「親子ワーケーション」への関心は高く、地域を深く知る体験ニーズ高い

「ワーク」と「バケーション」を組みあわせた、新しい休暇の取り方である「ワーケーション」。最近ニュースや旅行の記事などでその言葉を耳にする機会が増えてきました。
また、親子で参加する「親子ワーケーション」という企画も各地で企画されてきています。

そこで、高知大学地域協働学部といこーよ総研の共同研究として、「親子ワーケーション」への興味度はどの程度なのか、参加するとしたらどんな「親子ワーケーション」に参加したいかなどについて、家族を対象に調査、分析をしました。
(ワーケーションについてのレポート前編である「家族のワーケーション」についての調査結果はこちら

ポイント

▶親子ワーケーションへの興味度は65%、女性で高く子どもが中学になると興味低下

▶家族みんなで「地域を深く知るツアー」が人気、女性は現地での生活に触れる体験内容により興味

▶親子で地域を深く知るツアーに参加したい理由は、通常の旅行よりも面白そうだから

▶親子ワーケーションについての調査総括

親子ワーケーションへの興味度は65%、女性で高く子どもが中学になると興味低下

親子ワーケーションについての興味を聞いたところ、「興味がある」が65%と通常のワーケーションへの興味よりも高くなりました。

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

また、男女別に親子ワーケーションへの興味をみると、ここでも女性の方が「興味がある」という割合が高いことが注目されます。 

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

親子ワーケーションへの興味を、さらに子ども(長子)の年齢別に見てみました。子どもの年齢が12歳以下と13歳以上では差があり、子どもが13歳以上の親では親子ワーケーションへの興味が低下しています。子どもは中学生頃になると家族と一緒に行動しなくなる傾向を反映し、親も「親子」で参加する体験や旅行への興味が低くなるのではないかと考えられます。 

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

家族みんなで「地域を深く知るツアー」が人気、女性は現地での生活に触れる体験内容により興味

親子ワーケーションに興味がある人に、体験してみたい親子ワーケーションの内容を具体的に聞いてみたところ、「家族で旅行に行き、現地でリモートワーク(体験)などをしつつ、空いている時間に家族と一緒に通常の旅行ではわからないような地域を深く知るツアーに参加する」が最も多いという結果となり、「地域を深く知る」ことに意欲的であることがわかりました。

また、次に多かった「家族で旅行に行き、現地でリモートワーク(体験)などをし、空いている時間に家族と一緒に地域の職業体験や移住体験などをする」も含めて、子どもだけではなく家族で一緒にワーケーション体験をすることの方が好まれています。

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

男女別でみたところ、男性は「地域を深く知るツアー」、女性は「地域の職業体験や移住体験」の方により関心が高く、女性の方がより現地での生活に触れる体験内容に興味を持っている傾向があります。 

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

同じ質問を子ども(長子)の年齢別に見たところ、親子ワーケーションへの興味の質問と同じく、子どもが13歳以上の親ではどの内容でも興味が低くなっています。 12歳以下でみると「地域を深く知るツアー」は、家族一緒でも親は参加しないパターンでも6~9歳の小学校低学年で、「家族地域の職業体験や移住体験」は5歳以下の子どもがいる親で参加意向が高い傾向があります。 

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

親子で地域を深く知るツアーに参加したい理由は、通常の旅行よりも面白そうだから

次に、地域を深く知るツアーや地域の職業体験、移住体験をしてみたいと回答した人にその理由を聞いたところ、「ただ旅行するよりもいろいろなことが体験できて面白そう」が最も多く、通常の旅行よりもワクワクする体験をしたいという理由が強いことがわかりました。 次いで「子どもに現地での生きた体験を経験させたい」が続いており、子どもの教育的観点での意向も強く表れています。 その次の「家族で体験できるのがいい」という回答からは、親だけ、子どもだけではなく家族みんなで体験したいという意向が見て取れます。 

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

男女別でみると、女性の方が全体的にいろいろな理由を選んでおり、特に「子どもに現地での生きた体験をさせたい」、「家族で体験できるのがいい」、「その地域のことがより理解できそう」、「地域の人とより交流できそう」など、地域の人との交流を理由にあげていることが特徴的です。 また、選択されている率としては少ないですが、「転居や移住の前の準備としていい」という、移住を念頭においたワーケーション体験への意欲も女性の方が高いという結果が見られます。 

出典:高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査

親子ワーケーションについての調査総括

親子ワーケーションへの興味度も65%と高く、特に「地域を深く知る」体験に意欲的です。また親子ワーケーションの場合、子どもだけが地域の体験をするなど家族がバラバラに過ごすのではなく、家族で一緒にワーケーション体験をすることが好まれています。

親子ワーケーションへの関心度合としては、子どもの年齢が12歳以下と13歳以上では差があるのが特徴で、13歳以上の子どもがいる親は親子ワーケーションへの興味が低めです。子どもが中学生頃になると家族と一緒に行動しなくなる傾向を反映し、親も「親子」で参加する体験や旅行への興味が低くなるのではないかと考えられます。

ワーケーションに関する認知や興味内容では、男女でも差が見られます。男性はワーケーション自体の認知は高いのですが、ワーケーションの定義などの説明をした上で改めて興味や体験意向を聞くと女性の方が興味を示す傾向があります。

また、ワーケーション全般についても親子ワーケーションについても、女性は男性より移住体験や地域の人との交流をする体験に関心があるのも特徴です。これは、女性の方が子育てを含む生活全般で地域との繋がりが強くなる傾向があることが背景にあるのではと推測されます。

※家族のワーケーションについて調査・分析した「家族のワーケーションレポート」も合わせてご覧ください。

■高知大学・いこーよ総研 家族のワーケーションに関するアンケートの調査概要

調査方法/インターネットアンケート

調査地域/全国

調査対象/0歳~18歳までの子どもがいる家族の親

調査期間/2023年1月12日~2月13日 

サンプル数/全体306サンプル 

調査分析/高知大学地域協働学部・いこーよ総研
※本調査は日本学術振興会科学研究費 JP22H03853「双方向ラーニング・ワーケーションによる地域活性化の実証的研究」の助成を受けたものです。