ポイント
▶「好き育 3つの力」を軸に子どもと向き合う「いこーよ子どもコーチング」
▶3つの力のうち、最初に発揮されるのが「好奇心」「自分への理解」などの自知力
▶自効力は「目標設定力」「行動力」「内省力」「自己効力感」の順にステップアップ
▶3つの力の発揮の場面で「思考のステップアップ」が起きている
▶まとめ
「いこーよ」のサービスの一つである「いこーよ子どもコーチング」は子どもが「自分で考えて行動し、自分の答えを見つけられる人」になることを目指すサービスです。この「いこーよ子どもコーチング」で、子どもの非認知能力である「好奇心」「自分への理解」や、「目標設定力」「行動力」などが伸びることが分析によりわかりました。
また、これらの非認知能力が伸びる場面で「思考のステップアップ」が起きており、「言語化」「分解」などのステップを経て、「抽象化」「応用」への思考のステップアップが見られることもわかりました。
子どもコーチングを受講した小学2年~6年生のセッションログをもとにいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が分析した結果を報告します。
▶「好き育 3つの力」を軸に子どもと向き合う「いこーよ子どもコーチング」
▶3つの力のうち、最初に発揮されるのが「好奇心」「自分への理解」などの自知力
▶自効力は「目標設定力」「行動力」「内省力」「自己効力感」の順にステップアップ
▶3つの力の発揮の場面で「思考のステップアップ」が起きている
▶まとめ
まず始めに、いこーよ「好き育 3つの力」の定義について見ていきましょう。
これは、いこーよ子どもの未来と生きる力研究所が提唱する、子どもたちが自分らしくたくましく生きていくために必要な力のことで、「自知力」「自効力」「他尊力」の3つの力を指します。
1つ目の「自知力」とは、自分を知る力、自分を好きになる力のことです。
自分が好きなこと、やりたいこと、得意なこと、自分にとって大切だと思うことはなんなのかを自分で認識する力のことです。また、好きなことや得意なことだけでなく、自分が好きではないこと、不得意なこと、自分にはどうしても合わないと思うことを認識することも大事な「自知力」の一つです。
「自知力」は好奇心・探求心・自分の理解・自己肯定・自分軸の確立の5つの要素で構成されていると定義しています。
2つ目の「自効力」とは、目標や他者との関係構築のために自分で考えて行動し、自分はできると信じて、困難を乗り越えられる力のことです。そのような自分の力を「好き」になり、自信とする力と言い換えることもできます。
自分の人生を自分で創っていくためには、この「自効力」がとても重要です。
「自効力」には、ポジティブに捉える力・目標設定力・行動力・内省力・自己効力感・協働力の6つ要素で構成されていると定義しています。
「自効力」を発揮するためには「自知力」があることがとても大切です。自分がやりたいことを実現するには、自分が得意なことや不得意なこと、自分がやりたいことは何かを知っていること、自分に足りないことに関しては、他者と協力し合える関係を作り、助けを借りることが必要だからです。
3つ目の「他尊力」とは、他者視点を持って多様な生き方を尊重できる力、他者の立場や気持ちを考えることができ、他者の個性や人格を平等な立場で尊重できる力のことです。他者との関係を「好き」になる力と言い換えることもできます。
いこーよ子どもの未来と生きる力研究所では、「自知力」「自効力」に加えてこの「他尊力」があることで、より豊かな人生を送ることができると考えています。それは、人は自分のことだけでなく、自分が誰かに貢献できる喜びを感じることや自分と社会との関係を大切に思えることで、より心豊かに生きていけると思うからです。
「他尊力」は想像力・感謝・貢献心・尊敬・尊重の5つの要素で構成されていると定義しています。
また、この「他尊力」にも「自知力」がとても大事です。他者を理解、共感、尊重するためには、自分自身を知り、自分自身を大切にできることが土台となるからです。
次に、今回の分析対象の「いこーよ子どもコーチング」のサービスについてです。
「いこーよ子どもコーチング」は、いこーよのサービスの一つで、コーチが子どもの話を聞き、「楽しそう」「やってみたい!」「困ったな」と思う子どもの素直な気持ちを引き出すことで、目標達成や課題の解決に向けて自分で考えてチャレンジしてみる習慣をつくるサービスです。
「自知力」「自効力」「他尊力」の3つの力を育むことを軸に子どもと向きあい、「誰かが決めた答えを探す人」ではなく「自分で考えて行動し、自分の答えを見つけられる人」を目指していきます。
「いこーよ子どもコーチング」のセッションを受講することで、子どもの「好き育 3つの力」がどのタイミングで意識、発揮されるのかを分析した結果が以下の表です。
この結果を見ると、「好奇心」は初回でも75%と高めに出ているのがわかります。(※今回の分析では、「好奇心」とは、自分の好きなこと、得意なこと、もしくは好きではないことなどについて自分で気づけたり、語れた場面があった時と定義)
「自分への理解」についても、比較的早めに意識されたり発揮されたりすることがデータに表れています。
これは、コーチと話すことで自分が好きなこと、得意なことなどが言語化され、さらに、言語化されることにより自分自身への気づきが促進され、その結果自分とはどのような人なのかという「自分への理解」が深まるというプロセスが進むからだと思われます。
一方、「自己肯定」や「自分軸の確立」に関しては、数値が低めに出ています。これら2つは少し高度な意識や力であるため、今回の分析対象の小学生が意識したり発揮したりできるようになるためには、もう少しセッションを重ねたり年齢が上がることが必要なのかもしれません。
出典:いこーよ子どもコーチングのセッション内容からいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が分析
注1:各力を「意識した」「発揮した」かどうかは、子どもコーチングセッションの対話ログをもとにアフターコーディングでフラグを立てるという方式で数値化
注2:左側の1~12の数字は何回目のセッションかを表す
注3:上記の表は、各力が、セッション中で最初に「意識」「発揮」された回を表す(例えば、3の行の各力の%の数値は、3回目のセッションで最初にその力が意識されたり発揮されたりしたのが、全受講者の子どものうち何%いたのかという割合を表す)
続いて自効力について見ていきましょう。
自効力は「目標設定力」を皮切りに、「行動力」「内省力」「自己効力感」とコーチングのセッションを経るごとにステップアップして発揮されていくという流れが見られます。
これは子どもコーチングのセッション内容が影響しています。
子どもコーチングのセッションでは、子ども自身が自分のやりたいことやクリアしたい課題をあげ、それについてどのように達成するかの方法や目標設定をコーチのサポートを受けながら子ども自身が考えます。そして次回以降に自分で実行、それをまたセッションでコーチと振り返るというサイクルが繰り返されます。
そのため、データとしても、まずは「目標設定力」が発揮され、次に「行動力」、そして「内省力」が発揮されるという流れが現れているわけです。
ただし、これには個人差があり、目標設定をするまでに時間がかかる子どもや、目標設定する前にとりあえず何かをやってみること(行動力)からスタートする子どもなどもいることがデータにも現れています。
また、自効力の力の一つである、「ポジティブ力(物事をポジティブに捉える力)」や他者と協力して目標を達成していく「協働力」に関しては、数値が低いままです。
これらの力は大人にとっても難易度が高く、自知力の「自分軸の確立」などと同じく、意識、発揮するためにはもう少しセッションや子ども自身の年齢を重ねる必要があると言えるでしょう。
出典:いこーよ子どもコーチングのセッション内容からいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が分析
他尊力については、他者の気持ちや立場などをイメージする「想像力」のみ、比較的高めの数値となっていますが、それ以外の「感謝」「貢献心」「尊敬」「尊重」などは数値が低いままです。
今回の分析は小学生の受講者を対象にしていることもあり、これらの力は子どもにとっては関心が低い、優先順位が低いことが理由の一つと思われます。
また、子どもコーチングのサービスが「目標達成や課題の解決に向けて自分で考えてチャレンジしてみる習慣をつくる」ことに重きを置いているため、他者との関わりの力である他尊力よりも、まずは他2つの力の促進に力を入れていることも理由かと思います。
他尊力に関しては、今後、中学に進学するなどして友人関係が複雑になったり、集団の中での自分の役割を意識するようになったり、より多くの人と関わり刺激を受ける機会が増えたりすることで、意識、発揮する機会も増えていくのではないかと思われます。
出典:いこーよ子どもコーチングのセッション内容からいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が分析
次に、「好き育 3つの力」を発揮していく過程で経ている「思考のステップアップ」について見ていきます。
子どもとコーチの対話を見ていくと、子どもたちは4つのステップを踏みながら思考を整理していることが見えてきました。
そのステップは以下の4つです。
① 言語化
② 分解
③ 抽象化
④ 応用
「言語化」とは文字通り、考えや方法などを自分の言葉にして伝えることです。「自知力」においても、「自効力」においても、自分がどのように感じているのか、自分が何をどうやりたいのかなどを明確にするためには、まずは漠然とした自分の考えや認識を言葉にし、無意識から意識の配下に置いたり、やるべきことなどの具体的な方法に置き換えることが必要になりますが、それが「言語化」です。
考えがまとまらない場合や言葉にした考えや方法などをより深く考えるためには、あいまいな気持ちや考えをまずはアウトプットしたり、整理して大切な要素だけを抜き出したり、いくつものすべきことの中から優先順位をつけたりする必要があります。そのために必要な作業が「分解」です。
いこーよ子どもコーチングでは、子どもたちは「思考サークル」というツールを使ってこの思考の分解作業をしています。
コーチとの対話を観察していると、自分の考えや行動の「言語化」や「分解」を経て、「つまりこれはこういうことなのでは?」と「抽象化」して捉えようとする場面が現れることがあります。
このような、一つ一つの具体的な考えや経験、学びなどをざっくりとまとめて捉え直したり、考えや感じたことの中で共通と思われる大事なエッセンスを抽出したりする「抽象化」をすることが、次の「応用」のステップの土台となります。
考えや経験、学びなどを「抽象化」したことを土台に、「これがこうなら、他のこれも同じことだろう」と考えたり、「これができたのなら、これもできるだろう」など、他のことにもあてはめて考えたり行動したりすることが「応用」です。
この「応用」ができると、さらなる「自知力」や「自効力」、「他尊力」を伸ばすことにもつながっていきます。
前述の4つの「思考のステップアップ」が、セッションを追うごとにどのように発揮されていくのかを見たのが以下の表です。
これを見ると、「言語化」はコーチとの対話を通してほぼすべての子どもが比較的早めにできるようになることがわかります。
それに対し、「分解」、「抽象化」は、セッションの回を経て少しずつできるようになっていく様子が見られます。
一方、「応用」までできるようになる子どもは割合としてかなり少なく、「抽象化」と「応用」の間には大きなハードルがあることがわかります。
セッション回数の経過による思考ステップの初回発揮タイミング
出典:いこーよ子どもコーチングのセッション内容からいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が分析
最後に、子どもコーチングでの初回と12回セッション後で、「好き育 3つの力」がどの程度伸びたのかを比較したグラフが以下です。
これを見ると、12回のセッション後に、特に自知力と自効力で子どもの力が大きく伸びていることがわかります。
また、思考ステップアップの「言語化」「分類」「抽象化」においても、子どもコーチングにより大きく力が伸びていくことがわかります。
出典:いこーよ子どもコーチングのセッション内容からいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が分析
子どもがこれからの予測不能な世の中を生き抜く力として、いこーよ子どもの未来と生きる力研究所は、「自知力」「自効力」「他尊力」の3つを「好き育 3つの力」として提唱しています。
「いこーよ」のサービスの一つである、「いこーよ子どもコーチング」により、受講した子どもたちは、この3つの力のうち、まずは「好奇心」「自分への理解」などの自知力が伸びることがわかりました。
自効力については、「目標設定力」「行動力」「内省力」「自己効力感」がコーチとの対話で自然と伸びていくこともわかりました。
他尊力に関してはあまり数値の変動が見られず、小学生の子どもにとっては日常生活における優先順位や関心が低く、伸びるにはもう少し年齢や時間が必要だと思われます。
また、3つの力の発揮の場面で、「言語化」「分解」「抽象化」「応用」の4つのステップで思考が発展していくことが分析からわかりました。
このうち「応用」に関しては、できるようになる子どもの割合があまり多くなく、思考の中でも難易度が高いステップであると思われます。
今回は小学2~6年生の受講者の分析を実施しましたが、今後はサンプルの増加に伴い、年齢別などの分析なども実施する予定です。
■調査概要査方法
調査方法/子どもコーチングセッションの対話ログからアフターコーディング
調査地域/全国(オンラインによるセッション)
調査対象/子どもコーチングセッション受講の小学2年~6年生
調査期間/体験前:2023年~2024年(開始と終了の期間は各子どもの受講期間による)
サンプル数/12人
調査分析/いこーよ子どもの未来と生きる力研究所
※今後、受講者の広がりに伴い、順次データをアップデートしていく予定
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