おでかけ施設のキャッシュレス化に関するユーザーアンケート
昨今、様々な業態のお店やサービスでキャッシュレス化が進み、財布から現金を取り出す頻度もだいぶ少なくなってきました。経産省によるキャッシュレス推進政策も打ち出されている今、おそらくさらにこの傾向が加速していく事は間違いないでしょう。そこで今回は「おでかけ施設のキャッシュレス化」について、いこーよおよびいこーよアプリを利用した小学生以下のお子様を持つ306名のユーザーを対象にアンケートを実施し、調査・分析してみました。
日常生活におけるユーザーの決済スタイル
まずは、ユーザーのキャッシュレス決済に関する現状について聞いてみました。飲食店やスーパー・コンビニなど、ユーザーの日常生活におけるキャッシュレス化がもはや当たり前になりつつある今、ユーザーはどのような決済スタイルを望んでいるのでしょうか。

「すべてキャッシュレス決済」を望む声は全体の31%。逆に「すべて現金決済」と答えたユーザーは僅か6%。残りの63%が「場所・金額・(決済)内容で使い分けたい」との結果になりました。ちなみに年代・性別を分けて調べてみたところ、上記の割合はどの年代・性別においてもほとんど変わりませんでした。
この結果からも、もはや年代・性別問わず「現金決済のみ」を望む層はごく少数であり、ユーザーの要望もキャッシュレス決済の方に向かっている事は間違いありません。今はまだ転換期ではありますが、今後おそらく「使い分けたい」と答えた63%のユーザーが、どんどん「すべてキャッシュレス決済」を望む方に流れていくのではないでしょうか。
ユーザーが利用しているキャッシュレスサービス
続いて、ユーザーが実際に利用しているキャッシュレスサービスについて調べてみました。数多くのキャッシュレスサービスが提供されている中、ユーザーはいったいどのようなサービスを利用しているのでしょうか。まずはキャッシュレス決済の種別から聞いてみましょう。

「クレジットカード・デビットカード」がもっとも多く50.5%と半数以上。そして「QRコード決済」46.5%、「電子マネー」42.6%と続きます。キャッシュレス決済をまったく「利用していない」と答えたユーザーは僅か2.4%でした。
続いて、「電子マネー」「QRコード決済」それぞれのサービスの利用状況について聞いてみました。まずは現在利用している「電子マネー」のサービスから。

もっとも利用率が高かったのは「Suica等の交通IC」で32%。次点が「nanaco」22%、「WAON」20%と続きます。そして少し差が開き「iD」11%、「QUICPay」8%、「Edy」5%。今回の結果だけでいえば、上位3サービスが今時点での「電子マネー」のスタンダードと言えます。
同様に「QRコード決済」についても、ユーザーが現在利用しているサービスについて聞いてみました。

もっとも利用率が高かった「QRコード決済」サービスは「PayPay」で33%。次点の「楽天ペイ」に倍以上の差を付けている事を考えると、もはや「PayPay」の一人勝ち状態と言えます。以降「楽天ペイ」14%、「LINE Pay」13%、「d払い」13%、「メルペイ」12%、「au Pay」10%と続き、このあたりはあまり大きな差がありません。
今後、キャッシュレス決済を検討されている施設さんであれば、当然「どのサービスを導入すべきか」が議論の焦点になると思います。ぜひ今回の結果もひとつの参考にされてみてはいかがでしょうか。
おでかけ施設でのキャッシュレス決済経験
ここまでは、ユーザーの日常生活におけるキャッシュレス決済の状況について、データを紹介してきましたが、いよいよここから「おでかけ施設」のキャッシュレス決済について掘り下げていきたいと思います。まずは、今までに「おでかけ施設でキャッシュレス決済を利用した事があるか」から。

「おでかけ施設でキャッシュレス決済を利用した事がある」と答えたユーザーは全体の69%とほぼ7割。3割が「キャッシュレス決済経験なし」との事でした。正直、おでかけ市場は飲食等の他市場に比べてまだまだキャッシュレス化が進んでいない印象でしたので、この7割がキャッシュレス決済利用経験ありという結果は想像以上でした。
では、ユーザーはいったいどのジャンルのおでかけ施設でキャッシュレス決済を利用しているのでしょうか。ジャンル別に分けて比較してみましょう。

もっとも利用経験が多かった施設ジャンルは「ショッピングモール」で60.5%。こちらはレジャー目的ではなくショッピング目的が強いおでかけなので、今回の調査意向とは少しずれるかもしれません。
改めて、次点以降のいわゆる「レジャー施設」で比較してみると、「遊園地・テーマパーク」が55.3%と、半数以上のユーザーがキャッシュレス決済経験あり。続いて「映画館」34.4%、「屋内キッズパーク」27%、「水族館・植物園」26.5%と続きます。
全体を眺めてみると、上位には比較的大型のレジャー施設が多く並んでおり、施設規模に比例して利用率も下がっている印象です。今時点では施設側のキャッシュレス機器の導入状況は分かりませんが、規模の大きい施設のキャッシュレス決済機器導入率の高さが、そのままユーザーの利用率として現れているのかもしれません。
おでかけ施設のキャッシュレス化に対するユーザー意向
では、おでかけ施設のキャッシュレス化に対するユーザー側の意向はどうなっているのでしょう。実際、ユーザーはおでかけ施設にキャッシュレス化を望んでいるのでしょうか。

「キャッシュレス決済を強く望む」24%、「できればキャッシュレス決済にしてほしい」34%と、全体のおよそ6割のユーザーがおでかけ施設に対してキャッシュレス化を望んでいるという結果になりました。逆に「現金決済を望む」ユーザーは6%とごく少数。「どちらでも良い」と答えたユーザーが36%いるとはいえ、やはり多くのユーザーはおでかけ施設にキャッシュレス決済を望んでいるというのが結論と言えます。
キャッシュレス決済を希望する理由
では、多くのユーザがおでかけ施設にキャッシュレス化を望むのはなぜなのでしょうか。具体的な理由について自由回答の形で答えてもらいました。
特に多かった回答をおおまかに区分すると、「手間」「お得」「安全」「スピード」「衛生面」「管理」の6つに分ける事が出来ました。それぞれの回答をいくつか抜粋してみます。
- ◎手間
- 子供を抱っこしながらのお財布からの小銭の出し入れが大変だから
- 事前に銀行でお金を下ろす手間がない
- 小さな子供連れだと、お釣りのやりとりひとつでも手間に感じます
- ◎お得
- ポイント還元等のキャンペーンに参加出きること
- ポイントが貯まるなどお得なため
- 同じ金額を払うのであればポイントが付くキャッシュレスの方が良い
- ◎安全
- 現金をたくさん持ち歩かなくてすむから安心
- 現金の出し入れによって他の物を落としたりなくしたりトラブルが増える
- 室内遊び場に行ったときロッカーにお財布もおいていきたいので
- ◎スピード
- 現金の受け渡しが無い分、子どもがグズってもすぐにお会計が済む
- 予約時に支払いを済ませておけば、入場時の時間短縮に繋がると思う
- 会計が簡単に済む。特に子供がいる時はさっと済ませたい
- ◎衛生面
- 並ぶことによる密をできるだけ避けられる
- コロナ禍でお金のやり取りは少ない方がお互いに安心できると思うので
- コロナのこともあり、大勢の人が触れるもの(現金)はあまり触りたくない
- ◎管理
- 家計簿アプリを利用しているので管理がしやすい
- レシートや領収書を貰わずとも使用金額が分かり管理しやすい為です
- 1ヶ月の使用料金がケータイで把握出来るので
現金決済を希望する理由
一方、数は少ないですが逆に現金決済を望むユーザーもいます。同様にそちら側の理由についても聞いてみました。こちらも多かった回答をグループ別に分類し抜粋してみます。
- ◎管理
- キャッシュレスだとついお金を使い過ぎる
- いくら使ったかわからなくなる時もあるから
- 使い過ぎる心配がない。決済時期がズレない
- ◎安全性
- スキミングが気になる
- 色々なサイトに個人情報・カード情報を登録したくない
- キャッシュレス決済の提供会社あるいは仕組みが信用できない
- ◎環境
- キャッシュレスが使えない場所があるので買いたい時に買えないのは困る
- WiFi環境が悪かったら会計の時に手間取るから
- 店舗によって自分がいつも使っているキャッシュレスに対応していないところがあるから
- ◎教育
- 子供に貨幣を握らせて支払いを経験させることで、社会訓練ができる
- こどもの勉強のため
- 子供にお金を使うということを教えるため
- ◎使い方
- 設定など最初が面倒。メンテナンスや不具合などの心配
- 携帯などで使い方が良く分からないから
- 今まで通り(現金支払い)が安心。新しいのは良く分からない
おでかけ施設にキャッシュレス決済を求めるシーン
多くのユーザーがキャッシュレス化を望んでいるのは分かりましたが、実際ユーザーはおでかけ施設での決済において、どのようなシーンにキャッシュレスを望んでいるのでしょうか。続いて「おでかけ施設でキャッシュレス決済にしてほしいもの」について聞いてみました。

もっとも多かったのは「施設内の飲食」で、76.2%のユーザーがキャッシュレス化を望んでいます。以下、「入園料」「施設内の物販」も7割ほどのユーザーが望んでいると回答しており、決済シーンによって特に大きな差異は出ませんでした。基本的にユーザーはおでかけ施設におけるすべての決済をキャッシュレスにして欲しいと思っているようです。
とはいえ、施設側からするとすべての決済シーンに対して機器導入をとなれば、導入の手間や大きなコストが発生してしまいます。より優先順位を明確にするため、「もっともキャッシュレス化を望むシーン」について、改めてユーザーに答えてもらいました。

もっとも要望が多かったのは「入園料」で37%。ほとんど差がなく「施設内の飲食」が34%。これから部分的にキャッシュレス決済を導入していくのであれば、この2つから手を付けるのが良さそうですね。
おでかけ施設のキャッシュレス化に関するまとめ
- ユーザーが望む決済方法は「キャッシュレス」31%「現金」6%「使い分けたい」63%
- 年代・性別で比較しても、上記の比率はほとんど変わらない
- 「クレカ」「QR決済」「電子マネー」はそれぞれ50%程の利用率であまり差は無い
- 日常生活でキャッシュレス決済を「利用していない」と答えたユーザーは僅か2.4%
- 電子マネー各サービス利用率は「Suica等の交通IC」32%「nanaco」22%「WAON」20%
- QRコード決済サービスの利用率は「PayPay」33%で次点の「楽天ペイ」に倍以上の差
- おでかけ施設でキャッシュレス決済を利用した事のあるユーザーは全体のほぼ7割
- もっとも利用率の高いジャンルは「ショッピングモール」で60.5%(買い物目的濃厚)
- レジャー施設だけに絞ると「遊園地・テーマパーク」が55.3%と半数以上が利用経験あり
- 導入率の差か、比較的規模の大きなレジャー施設でのキャッシュレス決済経験が多い印象
- おでかけ施設にキャッシュレス化を望む声は全体のおよそ60%。現金希望は6%とごく少数
- キャッシュレスを望む理由は「手間」「お得」「安全」「スピード」「衛生面」「管理」
- 現金決済を望む理由は「管理」「安全性」「環境」「教育」「使い方」
- おでかけ施設でキャッシュレス化して欲しいのは「入園料」37%「施設内の飲食」34%
という事で、今回はおでかけ施設におけるキャッシュレス決済化をテーマに調査・分析してみましたがいかがでしたでしょうか。今回の結果からも、多くのユーザーがおでかけ施設のキャッシュレス決済化を望んでいる事は明白です。今後、おでかけ市場に限らず世の中のキャッシュレス化はさらに進み、よりおでかけ施設のキャッシュレス化に対するユーザーの要望が高まってくる事は間違いないでしょう。まだキャッシュレスに対応されていない施設さんは、そろそろ具体的な対策を検討すべき時期に来ているののかもしれません。
貴施設の今後のキャッシュレス決済に関する戦略・対策・施策に少しでも役立てて頂ければ幸いです。
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/特に地域の限定はなし
調査対象/いこーよおよびいこーよアプリを利用したユーザー306名
調査日程/2021年3月1日~3月10日