「ラーケーション」の認知は2割強と低めな一方、創設を望む声は高い

「ラーケーション」という言葉をご存知でしょうか?

「ラーケーション」とは「ラーニング」(学習)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語のことで、「休み方改革」プロジェクトの一環として2023年3月に「ラーケーションの日(校外学習活動の日)」が全国で初めて愛知県で創設されました。

「ラーケーション」は、公立学校(小・中学校、高校、特別支援学校)に通う子どもが学校を休み、保護者等とともに家庭や地域で探究の学びや体験・活動を自ら考え、企画実行できる制度です。年3日まで取得が可能で、休んでも欠席扱いとはなりません

そこで今回は「ラーケーション」という言葉がどの程度認知されているのか、創設についてどのように思うか、また少し似た概念である「ワーク」と「バケーション」の造語である「ワーケーション」との認知度の差などついて調査・分析しました。

ポイント

「ラーケーション」の認知はまだ2割程度

「ワーケーション」との認知度の差はまだまだ大きい

創設についての意見としては賛成派が約9割

ラーケーションについての調査総括


「ラーケーション」の認知はまだ2割程度

まず「ラーケーション」いう言葉がどの程度認知されているかについて聞きました。「『ラーケーション』という言葉を聞いたことがありますか」という聞き方で質問しています。

出典:いこーよユーザー2023年4月アンケートより

「聞いたことはない」という回答が8割近くをしめ、認知度はまだまだ低いと言えます。

内訳を見ると「聞いたことがあり、意味も知っている」という人が12%、「聞いたことはあるが、意味は知らない」という人が11%となっています。合わせると2割強の人が「聞いたことがある」と回答していますが、そのうちの約半数は意味については知らないという状況でした。

現段階では愛知県のみの創設となっており、発表当時話題にはなりましたが認知はまだまだ全国的に浸透していないことが見受けられます。

「ワーケーション」との認知度の差はまだまだ大きい

次に「ラーケーション」と「ワーケーション」の認知度を比較してみました。

高知大学地域協働学部といこーよ総研の共同研究として、ワーケーションについて調査・分析した「家族のワーケーションレポート」を元に比較しています。(「家族のワーケーションレポート」はこちら

ワーケーションの認知を聞いた結果では「聞いたことがある」の合計は6割程度となっており、半数以上はワーケーションという言葉を知っていることがわかりました。

出典:いこーよ総研「家族のワーケーションレポート」より

 

ラーケーションとワーケーションの認知度を比較したグラフがこちらです。ワーケーションとの認知度の差はまだまだ大きいと言えます。

 

ただ、ワーケーションに関して認知度は6割を超えているものの「実際に体験したことがあるか」という質問に対し、「体験したことがある」という人は14%と少数で、ほとんどの人は「体験したことがない」と回答しています。

出典:いこーよ総研「家族のワーケーションレポート」より

ワーケーションの体験意向は6割を超えており、今後実際にワーケーションを体験する人が増えていき「子どもと一緒の休暇を充実させたい」という需要が増えれば、ラーケーションの認知や興味ももっと拡大してくるのではないかと推測されます。

ワーケーションについての詳しい調査結果はこちらから

創設についての意見としては賛成派が約9割

ラーケーションの創設自体についてどう思うか意見を聞いてみました。

「とてもいいと思う」「まぁいいと思う」という賛成派が約9割を占め「ラーケーションの日」の創立については、好感を持つ人が非常に多いことがわかりました。

出典:いこーよユーザー2023年4月アンケートより

意見の内容としては全体的にポジティブな意見が多く見られました。

「子どもが休暇を取っても欠席扱いにならないのがいい」、「子どもが学びの体験を得る機会が増えていい」という意見がどちらも60%程あります。
「ラーケーションの制度がなければ学校を休ませるのは躊躇してしまうが、ラーケーションの制度があるのであれば子どもに普段できないような体験をさせたい」と思っている人が、半数以上いると言えます。

そのような期待を反映してか、「愛知県だけでなく自分が住んでいる自治体でも導入してほしい」という意見も44%と多くあがりました。

また、ラーケーション利用を目的としたお出かけ施設などの適用割引やラーケーションらしい学びの体験商品の提供を望む声もあがっています。

その他にも「飛び石連休や祝日の前後にラーケーションを使って休日をつなげられるのがいい」、「ラーケーションの日を使って長期旅行に行きやすくなるのがいい」、「保護者の休暇促進にもなっていい」という意見も多く、長期休みの取得や休暇促進のきっかけを期待する人も少なくありません。

その一方16%程と少数ではありますが、「学校の勉強に遅れを取るのではないかと心配だ」という創設に対して消極的な声も見られました。

出典:いこーよユーザー2023年4月アンケートより

ラーケーションについての調査総括

ラーケーションについて「知っている」という人は2割程度で、認知が広がっているとはまだ言えません。昨今よく耳にする「ワーケーション」と比較してみても、認知の差はまだまだ大きい状況です。

しかしながら「ラーケーションの日」創設については約9割の人が賛成で、ニーズが高いことがわかりました。
創設についての考えとしても「子どもが学びの体験を得る機会が増えていい」などとポジティブな意見が多くあり、また休暇促進に期待する声も見られます。また、ラーケーションのための学び商品やお出かけ施設の割引制度などへのニーズがあることもわかりました。

「ラーケーションの日」は、2023年度2学期以降順次、愛知県の公立小中高校等に導入されます。「働き方改革」や「休み方改革」が議論される昨今、子どもの学びの機会が増えることにもなるこの「ラーケーションの日」がどのように活用され、家庭での教育の場面やお出かけ状況にどのように影響を及ぼしていくか、今後も注目していきたいと思います。

■ラーケーションに関するアンケートの調査概要

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/全国

調査対象/0歳~18歳までの子どもがいる家族の親

調査期間/2023年4月3日~4月10日 

サンプル数/全体378サンプル 

調査分析/いこーよ総研