「2020年の経験を2021年に活かす ~お出かけ自粛時代の戦い方~」アクトインディ株式会社

2020年最後のオンラインセミナーは2020年の振り返りとして、アクトインディ株式会社 代表 下元敬道と、普段施設様からいろいろなお話を聞く機会の多い集客支援チームの井俣と黒田の3名で登壇させていただきました。

コロナ一色だった2020年。このコロナ禍を学びの機会にするべく、振り返っていきます。

もくじ

まずは簡単にコロナ禍を振り返り、1つ目はシンプルに集客を増やすためにどんな施策をとっていたのか、2つ目は単価を上げるためにどんなことを行っていたのかという、大きく2つにわけて集客支援チームのメンバーから具体的な事例を聞いていきながら学びを拾っていこうと思います。

2020年振り返り

下元:特に屋内の施設さんは相当しんどかったと思います。聞いた中では、良くても昨対70%ぐらいまでいっているところはかなり健闘したほうだという認識です。うまくいってなかったところでいうと昨対で何%ぐらい?

黒田:夏休みで昨対30%ぐらいとかでしょうか。

井俣:緊急事態宣言明けとかは本当にそんな感じでしたね。

下元:ある程度回復してきて?

井俣:昨対70%の施設さんがが出てる状況の時に、私が聞いた中で低いかなと思ったのは昨対40%ぐらいというところですね。

下元:屋外の施設さんはどんな感じでしたか?

黒田:屋外の施設さんで言うと、コロナが追い風のようになった印象ですね。

下元:月単位で見ると昨対超えてた月もけっこうあったり、最近聞いた話だと10月11月は昨対どころか過去最高を記録した、みたいな施設さんも出ているという話は聞こえてきてますけど。

黒田:屋外の大規模施設さんは、屋内の課題感とはちょっと違う感じで。普段は団体のお客さんが多い施設さんが多いんですけど、ごっそり団体客が取れなくなってしまったものの、個人のお客さんがすごく来てくれて、来場数だったり売上であっても昨対超えてるところは話を聞いていてびっくりでした。

下元:屋内・屋外で大きく2つにわけると明暗が分かれている感じですね。そんな中で、コロナ禍で売上を作るために各社どんな施策をされたのかということを具体的に事例をみていきます。売上は客数×単価なので、「客数をどう増やすか」というところと「単価をどう上げるか」というところに分けて話を聞いていきたいと思っています。

1:集客をどう増やすか

事例①「◯◯パス」を発行

井俣:これはコロナが回復傾向にあった時期にけっこういろいろな施設さんが挑戦していました。例えば、期間が短いものでいうとマンスリーパスからスタートする施設さんもいれば、少し期間を伸ばして半年パスというのを作ってそれを販売していくという施設さんもいました。

下元:パス自体はいくつかの施設さんがトライしたって話なんですけど、集客としては成功してる感じでしょうか?

井俣:そうですね、そもそもパスを作った理由が「とにかくいろいろ出そう」ではなく、今なにが課題になってるんだろうっていうのを出していき「平日どう埋めるか」となって、動けるのは未就学とか赤ちゃんだよねということになり、そうやって年齢を切った対象に対してパスを発行して、それがちゃんとフィットしたという背景があって結果が出てました。
他には都度お金を払うシステムだと、お店に到着して中を見た時に「今日ちょっと混んでるかも」とになった時に「パス持ってるから時間ずらしてまた来よう」とか「水曜日は混むんだ、じゃあ木曜日挑戦してみよう」とか、そういうふうにするためにパスを発行した結果、お客さんのニーズに合わせてちゃんと来場につながっているっていう結果が出てる施設さん(の話)は聞きました。

下元:私が聞いた事例だと、2ヶ月パスを発行したらかなり売れ行きが良かったらしくて、キャッシュフロー的にすごく助かったと思っていたら、そのあと2ヶ月間パスを持ったお客さんでかなり混み合い、パスを持っていないお客さんはなかなか入れないし、パス買ったお客さんも満足度が低くなっちゃって、売り出した当初はすごく売れたのでよかったけど、ちょっと売りすぎちゃったかなみたいな話は聞きました。

井俣:私が先程お話した施設さんは、枚数の上限を決めてましたね。コロナ禍では県をまたぐとかの遠くへ行くというのはなかなかしづらいからこそ、近場の人たちにどれだけ来てもらえるかみたいなところの施策だったりとか、リピーター獲得とか、売上だけじゃなくそういう部分ではパスの発行は有効的ではあるかなと思います。

事例②限定割引

下元:限定割引は多くの施設さんが取り組んだ施策だと思います。割引はいろいろ事例があると思うんですけど、なにか特徴的なものはありますか?

黒田:もともとファミリーに来てもらってもいいけど、メインは若年層の施設さんで、「家族で来てくれたら子ども1名無料になりますよ」っていうチケットを販売してました。それで夏休みの客層の割合が変わってよかったっておっしゃってました。
今年は若者たちあんまり動かなかったって言ってたんですよ。なんでだろうという話をしてた時に、コロナで家で過ごす楽しみ方が、映画とか音楽とかいろいろサブスクとかでできたりするじゃないですか。若者たちもお家で過ごせる楽しみ方をわかっちゃったかなという感じはあります。ファミリーに訴求したことは今年の夏良かったかなっておっしゃっていました。
学生さんとかだとコロナの中でアルバイトができなかったり、収入源がちょっと減ってたりする傾向もあって、お友達とどっかでお金落とそう、みたいな感じではなかったのかなっていうのはなんとなく感じました。

下元:いくつか客数を増やす施策をご紹介しましたが、振り返ってみると、まずなにかの施策を打つ時に仮設というか想定をちゃんとして、この施策でどのくらいの人数が来てくれるんだとか、目標の設定をちゃんとしてないと。基準がなにもない施設さんより、基準がある施設さんのほうがうまくアジャストできてたのかなっていう印象は受けてます。
なので、なにか施策を打つ時に目標数字をまずきちんと決めて動き始める。なるべく「小さく早く試す」で、短い期間で実際その施策がどういう反応を示すのかをしっかり見極めてアジャストしていく、という動きがすごく大事なんじゃないかなというふうに感じています。

2:単価をどう上げるか

事例①有料イベント

下元:これは普段有料イベントをやっていない施設さんが有料でやりはじめたということですか?

井俣:はい。今までだとイベントに対して極力お金をかけないで、「少しいつもと違うよね」みたいなものを作るためにどれだけ低単価で実施できるかところを考えてた施設さんです。
コロナ以前から、スタッフさんの中で「もっとこうしたほうがいい」「ああしたほうがいい」みたいなのがあって、少しずつ質が上がっていって。そしてコロナ禍があって、客単価上げるためにも今までやってきたイベントをこれだけ質も上げてきた、こういう思いもある、だったらちゃんとお金をいただいて提供していきましょうということで、コロナで休館中にみんなで力を入れてストーリーを作ったりされてらっしゃいました。それが緊急事態宣言が明けた段階ですぐ提供できたっていう施設さんの事例で、けっこう予約が入ってるみたいです。

下元:無料でイベントをもともとやってたけど、それをさらに磨いて有料イベントにした?それでちゃんとお金を払ってくれる皆さんがちゃんといるの?

井俣:そうですね。スタッフの中でプロフェッショナルな方たちが受け持っていて、そこに対してファンがついていて、「またこの人のこういう体験をしたいから」というのが生まれて「来月はいつですか?」と。スタッフにファンがついていって、好循環が生まれてるというのがあります。

下元:私はイベントを運営している社長さんとか何人か知り合いがいるんですが、コロナ禍になって単価の安い数多めのイベントよりも、高いけどレアというか「本気じゃないとお金払わないよね」というイベントのほうが全然売れるし、もともとそっちのほうが利益率も高いので、そっちにかなりシフトしたところ、けっこううまくコロナ禍を乗り越えたみたいな話を聞きました。
なので、単価を上げるっていう意味でいくと、しっかりいいものを作って、「なにがいいのか」っていうことをちゃんと伝えて、それで払ってくれる人をちゃんと抽出するみたいな構図が成り立ってるところはうまくいってるかなっていう印象ですね。

井俣:他にも、イベントのためになにか新しく買うのではなく、今ある在庫でなにかできないかっていうので、トイレットペーパーを家族なら家族みんなで力を合わせて積み重ねる、そこに忍者のストーリーをつけて忍者修行の1つとして提供する。
そういうアイデア次第で簡単にできるけど、ストーリーをつなげることでものすごく素敵なイベントに仕上げて、そこに修行頑張ったねってコンテスト形式にして景品を出していて、ちゃんとお金を払ってそれに参加してくれている方もいたり。
さっきの「質をとことん上げる」っていうのとはまた違うんですけど、そういうアイデア勝負で極力お金をかけずに、満足度の高いイベントを実施してるっていう施設さんはありました。

下元:やっぱりなにかやるってなった時に結局外部にお願いしてとなると、時間もかかるしコストもかかるし。それでいくとやっぱりいる人、あるものの中からいかに小さく早く試してみるかっていう、そこをトライした施設さんはそこから学びを得て、また次のなにかヒントを見つけるみたいな流れにいけてる気がします。
アルバイトさんの中でなにかこういうのが得意な人がいないかとか、従業員さんの中でなにか得意な人はいないかとか、自分たちが在庫にしてる中でなにか使えるものはないかとか、そっちから考えてとにかく早く動く、まず手を打ってみるということができてる施設さんは結果に結びついてる気がしますね。

事例②施設内の+αの課金

黒田:縁日をやった施設さん自体は、もともと未就学児でも年中さん年長さんぐらいからできるようなコンテンツしかなく、もっと小さい子からでもできるような楽しめるものって施設として持ってなかったんです。でもコンテンツを増やしていくってお金もかかるし、という中で、手作り感満載の「ピコピコハンマーで叩いて的の中に入ったらこのグッズの中から1つ好きなのもらえるよ、1回何百円」とか「スーパーボールすくい1回何百円」とか、そういう形でちょっとプラスアルファの新しいコンテンツを、みたいなのをやってらっしゃっいました。
実際にファミリーって親からしても1回300円とか400円とか、500円以内とかだったら落としてもいっか、みたいな感じになりやすいので。子どもも喜ぶし、チャレンジもしやすいみたいなところではけっこう課金をされるような仕組みになってました。

下元:縁日系をやってきた施設さんもいくつか聞いたんですけど、わりとお客さん満足度が高い印象です。無料招待とかも含めてとにかく入ってくれる人を増やして、その中でしっかり楽しんでもらうもの。評判を落とさない形でちゃんとお金を出してもらう、みたいなところが縁日系は意外と強いのかなっていうのは個人的には意外でした。

井俣:ビンゴは客数増やす話にも近いんですけど、もともとこの施設さんのメインターゲットがシニア層だったんですが、コロナ以前から営業の方針転換でファミリーに焦点を当てるようになって、クーポンでいつも小学生以下無料でやっていたんです。
担当者の方が子どもから「もう1回行きたい」を言わせることを理想として、いろんな仕掛けをはじめていました。
その中の1つであるビンゴも1枚300円ぐらいで販売してるんですけど、子どもが入場無料なのでその浮いたお金でビンゴに使おうとか、親の感覚として中で使いやすくなるというか。それでビンゴに参加していただいて、商品も例えば今だったら鬼滅とか流行っているものを、少し前から嗅ぎつけておいて早めに手に入れておいて、子どもが喜ぶ景品をちゃんと用意してあげることで、子どもの満足度が上がったりとか。他にも子どもにもMCで入ってもらったり、「手伝って」と声をかけて手伝ってもらったり、子どもたちをどんどん巻き込んで、満足度を上げていったことで子どもたちに「またあそこ行きたい」って言わせるっていう。
若干リピーター施策も入ってるんですけど、ビンゴでファンの方がついて10枚ぐらい買ってくれたりとかするらしいので、すごくうまくいってる事例だなっていうのでとりあげさせていただきました。

下元:ビンゴの1枚300円ぐらいの売上で年間にするとすごいことになってる、みたいな話を聞きました。私も金額小耳に挟んだんですがチリツモですごいんだなあと。
かつ、それによって満足度が高い、特に子どもがそれが楽しいからまた行きたいっていう声がちゃんと出てて。その担当者さんいわく、1度来てくれたら絶対リピートしてくれるって自信があるっていうのを言ってたっていうのを聞いて、「ああ、すごいな」って。

下元:単価を上げる事例をいくつか紹介してきましたが、「この状況下で有料にしたら人はお金払わないんじゃないか」とか、もしくは「割引とか優待みたいなので集めた人は『安いから来た』みたいな思考が強いから、有料イベントをやっても払ってくれないんじゃないか」みたいなイメージを持ちがちですが、ちゃんと質を磨いて動機づけができれば、ちゃんと払ってますよっていうのが、今回結果として数字がちゃんと出てるというのがひとつ。
次に、来場された方々に無料じゃなくても数百円とかの課金で、ちゃんと楽しんでもらって満足度を上げつつ、ちゃんとお金を落としてもらう。そういうところで成功してらっしゃる事例が多く出てきました。

まとめ

下元:いろいろ話してきましたが、「これをやったら絶対当たる」っていう施策があるかっていうとなかなかない。パスは比較的どこでやっても売れてたっていう話ではあるんですが、売りすぎちゃってそのあと首絞めちゃった事例もありましたし、いろんな施策がその施設さんに合う、その地域に合ういろんな施策があると思います。
とにかく「やってみないとわからない」っていうところがすごく大きいのと、やっと回復してきたと思ったら第3波がきて、GOTOも急に中止になって、みたいなことが起こり得る世の中なので、施設のコンテンツもそうですし広告面もそうかもしれないんですけど、年間でこれにドーンみたいなお金のかけ方よりも、従業員でまわしていけるとか、状況に応じてどんどん変えて出していく、みたいなところでちゃんと告知していく。
状況が変わる毎にすぐ対策を変えられるような、そういう引き出しをいくつも持っておくというのがこういう状況では強いのかなって思ってます。
ある一定範囲内で店長さんに権限とか、店長さん側がある一定範囲内でパートさんアルバイトさんに権限渡したりとか、そういうことができるようになってくると強いのかなって思っています。

※この記事で紹介した事例以外にも、セミナーではさまざまな成功事例を紹介させていただいているので詳しくはセミナー動画をチェック