2020年12月公開(11・12月分データ)「コロナ及び第3波によるお出かけ意欲及び施設収益等への影響」

コロナ第3波による国内の感染者数も増加の一途をたどる中、おでかけ市場においてもやはり、お出かけ意欲や施設来園者数・施設収益ともに大きく影響を受けているようです。今回は、年末の帰省意向等も含めた第3波の影響やコロナによる施設収益等への影響について分析・考察してみました。

目次

2020年11月のお出かけ状況

新型コロナウイルス第3波への不安状況

2020年~2021年の年末年始の帰省意向状況

施設の運営状況

お出かけ市場レポート総括

2020年11月のお出かけ状況

以下グラフは2020年4月からのいこーよサイト閲覧数(お出かけ施設ページのみ)と、2019年(コロナ前)の閲覧数を比較したものです(2019年を100%として比較)。お出かけ意欲の増減をみるひとつの指標として活用しています。

いこーよサイト閲覧推移比較

※新型コロナの影響を受けていない2019年のデータをベンチマークとして比較。

出典:Google Analyticsより

続いて、いこーよサイトの回遊率について。以下グラフは、2020年4月からのいこーよサイト内の回遊率(サイト内の複数のページを巡って閲覧する率)を、コロナ前の2019年と比較したもの(2019年を100%として)です。回遊率が高いほどユーザーのお出かけ意欲が高く、複数の施設からお出かけ先を積極的に検討していることを表します。このデータでも、11月は2019年比87%まで回復しており、昨年4月以降もっとも高い数値となりました。

全国で緊急事態宣言が発出された2020年4月では26.7%まで落ち込んでいた数字が徐々に回復し、9月には61.7%まで戻りました。しかし、第3波が影響し10月11月と若干減少傾向となり、またお出かけを控える方が増えてきた事がわかります。

続いて、いこーよサイトの回遊率について。以下グラフは、2020年4月からのいこーよサイト内の回遊率(サイト内の複数のページを巡って閲覧する率)を、コロナ前の2019年と比較したものです(2019年を100%として比較)。回遊率が高いほどユーザーのお出かけ意欲が高く、複数の施設からお出かけ先を積極的に検討している事を表します。

いこーよサイト回遊率昨対比

※新型コロナの影響を受けていない2019年のデータをベンチマークとして比較。

出典:Google Analyticsより

こちらからも同様の傾向が見られ、9月では85%近くまで回復していたものが10月11月で若干の減少傾向が見られ、第3波がお出かけに影響を与えている事がわかります。

新型コロナウイルス第3波への不安状況

続いて、新型コロナウィルスの感染リスクに対する考えを時系列で比較したデータがこちらです。2020年4月時点で96%の方が「とても怖い」「少し怖い」と回答していましたが、5月6月8月とその割合が徐々に減少していました。しかし、12月の速報値では8月時点での回答に比べ、またその割合が増えてきています。

新型コロナウイルス感染リスクに対する意識推移

出典:いこーよユーザーアンケートより

同じく時系列で見ている屋内施設へのお出かけ意欲に関するデータでも、少しずつ減少していた「決して遊びに行きたい」「なるべく遊びに行きたい」が12月の速報値では少し増加しています。

屋内施設への来園意向推移

出典:いこーよユーザーアンケートより

屋外施設においても同様の結果となりました。これらの結果からも第3波が少なからずユーザーのお出かけ意欲に影響を与えている事がわかります。

屋外施設への来園意向推移

出典:いこーよユーザーアンケートより

以下は、Google Trends(ある単語がどのくらいGoogleで検索されたのかを表した推移データ)で、「コロナ」の検索数の推移を見たものです。4月の第1波、7月の第2波で検索数が上昇し、また11月頃から山ができています。第3波の中でのピークが11/15~11/21頃となり少し減っていましたが、12/12に東京のコロナ陽性者が600人を超えた事により、再度上昇傾向となっています。

Google Trendsによる「コロナ」の検索数推移

出典:Google Trendsより

「自粛」の検索数も同様の動きをしています。しかし、第3波を注視するとピークが11/29~12/5となっており、以降は減少傾向にあります。これらは、第3波ではウイルスに対する対策もだいぶ周知され、第1波と比べると、自粛もしつつ対策しながらお出かけするユーザーが増えていると考えられます。

Google Trendsによる「自粛」の検索数推移

出典:Google Trendsより

2020年~2021年の年末年始の帰省意向状況

続いて、今年の年末年始に帰省をするか、また昨年は帰省したかどうかについてアンケートを実施しました。

年末年始の帰省状況の昨対比

出典:いこーよ12月ユーザーアンケート速報値より

速報値で「今年の年末年始に帰省はしない」という回答が42%。昨年の32%にくらべ、「帰省しない」という選択をされたユーザーが10%増えています。また、現時点では「未定」という方もいるため、この結果以上に「帰省しない」選択をする方が増える可能性は高くなります。

一方、「帰省する」選択をした方も39%います。これらの方に、帰省時に気をつけようと思っている事についてフリー回答で聞いてみました。

一部抜粋・編集

  • マスク・手指消毒などのコロナ感染予防(多数)
  • 自家用車で移動する(多数)
  • あまり出歩かないように心がける(多数)
  • 実家以外は外出しない
  • 帰省先ではひっそりと
  • 体を冷やさないようにする
  • 親族が多く集まらないように調整
  • 鍋物を食べず、一人一人取り分けて出す

以上のように、帰省はするものの気をつけながら慎重な行動を心がける方が多いようです。

反対に、「帰省しない」選択をしたユーザーに対してもその理由をフリー回答で聞いてみました。

一部抜粋・編集

  • コロナが心配だから(多数)
  • 自分は関東に住んでいて帰省先がコロナ感染者数が少ないため、来られても困るのではないかと思ってしまう
  • コロナ対策で、両親が高齢のため
  • 親にコロナが理由で帰省をするなと言われた
  • 遠方で飛行機に乗らないと行けないが、現状だと空港や飛行機を利用したいと思わないため
  • コロナで8月も帰省せず、現在も感染者が多いため

自身の感染はもちろんですが、特に高齢の両親への感染リスクを考えて判断をされている方が多くいるようです。

施設の運営状況

以下のグラフは、お出かけ施設に対して昨年同月との売上変化についてアンケートを実施した結果です。

屋内・屋外施設売上昨対同月比

出典:いこーよ施設アンケートより

屋内施設においては、昨対比プラスになった施設がかなり少なく、マイナスになった施設が多い結果となりました。

一方、屋外施設においては、屋内施設より昨対比プラスになった施設が多く、マイナス幅が大きい施設は少ないようです。それぞれプラスになった施設の割合、マイナスになった施設の割合を見ても同様の結果となっています。

同様のデータを屋内施設に絞ってもう少し掘り下げてみたものがこちら。

屋内施設売上昨対同月比

出典:いこーよ施設アンケートより

圧倒的にマイナスだったという施設が多いものの、9月に比べ10月の方が若干回復傾向が見られます。

続いて屋外施設の場合はこちら。

屋外施設売上昨対同月比

出典:いこーよ施設アンケートより

こちらも屋内施設同様、9月より10月の方が回復傾向が見られます。

また、屋外施設に関しては10月時点で22%の施設が昨年同月比50%以上もプラスだったと回答。コロナ禍においては換気が常にされている屋外施設に需要が高まっている事がわかります。

以下は、冬に向けての対策について聞いた結果です。

冬に向けての検討対策

出典:いこーよ施設アンケートより

屋内屋外どちらも75%程度の施設が「10月までの対応と同じものを予定」していると回答。それ以外にも屋内施設では「換気の回数を増やしたり、空気清浄機を増設する」「加湿器を設置・増設する」といった施設がありました。

屋外施設においては「定期消毒頻度の増加」や「アルコール消毒液やマスク、フェイスシールドを店内で販売」したり「人数制限・少人数制の実施」などを対策として検討している施設があるようです。

続いて、コロナ前後でのスタッフの配置の変化についても聞いてみました。

コロナ前後でのスタッフの配置の変化

出典:いこーよ施設アンケートより

屋内施設・屋外施設どちらも「特に変動はない」と回答した施設が多数ではあるものの、「現場スタッフの増員」や「総数に変動はないが、他部署からの異動」をしたり、「退職等で人数が減少した」という施設もありました。

最後に、コロナ前後での料金体系への変化について聞いてみました。

コロナ後の料金体系の変化

出典:いこーよ施設アンケートより

屋内・屋外どちらも「変動なし」と回答した施設が80%以上。中には「期間限定のキャンペーンで値引きをした」という施設もありましたが、ほとんどの施設で料金体系には手を加えず、今まで通りの料金で運営しているようです。

お出かけ市場レポート総括

以上について簡単にまとめると、2020年の11月・12月は

  • お出かけ控えの傾向再び
  • コロナ不安が増加に逆戻り(8月レベルに)
  • 今年は年末年始に帰省しない人が増加しているが、帰省するという人も同程度いる
  • 施設売上が落ち込むも9月→10月で少し上昇
  • 屋外施設では昨年同月比50%増と好調の施設も
  • 冬対策として更に密回避や感染防止商品販売を行う施設も
  • コロナ後も料金体系に変化はほぼなし

といったお出かけ市場となりました。

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