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▶おでかけ意欲が減少するも、お出かけ自粛派と積極派の二極化傾向に
新型コロナウイルス感染拡大に終わりが見えず、緊急事態宣言の発令が拡大される中、この夏のユーザーのお出かけに対する意識はどう変化したのでしょうか。また、東京オリンピックが開催され大きな話題になりましたが、オリンピックの開催がお出かけにどのような影響を与えたのかも気になるところです。今回はそんな今年の夏休みのおでかけ状況について、いこーよサイトへのアクセス状況やユーザーアンケート結果を踏まえ分析してみました。
新型コロナ感染リスクに対する意識についてのアンケート結果を時系列で表したグラフが以下となります。8月になり、新型コロナウイルスが「とても怖い」と回答した人は6月時点と比べて増加しており、第5波のデルタ株による感染拡大の影響で、新型コロナに対する警戒心の強まりが表れていると思われます。ただし、今時点では昨年ほどにはなっておらず、今年の4月頃(第4波)のレベルに留まっています。
出典:いこーよ8月お出かけアンケートより
Google Trends(ある単語がどのくらいGoogleで検索されたのかを表した推移データ)で、「コロナ」の検索数の推移を表したのがこのグラフです。7月時点ではそれほど高くなかったコロナに対する意識が、8月以降で高くなっています。このデータでも、第5波のデルタ株による感染拡大への危機感の強まりが表れています。
出典: Google Trendsより
同じくGoogle Trendsのデータで、「緊急事態宣言」と「自粛」の検索数推移を表したのが以下のグラフです。
出典: Google Trendsより
出典: Google Trendsより
全国的に発令地域が拡大している割には「緊急事態宣言」ワード自体はあまり話題にはなっていないようです。一方、「自粛」に関しては、8月に入ってからだんだん上昇してきています。緊急事態宣言が発令されているかどうかにはあまり影響されず、第5波の感染拡大の状況をみて、各自が危機感を持ち、意識変容をしているのではないかと思われます。
以下グラフは、昨年4月からのいこーよサイト閲覧数(お出かけ施設ページのみ)と、2019年(コロナ前)の閲覧数を比較したもの(2019年を100%として)です。前述のとおり、8月に入り自粛意識が高まってきたことが影響し、お出かけ意欲にブレーキがかかり、7月にはだいぶ回復してきた2019年(コロナ前)からの減少幅が大きくなっています。
※直近の8月のデータは、分析時点の8月中旬までのデータを使用。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
一方、積極的にお出かけをしているユーザーもいることは以下の回遊率データに表れています。以下グラフは、2020年4月からのいこーよサイト内の回遊率(サイト内の複数のページを巡って閲覧する率)を、コロナ前の2019年と比較したもの(2019年を100%として)です。回遊率が高いほどユーザーのお出かけ意欲が高く、複数の施設からお出かけ先を積極的に検討していることを表します。
※直近の8月のデータは、分析時点の8月中旬までのデータを使用。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
回遊率が8月に大きく上昇しており、いこーよ内の色々なページを回遊し、お出かけ先を見つけているユーザーが多かった事が分かります。いこーよサイトへのアクセス数は減少したにも関わらず回遊率は高まっているという、二つの相反する現象が起きているのは、ユーザーの二極化、つまり、お出かけを控えていこーよサイトを訪問すること自体をしなかった自粛ユーザーがいる一方、お出かけ意欲が高く、お出かけ先を探すためにいこーよサイトに訪れ、サイト内を積極的に回遊したユーザーも多かったという事だと考えられます。
7月末から開催されていた東京オリンピックの視聴状況について聞いたところ、積極的に観戦した人が17%、それなりに観戦したと合わせて6割を超える人がオリンピックを観戦していたことがわかりました。ちなみに、回答者の中で20代だけを抽出したところ、「全く観戦しなかった」が24%、あまり観戦しなかったと合わせ45%が観戦しなかったと回答しており、若い世代の方がオリンピックを観戦していなかった傾向が見られます。
出典:いこーよ8月お出かけアンケートより
では、東京オリンピックの視聴状況は、お出かけにどのくらい影響していたのでしょうか。
出典:いこーよ8月お出かけアンケートより
東京オリンピックの開催期間にお出かけをした人は全体で58%でしたが、オリンピックをテレビで見ていた人に絞ると、お出かけした人は52%。逆にオリンピックを見なかった人がお出かけした割合は67%となっています。つまり、オリンピックを見ていなかった人の方が見ていた人よりも積極的にお出かけをしていたという事になります。
7月中旬の時点では、今年の夏休みはお出かけ需要がかなり回復すると予想されていましたが、デルタ株によるかつてない感染拡大が続き、結果的にはお出かけを自粛した派と積極派とで二極化するという状況になりました。
また、オリンピック観戦とお出かけ有無には関連性があり、東京オリンピックをテレビで見ていなかった人の方が見ていた人よりもお出かけをしていた事が分かりました。今年は通常のオリンピック開催年とは違い、外出自粛をした事が家でのオリンピック視聴に繋がった側面も推測されますが、オリンピック開催時はお出かけ需要がある程度低下する傾向があると言って良いのではないかと考えられます。
新型コロナの感染拡大が収まらず、お出かけ需要はなかなか回復しない状況が続いています。市場の回復のためにはワクチン接種等が進み、コロナ感染状況が改善するのを待つしかありません。秋以降に少しでもお出かけ市場が回復することを願うばかりです。