消費者のみならず、様々な企業にも大きな影響を与えている昨今の物価高。いこーよ総研では、お出かけや宿泊施設を対象に、物価の値上がりが施設運営にどのように影響しているか、またその対策はどうしているかなどについて、アンケートを実施し調査・分析しました。
光熱費の値上がりが施設運営を直撃、9割以上の施設が影響があると回答
まず、物価値上がりによる施設運営への影響について聞いた結果を見てみましょう。
「非常にある」が50%、「ある程度ある」が42%で、実に9割以上の施設が物価の値上がりが施設運営に影響があると回答しています。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
「影響がある」と回答した施設に、具体的にどの値上がりの影響が大きいか尋ねたところ、「光熱費(電気代・ガス代など)」が9割以上と圧倒的に多いことがわかりました。また、その内訳をみると「非常に影響がある」(58%)という回答が多く、光熱費の影響の大きさが伺えます。
次に多かったのは「日用品(トイレットペーパーなど)」で、「非常に影響がある」(18%)、「ある程度影響がある」(56%)と7割を超えています。さらに「灯油・ガソリンなど輸送燃料費」の影響も6割を超え、「食料品」を上回る結果となりました。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
その他どのような値上がりが施設運営に影響しているか自由回答で聞きました。
自由回答にも電気代等の値上がりについて書かれている回答が多かったのですが、それ以外だと飼料や肥料、材料費などのコストの他、手数料や人件費などの値上がりも施設運営に影響を与えていることがわかりました。
- 飼料代
- 肥料代
- 資材や絹糸などの材料費
- 薪、炭などの燃料費
- 修繕費
- 貸切バス等の手配料
- 予約サイトの手数料
- 人件費
コストの上昇には約半数が入場料金等の値上げで対応
つぎに、物価の値上がりに対して施設がどのように対応しているか聞きました。
「入場料、駐車場料金、飲食メニューなどの料金を値上げした(する予定、検討中)」が48%と、約半数もの施設が「料金の値上げ」で対応しています。
また、「その他のコストを下げる努力をすることで対応」という回答も45%と多く、営業時間や運営の内容を変更するというよりは、コスト削減に努めている施設が多いことがわかりました。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
料金を値上げした(する予定、検討中)という方に、何の料金を値上げしたか、また今後6カ月以内に値上げ予定や検討をしているかどうか尋ねました。
「入場料や入園料」が74%と最も多く、その中には「既に値上げをしているが、今後半年以内に再度値上げをする予定もしくは検討している」という、さらに値上げをする予定の施設も多く含まれていました。
他の値上げの対象としては、「レストランやカフェなどのメニュー料金」が6割以上と多く、その中でも「再度値上げ」を考えているという回答も目立ちました。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
つぎのグラフは、入場料や入園料、宿泊料金を値上げした(する予定、検討中)という施設に、元の料金の何%程度値上げをしたか(する予定か)聞いたものです。
「6~10%程度の値上げ」が約6割で半数以上を占めました。また、「21%以上程度の値上げ」が17%で2番目に多い結果となり、大幅に値上げ(予定)する施設も少なくありませんでした。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
料金を値上げしても入場者数は変化なし、売り上げは増加の施設が多数
入場料などの料金の値上げで、入場者数や売り上げに変化はあったのでしょうか。
まず、入場者数から見ていきます。
「減った」が25%、「変化なし(変化率3%未満程度)」が65%と、値上げがあっても入場者数は変わっていないという施設が多いことがわかりました。また、「増えた」という回答も1割程見られました。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
つぎに、売り上げの変化を見てみましょう。
「増えた」という回答が47%と最も多く、つづいて「変化なし(変化率3%未満程度)」が28%、「減った」が25%となりました。値上げの影響で売り上げが「減った」という施設は少数で、むしろ値上げして売り上げが「増えた」という施設が多いという結果でした。
出典:いこーよ2023年6月物価高についての施設アンケートより
料金値上げについて顧客からの意見やクレーム等は少ない
値上げしたことで具体的にどのような変化があったか、自由回答で聞いた結果を紹介します。
料金値上げについてのお客さまからの意見やクレームはあまりないという回答や、入場者数が増えたのはコロナが落ち着いてきた影響の方が大きいという回答が寄せられました。
また、入場料金の値上げによりお土産などの購入率が減った、低単価のお客様が離れた、予約数が減ったなどの影響があるという回答もありました。
<ポジティブな変化>
【値上げに対しての意見やクレームはない】
- クレームなどはほぼない
- お客様から値上げについては、ある程度しかたのないことだと意見をいただくことが多かった
- 値上げに対するお客様の反応はほとんどなかった
- 予想以上にお客様からのご意見やご質問等がなかった
- 会員の皆様は、値上げは仕方がない事と承諾してくれた
- 予想したより不満などネガティブな反応はなかった
【コロナ後の需要回復の影響の方が大きい】
- 料金値上げによる影響より、コロナが落ち着いたことによる影響の方が大きかった
- 料金値上げは集客に影響していない。かえってコロナ後の需要増に起因して、集客は好調
- 全体的には大きな変わりはなく、コロナ禍からの回復もあり、むしろ増えている
【その他】
- 体験施設なので体験の意義に共感が増し内容が充実
- 1人あたりの単価を上げることができた
- 入場料を値上げした分、1品サービスなどをして対応している
<ネガティブな変化>
【お土産購入や付帯施設の利用の減少】
- 品物については価格が上がったため購入者や購入量が減ったと感じている
- 付帯施設の利用が下がった
- 体験以外の飲食メニューやプラスでお土産購入(物販)をすることがほとんどなく、客単価の伸び悩みは続いている
【低単価を求められるお客様の減少】
- 平日での利用で、低単価で来られてた方の来客が減ったように思う
- 安い価格のものをお求めのお客様のご希望にそえないことが増えた
【予約数・新規利用者数の減少】
- 予約数が減った
- 新規利用者数が減った
その他、物価高への対応について他にやっていることや困っていることについて、自由回答で聞いた意見をまとめました。
先が見えない物価高への不安、どのように対応していいのかわからないという悩みなどが多く寄せられました。
【電気について】
- 館内照明などのこまめなスイッチOFF
- 電気料金については、政府の施策等も実施されてはいるが今後どうなっていくかわからないところが不安。
- 極力必要の無い電気を消す
- 水光熱費の管理 ・節電
【仕入れの見直し】
- 少しでも単価の安いものを見つける努力をしている
- 材料の仕入れを減らしている
- 仕入れコストの見直し。より廉価な仕入を探る
【諸コストの削減】
- 広告宣伝費にあまり費用を使えなくなった
- 経費削減
- 燃料費高騰により経費の削減を検討している
- 消耗品の節約
- スタッフの業務中の移動にかかる往復交通費(ガソリン代)を節約
【施設スタッフへの影響】
- スタッフ不足が既存スタッフへ負担増となっている
- ボーナス支給が減った
- 物価高を入場料金などに転嫁できないが、人材確保の為に時給アップも大きく影響する
【お土産や飲食への誘導】
- 体験以外にもドリンクなどご注文頂けるように、声掛けやPOPを掲示している
【どう対応していいか分からない】
- 段階的に値上がりしていく食品、メニュー料金設定がしづらい。あまり上げたくない
- いつまで物価高が続くのか、どこまで上がるのか先が見えず対応に悩む
- 物価高への対応はなかなか難しいと思う
- 分散型を目指し平日値下げしたところ、土日祝を値上げした印象となってしまった
【その他】
- リネン等の洗濯料金(業者)も高騰している
- 法人税が高くなった
まとめ
物価高がお出かけ施設や宿泊施設の運営に大きく影響していることがわかりました。その中でも、電気代などの光熱費の値上がりが最も大きな影響を与えています。
物価の値上がりへの対応策としては、「料金の値上げ」が最も多く見られ、その中の約7割の施設が「入場料や入園料の値上げ」と回答しています。「レストランやカフェなどのメニュー料金」を値上げする施設も多く、こちらは再値上げを検討しているという施設も目立ちました。
一方、入場料などの料金の値上げで入場者数や売り上げが「減った」という声は少なく、入場者数は「変化なし」が6割を超え、売り上げに関しては「増えた」という声が半数以上ありました。
料金値上げについてのお客さまの反応としては、「値上げは仕方がない」という意見が多く見られました。お客様の中には、施設のサービス維持のためには料金の値上げは避けられないと理解し、それを受け入れる姿勢を持つ方も多いようです。
■いこーよ施設アンケート調査概要
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/全国
調査対象/全国120のおでかけ施設、宿泊施設
調査期間/2023年6月13日~6月23日
調査分析/いこーよ総研
