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▶ピークアウト傾向により新型コロナへの関心は低下、一方お出かけや旅行への関心回復はまだこれから
オミクロン株の発生に端を発し、年初から感染拡大が続いていた第6波により、お出かけ市場は大きな影響を受けていましたが、2月の中旬以降ようやくピークアウトの傾向が表れてきています。今回は、ピークアウトの兆候によって、お出かけ意欲がどのように変化しつつあるのか、また、第5波と第6波でユーザーのお出かけ時における感染対策意識に違いがあるのか等について分析してみました。
以下は、Google Trends(ある単語がどのくらいGoogleで検索されたのかを表した推移データ)で、「オミクロン」の検索数の推移を見たものです。オミクロン株の感染拡大がピークアウトしてきている状況を反映して、昨年末から上昇していた「オミクロン」への関心が2月に入り低下してきています。
出典:Google Trendsより
さらに、「オミクロン」への関心が低下するのに伴い、「コロナ」への関心も低下してきています。
出典:Google Trendsより
また、「オミクロン」「コロナ」への関心の低下と同時に、「自粛」のワードも低下しています。
出典:Google Trendsより
ただし、自粛傾向は低下しているものの、残念ながら「おでかけ」や「旅行」全般への関心は低迷したままで、今後の回復が待たれます。
出典:Google Trendsより
出典:Google Trendsより
以下グラフは、2020年4月からのいこーよサイト閲覧数(お出かけ施設ページのみ)と、2019年(コロナ前)の閲覧数を比較したものです(2019年を100%として比較)。お出かけ意欲の増減をみる一つの指標として活用しています。 2月中旬以降にオミクロン株の感染がピークアウトしてきてはいるものの、現時点ではまだ対2019年比70%台に留まっており、やはりお出かけ市場の回復はまだこれからという状況です。
※直近の2月のデータは、分析時点の2月中旬までのデータを使用。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
続いて、いこーよサイトの回遊率についてです。以下グラフは、2020年4月からのいこーよサイト内の回遊率(サイト内の複数のページを巡って閲覧する率)を、コロナ前の2019年と比較したものです(2019年を100%として比較)。回遊率が高いほどユーザーのお出かけ意欲が高く、複数の施設からお出かけ先を積極的に検討していることを表します。
このデータでも、2月前半は対2019年比で82%程度に留まっており、第5波と第6波の間で、お出かけ市場がかなり回復していた昨年11月頃の状況には戻っていないことがわかります。
※直近の2月のデータは、分析時点の2月中旬までのデータを使用。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
しかし、今回のオミクロン株による第6波は、今までの波の中でもっともお出かけ意欲への影響が少ないという点に注目したいと思います。以下のグラフは、第1波~第6波までの各時期の新規感染者数がピークだった月のいこーよのセッション数を、通常同月期のセッション数と比較した際の比率データになります。このデータにより、各波がどれだけセッション数(ユーザーのお出かけ意欲)に影響を与えていたのかを比較する事ができます。
出典:Google Analyticsより
第1波の時期は22%と、通常期と比べて80%近くセッション数が減少しています。当時はコロナウイルスの情報自体も少なく、何者かも分からない時期でしたので、お出かけへの意欲がもっとも下がった波と言えます。
その後、デルタ株第5波の時期は54%と、以前の波と比べてセッション減への影響もだいぶ小さくなっていますが、さらに今回の第6波は71%となっており、過去もっとも影響を受けていない状況であることがわかります。感染拡大の傾向はありつつも、何も分からなかった当時と違い、ユーザーは、しっかりと各自で感染対策をおこないながら、ある程度お出かけはするという「ウィズコロナ」への行動変化の兆候が表れてきていると言えます。
続いて、新型コロナウィルスの感染リスクに対する考えを時系列でみたデータがこちらです。今回の2月実施の結果では、予想以上にコロナが「怖い」「とても怖い」という割合が増加していました。第5波と比べても大きく増えている要因は、第6波では子どもの間で感染が拡がり、保育園や幼稚園の休園、学校の休校や学年学級閉鎖などが相次いでいることや、実際に自分や身近な人にも感染が拡がってきていることで、より「新型コロナ感染」が現実的に身近にあるという感覚があるからではないかと思われます。
出典:いこーよ2月ユーザーアンケートより
新型コロナウィルスが身近にあるという意識が影響し、同じく時系列で見ている屋内施設へのお出かけ意欲に関するデータでも「遊びに行きたい」の割合が減少しています。
出典:いこーよ2月ユーザーアンケートより
一方、屋外施設へのお出かけ意欲は屋内施設へのお出かけ意欲と異なり、それほど第6波の影響を受けておらず、むしろ微増傾向にあり、過去の感染の波の時に見られたような「感染拡大時には屋内より屋外」という傾向が再出しています。
出典:いこーよ2月ユーザーアンケートより
しかし、第6波のピークの前後では意識の変化が見られます。前出の「新型コロナウィルスの感染リスクに対する考え」に関するアンケート回答を、第6波のピーク前後で分けて見てみると、新規感染者の数が東京都で前週比マイナスとなった2月9日以前と比べ、以降の方が「とても怖い」と回答した人が減少しています。
この結果から、「感染リスク」が怖いという意識もピークアウトしてきていると言えるのではないでしょうか。今後、さらに新規感染者数が減少していけば、この傾向はますます進むと思われ、それと同時に屋内施設へのお出かけ意欲の減少も解消していくと考えられます。
出典:いこーよ2月ユーザーアンケートより
続いて、ユーザーが感染対策として気を付けていることで、第5波と第6波に違いがあるかについて分析してみました。
基本的には大きく変化はないものの、宿泊を伴ったお出かけや県をまたいだお出かけ、帰省などある程度遠くにいくようなお出かけを控えようという意識が、第6波では少し緩和する傾向が見られました。また、参加するイベントを少人数や屋外のものに限定するという割合も減っています。第6波になり、基本的な感染対策は継続しつつも、少しずつ行動抑制を緩和してきていることから、ユーザーもウィズコロナの在り方を模索しているように思います。
出典:いこーよ2月ユーザーアンケートより
オミクロン株による第6波の影響は小さくなく、お出かけ市場はまたもや大きなダメージを受けています。しかし、第6波の今回は「感染が身近となり怖い」という意識が高まっている一方で、第5波と比べて感染対策の行動が少し緩和するなどの状況変化も見られ、コロナ禍が長引いている中、ウィズコロナの行動をユーザー自身も模索し始めていると言えます。さらに、第6波ピークアウトの傾向が表れてきた事に伴い、ユーザーの意識変化やお出かけ意欲の回復の兆候も感じられます。
一か月後には春休みの季節が到来します。このまま順調に新規感染者が減少し、春にはお出かけ市場が回復してほしいと願っています。