ポイント
▶2023年1-3月の日本人国内旅行消費額は2019年同期比の100.5%まで回復
▶日本人国内延べ旅行者数も順調に回復途中であるものの100%には満たず
▶まとめ
日本各所の観光地で多くの人々が賑わいを見せていた今春の行楽シーズン。そこで今回はコロナ前の2019年と比べ、日本人国内旅行消費額と日本人国内延べ旅行者数がどのように回復してきているのかについてまとめました。
(訪日外国人(インバウンド)についてまとめたレポートはこちらをご覧ください。)
まずは日本人国内旅行消費額を見てみましょう。これは国土交通省観光庁が行っている旅行・観光消費動向調査のデータを元にしています。
以下は、2019年1-3月期から2023年1-3月期までの日本人国内旅行消費額をグラフにしたものです。
2023年の1-3月期で4兆2,331億円に達し、そのうち宿泊旅行消費額は3兆4,469億円、日帰り旅行消費額が7,862億円となりました。
2020年のコロナ禍で日本人の国内旅行にかける消費額は大幅に減少。第6波と言われる2022年の1-3月期頃までは季節やコロナ状況により増減があるものの大幅に低迷していました。しかし、2022年の4-6月期を境からは増加に転じ、2023年の1-3月期に2019年の同期とほぼ同じ水準まで回復しています。
出典:国土交通省観光庁 観光統計 旅行・観光消費動向調査2023年1-3月期(速報)
次のグラフは、2019年1-3月期から2023年1-3月期までの日本人国内旅行消費額を2019年の同期と比べた割合をグラフにしたものです。
コロナ禍の2020年1-3月期は2019年の同期と比べ16.8%まで消費が落ち込みましたが、2023年1-3月には100.5%となり順調な回復を見せています。
出典:国土交通省観光庁 観光統計 旅行・観光消費動向調査をもとにいこーよ総研でグラフ作成
次に、国内旅行消費額の内訳である、宿泊旅行消費額と日帰り旅行消費額について見ていきましょう。
以下は2019年1-3月期から2023年1-3月期までの宿泊旅行消費額と日帰り旅行消費額を、2019年の同期と比べた割合をグラフにしたものです。
宿泊旅行消費額は、2022年10-12月期に105%、2023年1-3月期には106%と順調に回復しています。一方、日帰り旅行消費額は81%となりました。日帰り旅行消費額も増加はしているものの、2019年の同期比にはまだ戻りきれていません。全国旅行支援の影響などもあり、宿泊旅行の方が先に回復を牽引している状況です。
出典:国土交通省観光庁 観光統計 旅行・観光消費動向調査をもとにいこーよ総研でグラフ作成
続いて、日本人国内延べ旅行者数を見ていきましょう。
2023年1-3月期の日本人国内延べ旅行者数(速報)は1億13万人、うち宿泊旅行が5,802万人、日帰り旅行が4,211万人となりました。
出典:国土交通省観光庁 観光統計 旅行・観光消費動向調査2023年1-3月期(速報)
こちらも、2019年の同期と比べた割合をグラフにして見てみます。順調に回復途中であるものの、2019年同期比で83%とまだ100%までは達していない状況です。
出典:国土交通省観光庁 観光統計 旅行・観光消費動向調査をもとにいこーよ総研でグラフ作成
宿泊旅行と日帰り旅行別で見ると、宿泊で91%、日帰りで74%と、こちらも宿泊旅行の方が回復が早いと言えます。
出典:国土交通省観光庁 観光統計 旅行・観光消費動向調査をもとにいこーよ総研でグラフ作成
コロナ禍で大きく落ち込んだ日本人国内旅行消費額は、2023年1-3月期には4兆2,331億円となり、2019年比の100%を超え順調に回復しています。
日本人国内旅行消費額を宿泊旅行と日帰り旅行でみると、宿泊旅行費の方がコロナ禍での落ち込みからの戻りが早く、日本人国内旅行需要回復の牽引役となっています。
日本人国内延べ旅行者数は、2019年比の83%とまだ100%まで戻っておらず、回復途中です。内訳として宿泊旅行人数が91%、日帰り旅行人数が74%と、こちらも宿泊旅行の方が戻りが早い状況です。
アフターコロナとなり、人々のお出かけ意欲は高まりを見せています。その中でも宿泊旅行の消費額がとても大きく、日帰り旅行よりも回復が早いことがわかりました。コロナで遠出する機会を制限されたことや、全国旅行支援の影響で、人々のお出かけ意欲は近くへの日帰り旅行より宿泊旅行へ向いていると言えます。
今後も国内旅行やインバウンドなどの状況を含め、お出かけ市場の動向を注視していきたいと思います。