目次
▶4月の緊急事態宣言で落ち込んだお出かけ意欲がGW後に少し回復
▶旅行意欲はまだ低迷、近所への小さなお出かけでお出かけストレスをしのいでいる様子
GWも終わり、その後も緊急事態宣言は継続中・・・。引き続き、お出かけやレジャーに関する環境的になかなか厳しい状況が続いています。そこで今月は2021年のGW前後のお出かけ状況や意欲、また、昨今増えてきているオンラインイベントへの参加状況や満足度について、調査・分析をおこないました。
▶4月の緊急事態宣言で落ち込んだお出かけ意欲がGW後に少し回復
▶旅行意欲はまだ低迷、近所への小さなお出かけでお出かけストレスをしのいでいる様子
以下グラフは、昨年4月からの1年間のいこーよサイト閲覧数(お出かけ施設ページのみ)と、2019年(コロナ前)の閲覧数を比較したもの(2019年を100%として)です。
4月に4都府県を対象に3回目の緊急事態宣言が発令されると、いこーよのお出かけ施設ページの閲覧数は再度大きく落ち込みました。緊急事態宣言は継続中かつ地域も拡大中で、昨年9~11月頃のGoToキャンペーンを実施していた時期と比べるとまだまだ低い状況である事は変わりませんが、5月になるといこーよへの訪問者が少し増加し、お出かけ意欲がやや上昇している兆候も見られます。
※直近の5月のデータは、分析時点の5月中旬までのデータと同時期の2019年データと比較。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
続いては回遊率データについて。以下グラフは、この1年のいこーよサイト内の回遊率(サイト内の複数のページを巡って閲覧する率)を、コロナ前の2019年と比較したもの(2019年を100%として)です。
回遊率が高いほどユーザーのお出かけ意欲が高く、複数の施設からお出かけ先を積極的に検討していることを表します。この回遊率のデータにおいても、緊急事態宣言の影響で4月に落ち込みが見られたものの、5月は少し回復傾向にあるのが分かります。
※直近の5月のデータは、分析時点の5月中旬までのデータと同時期の2019年データと比較。
※2021年3月以降は、昨対比ではなく、新型コロナの影響を受けていない2019年3月~2020年2月のデータをベンチマークとして比較。
出典:Google Analyticsより
以下グラフは、2021年のGW前後の期間にいこーよサイトを訪問した都道府県別セッション数を、2019年同時期のセッション数と比較したもの(2019年を100%として)です。
オレンジの棒グラフは緊急事態宣言が発令されていた4都府県(東京都・大阪府・兵庫県・京都府)ですが、それ以外の地域と比べて2019年からの減少率が大きく(回復率が低く)、緊急事態宣言対象の4都府県民が特にお出かけを自粛していたという事が分かります。埼玉、千葉、神奈川、岐阜などはまん延防止等重点措置の対象地域ですが、他の地域よりもお出かけを控えていたという様子は数字には表れていません。緊急事態宣言の対象地域では多くの施設が閉館、閉園していた事もあり、近隣の地域に人が流れたということも影響していると考えられます。
出典:Google Analyticsより
次のグラフは、2019年、2020年、2021年のGW期間のいこーよサイトへの訪問数を日別で表したものです。2019年は10連休だったこともあり、GWスタート時点から訪問数が非常に多かった事が分かります。そして2020年は、新型コロナの影響で外出自粛要請がされていたため、GW中のどの日を見ても訪問数がかなり低迷しています。
一方、今年2021年は、2020年と同じくいこーよへの訪問数はかなり低調ではありますが、5月1日~5月5日の5連休だけで見ると、2020年と比べて少し多い事が分かります。
Google Trends(ある単語がどのくらいGoogleで検索されたのかの推移データ)で、「コロナ」の検索数推移が以下のグラフとなります。第3波後に低下したコロナに対する意識が、4月、5月でかなり上昇しており、まだ収まっていません。
出典:Google Trendsより
一方、「自粛」の検索数推移をみると、4月の緊急事態宣言頃にやや上昇したユーザーの意識が、その後低下傾向にあり、それほど自粛自体が大きな関心事にはなっていないようです。
出典:Google Trendsより
同じく、「緊急事態宣言」への関心も、4月後半に急上昇したものの、その後低下しています。
出典:Google Trendsより
「旅行」についてのデータが以下のグラフです。4月に入り「旅行」を検索するユーザーが増えてきたにもかかわらず、緊急事態宣言の発令により、あまり盛り上がらずに収束しています。
出典:Google Trendsより
しかし、「お出かけ」の検索については今年のGWでは大きく上昇しているところが前述の「旅行」とは大きく違っています。「旅行」は県をまたぐケースも多く自粛意識が強いですが、「お出かけ」に関しては、せめて近隣への小さなお出かけを楽しもうという家族が増加しているのではないかと考えられます。
出典:Google Trendsより
4月から引き続き、「ワクチン」の検索数が著しく増えています。高齢者へのワクチン接種スタートなどの報道が連日テレビやネットで流れ、ワクチンへの期待と接種の進捗状況に対する関心が非常に高まっているからだと思われます。
出典:Google Trendsより
いこーよユーザーに対して「新型コロナの影響による日常のお出かけ費用に変化があったか?」と聞いたところ、「大きく減った」「少し減った」を合わせ、「減少した」と答えたユーザーが79%と非常に多くなっています。
出典:いこーよお出かけに関する5月のアンケートより
一方、昨月の4月公開のレポートでもオンラインイベントへの関心や検索数が増加していることを紹介しましたが(※今レポートの最後に参照用に再載)、参加経験率を聞くとまだ11%と非常に少ない事が分かります。
出典:いこーよお出かけに関する5月のアンケートより
また、参加する際の一人あたりの費用は圧倒的に「無料」が多く、有料イベントへの参加経験者は非常に少ない事が分かりました。
出典:いこーよお出かけに関する5月のアンケートより
オンラインイベントへの参加経験があると答えたユーザーに対し、「今後も子どもとオンラインイベントに参加したいか?」と聞いたところ、「参加したい、参加させたい」という回答が85%と高く、参加経験率自体はまだまだ多くはないものの、実際に参加したユーザーの満足度は非常に高いようです。
出典:いこーよお出かけに関する5月のアンケートより
オンラインイベントに参加したユーザーに、参加した際の感想を聞いてみたところ、満足したという意見と不満だったという意見で大きく二分されています。満足したと答えたユーザーからは、子どもの月齢と内容が合っていた、時間が短く集中力が持続した、関心あるテーマと合致していて興味が持てたなどの回答が寄せられ、子どもが飽きずにオンラインで見られるように時間の長さや対象年齢を明確にする(場合によってはある程度の年齢以上を対象にする)などの工夫がされたイベントは、参加者の満足度が高いのではないかと推測されます。
反対に、不満だった理由をみてみると、オンラインのために画像や音声の配信が不安定な事によるストレスや、画面越しという臨場感の薄さから、たとえ時間が短くても小さい子は飽きてしまう、などの意見が見られます。
オンラインイベントに参加した感想を自由回答から抜粋:
また、今までオンラインイベントへの参加経験のない家族に、「今後は参加してみたいか?」を聞いたところ、「参加してみたい/させたい」と「参加させたいと思わない」が半々の結果に。自由回答を見ると、ネット環境やパソコン、カメラなどのデバイスが整っていないのでオンラインイベントに参加できない、という意見や、顔や部屋の中が映るのが嫌だという意見なども見られ、そのあたりの懸念点が払拭されれば参加する人も増えるのでは?と推測されます。
※(参照)4月レポートに掲載したオンラインイベントの閲覧数の増加グラフ
2021年のGWも、緊急事態宣言発令、さらに現在も継続およびさらに地域拡大という状況の中、お出かけ意欲も旅行意欲も低い状況が続いていますが、4月と比較すると5月は少し回復傾向が見られます。また、2020年と比較すると、2021年の方が少しお出かけ意欲の回復が見られます。
ユーザーアンケートによると、コロナ前と比較してお出かけ費用が減少したという家庭が全体の8割を占めており、お出かけ業界にとっては、非常に厳しい状況が続いています。一方、お出かけの代替になると期待されているオンラインイベントですが、現状では参加経験率が11%、参加したユーザーもそのほとんどが「無料イベント」という状況でした。自由回答にあるように、オンラインイベントは実際の現場での体験に比べ、どうしても臨場感には劣る面があり、加えて子どもが画面越しだと飽きてしまうのでは?という不安や、ネットやデバイスを整備しなくてはいけないなどの手間や面倒くささもあります。それらの懸念が、お出かけが制限されているコロナ禍においても、子どものオンラインイベント参加がそれほど爆発的には増えていない理由になっているのかもしれません。
今後コロナ禍が収束し、自由に出かけられるようになれば、臨場感のあるリアルなお出かけや対面イベントへのお出かけ意欲が爆発的に高まることは間違いないでしょう。リアルなお出かけやイベントは、その場の空気感や臨場感、行き帰りの移動や立ち寄る食事、お土産、歩いて回るなどして刻々と周りの景色が変わっていく楽しさ、着ていく服や天気、さらには敷地の緑や足元の草花、鳥などの周辺の音や声、さらに他の家族が楽しんでいる様子など、その場で体験することや受け取る情報の量が多大で、様々な「ワクワク要素」が詰まっています。そのすべてのものが合わさって「お出かけする楽しさ」を演出しているのであり、ユーザーはおでかけするその「場」すべてのものを味わうためにお金を払っているのだろうと思います。
私たち「いこーよ」は、そんな楽しさの詰まった「お出かけ」を自由にできる日が、一日も早く戻ってくるのを心から願っています。