちました。また「学校の勉強に遅れを取るのではないかと心配だから」という声もあり、ここでも学校を休むことで子どもへの影響を心配する気持ちが見受けられます。
また、「病気や忌引き以外は学校には行くべきだと思うから」という理由もあり、反対派の人は本音を聞いても「とにかく学校は休むべきではない」という考えが根強いことがわかります。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
「ラーケーションの日」を利用してみたいという声は約9割と興味関心は非常に高い
最後に、「ラーケーションの日」があったとしたら利用したいかどうかを尋ねました。
「ラーケーションの日(校外学習活動の日)」とは、「休み方改革」プロジェクトの一環として2023年3月に全国で初めて愛知県で創設されました。公立学校(小・中学校、高校、特別支援学校)に通う子どもが学校を休み、保護者等とともに家庭や地域で探究の学びや体験・活動を自ら考え、企画実行できる制度です。年3日まで取得が可能で休んでも欠席扱いとはなりません。
「ラーケーションの日」についての意識など調査・分析したレポートはこちらをご覧ください。
「ぜひ利用したい」という人が63%と、多くの人が「ラーケーションの日」について好感を持ち、大きな関心を寄せていることがわかりました。
「まあ利用したい」という人も26%いて、合わせて9割近くの人が『「ラーケーションの日」があったら利用したい』と思っており、ニーズはとても高いと言えます。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
休ませるのは反対でも、ラーケーションの制度があるのなら賛成という人が多数
おでかけや旅行に行くために幼稚園・保育園、学校を休ませることについて賛成、反対と回答した人が、ラーケーションについてはどのような意見を持っているかについて分析しました。
賛成と回答した人の95%がラーケーションの利用を希望しており、賛成派の人からもラーケーションのニーズは非常に高いと言えるでしょう。
加えて、おでかけや旅行に行くために幼稚園・保育園、学校を休ませることについて反対と回答した人でも、ラーケーションを利用したいと回答した人が7割を超えています。
つまり、とにかく学校は休むべきではないという考えの人であっても、休むのは探究の学びや体験・活動のためであり、休んでも欠席扱いとならないというラーケーションのような制度ならば「利用したい」と考えている人が多くいるという非常に興味深い結果となりました。
出典:いこーよ2023年7月ユーザーアンケートより
まとめ
おでかけや旅行に行くために幼稚園・保育園、学校を休ませた経験のある人は半数以上で、休ませた過程としては、保育園や幼稚園時期の就学前という人が最も多く見られました。
休ませた理由としては、「平日の方が空いているため」「平日の方が料金が安いから」という利便性を理由にした意見が多く、平日おでかけすることのメリットを重要視している人が多くいました。
「休ませたことがない」という人の理由は、「学校を休ませてまで出かける必要性がないから」が5割以上で、学業を優先させたいと考えている人も見られました。
実際の行動、経験とは別に、本音ではどう思っているかを聞いたところ、おでかけや旅行で子どもが幼稚園・保育園、学校を休むことについては「賛成派」が7割と多数で、「家族との思い出づくりを大切にしたい」と思っている人が多いようです。
一方、「反対派」の理由は「学校を休んでいいと思ってほしくない」という考えが目立ち、学校の重要性や学業への影響を心配する声など「とにかく学校はを休むべきではない」という考えが根強い様子が見られます。
「ラーケーションの日」について聞いてみると、「利用したい」と思っている人が約9割で、好感を持つ人が圧倒的に多く、人々の関心は非常に高いと言えます。
また、学校などを休ませるのは反対でも、ラーケーションの制度があるのなら賛成という人が多数いることも非常に興味深い結果です。
学校以外での子どもの学びの機会や体験が増えることにもなる「ラーケーションの日」は、「家族との思い出づくりを大切にしたいけれど学校を休ませるのが心配」という家庭にも、今後影響を及ぼしていくかもしれません。
昨今議論されている「働き方改革」や「休み方改革」が、家庭での教育の場面やお出かけ状況にどのように影響していくか、今後も注目していきたいと思います。
■いこーよ施設アンケートの調査概要査方法
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/全国
調査対象/いこーよおよびいこーよアプリを利用したユーザー
調査期間/2023年7月3日~7月27日
サンプル数/307サンプル
調査分析/いこーよ総研