国内延べ宿泊者数は5000万人超~外国人宿泊客も2019年比の92%まで戻り回復は順調~

コロナが5類に移行されてから初めて迎える今夏。人々のお出かけ意欲はますます高まってきています。今春の行楽シーズンやGWも日本各地で多くの人が賑わいを見せていましたが、国内の延べ宿泊者数や客室稼働率はコロナ前の2019年と比べ、どのように回復しているのでしょうか。今回は、宿泊旅行統計についてまとめました。
(日本人国内旅行消費額と日本人国内延べ旅行者数についてまとめたレポートはこちらをご覧ください。)

ポイント

2023年5月の延べ宿泊者数は5000万人を超える

低迷していた外国人宿泊客も2019年比の92%まで回復

客室稼働率はまだ完全に回復しきれていない

まとめ

2023年5月の延べ宿泊者数は5000万人を超える

まずは延べ宿泊者数を見てみましょう。これは国土交通省観光庁が行っている宿泊旅行統計調査のデータを元にしています。「延べ宿泊者数」とは、各日の全宿泊者数を足し合わせた数で、宿泊した子供や乳幼児も1 人としています。

以下は、2019年1月から2023年5月までの延べ宿泊者数の推移をグラフにしたものです。

2023年3月と5月の延べ宿泊者数は5000万人を超え、そのうち日本人宿泊客は約4100万人、外国人宿泊客は約890万人となりました。2019年の同月とほぼ同じ水準まで回復しています。

出典:国土交通省観光庁 観光統計 宿泊旅行統計調査(令和5年4月・第2次速報、令和5年5月・第1次速報)

低迷していた外国人宿泊客も2019年比の92%まで回復

次のグラフは、2021年から2023年の延べ宿泊者数を2019年の同月と比べた割合をグラフにしたものです。

2023年5月には、全体値で2019年比の97.5%まで回復しています。

まず、日本人宿泊客を見てみましょう。2021年の日本人延べ宿泊者数は、2019年同月と比べると大きく落ち込んでいました。2021年の年末にかけて一度100%を超えるまで回復したものの、2022年の2月には再び66%まで減少。それから夏にかけて徐々に増加し、全国旅行支援が始まった2022年10月以降は、季節により増減はあるもののほぼ100%まで回復しています。

一方、外国人宿泊客は2022年9月まで2019年比の10%にも満たないほど激減していました。同年秋に日本政府の水際対策が緩和された後からは急激に増加し、今年の春の行楽シーズンには80%を超えるまで回復。2023年5月には2019年比で92%まで戻ってきています。

出典:国土交通省観光庁 観光統計 宿泊旅行統計調査をもとにいこーよ総研でグラフ作成

客室稼働率はまだ完全に回復しきれていない

続いて、客室稼働率の推移を見てみましょう。

2023年4月の客室稼働率は全体で55.5%、5月は全体で56.5%という状況でした。

2019年の同月と比較してみると、2019年の4月、5月はともに60%を超えており、客室稼働率については、コロナ前の水準には達していないという状況です。

出典:国土交通省観光庁 観光統計 宿泊旅行統計調査をもとにいこーよ総研でグラフ作成

まとめ

2023年5月の延べ宿泊者数は日本人宿泊客が約4100万人、外国人宿泊客が約890万人で、5000万人を超えました。

2019年比で見てみると、全体値で97.5%と順調に回復しています。コロナ以降激減していた外国人宿泊客も、2022年秋の水際対策緩和以降は急激に増加し、2023年5月には2019年比で92%まで戻ってきています。

しかし、客室稼働率については、まだ完全にコロナ前には戻っていないことがわかりました。2019年の同月と比較してやや低い状況です。これは、中国人宿泊客の訪日数がまだコロナ前の水準に戻っていないことが要因の1つと推測されます。

夏以降も、国内旅行やインバウンドなどの状況を含め、お出かけ市場の動向を注視していきたいと思います。