訪日客数が単月で過去最高を記録 中国・韓国が伸びる一方、日本人出国は低迷続く

勢いが止まらないインバウンド。今春も、観光地や街中では多くの訪日客の姿が見られました。現在の訪日客の状況や、日本からの出国者の状況などについてまとめました。
(前回のインバウンドについてのレポート記事はこちら)

ポイント

訪日外客数単月で過去最高を記録

国別では中国の訪日客が急増

出国日本人数は春に増加傾向も、回復は低迷

まとめ

訪日外客数単月で過去最高を記録

まずは訪日外客数の推移を見てみましょう。(訪日外客数とは、日本を訪れた外国人旅行者数のことで、法務省集計による出⼊国管理統計に基づき日本政府観光局が独自に算出しています。詳しくは日本政府観光局のサイトを参照ください)

以下は、2023年1月から2025年3月までの訪日外客数をいこーよ総研がグラフにしたものです。

3月の訪日外客数は3,497,600人で、3月として過去最高を記録しました。また2025年1月~3月までの累計では、過去最速で1,000万人を突破しました。

出典:日本政府観光局(JNTO)発表のデータをもとにいこーよ総研でグラフ作成
注:2025年1月以前の数値は訪日外客数のうち観光客数で作成
2025年2月以降は訪日外客数総数の推計値で作成

つぎのグラフは、2019年、2024年、2025年の訪日外客数の月別推移をグラフにしたものです。

2025年は訪日外客数がすでに350万人前後と、2019年や2024年と比べても圧倒的に多く、その勢いがさらに増しているのがわかります。2024年も好調だったインバウンドですが、2025年はさらに大幅な増加となっています。

出典:日本政府観光局(JNTO)発表のデータをもとにいこーよ総研でグラフ作成
注:2025年1月以前の数値は訪日外客数のうち観光客数で作成
2025年2月以降は訪日外客数総数の推計値で作成

国別では中国の訪日客が急増

次に、国別の訪日外客数の推移を見てみましょう。

2024年1月から、月ごとにどの程度、訪日外客数が変化しているかを見ていきます。

訪日外客数のトップを牽引する韓国。とくに2024年12月~2025年1月には90万人を超える大きな盛り上がりを見せました。

一方で、中国もトップの韓国に並ぶ勢いを見せています。2024年夏にかけて大幅に回復した後、秋以降はやや減少しましたが、春節の影響もあり2025年1月には再び急増しています。

米国や台湾は安定した推移を続けていますが、とくに、桜シーズンの3月にはアメリカからの訪日客が急増しているのが目立ちます。そのほか、フィリピンやタイといった東南アジアからの訪日も堅調に推移しています。

出典:日本政府観光局(JNTO)発表のデータをもとにいこーよ総研でグラフ作成

出国日本人数は春に増加傾向も、回復は低迷

続いて、出国日本人数を見ていきます。(出国日本人数とは、海外に渡航した日本人の数です。 当該月の翌月に、法務省の出入国管理統計からJNTOが独自に算出し、訪日外客数と併せて発表しています。詳しくは日本政府観光局のサイトを参照ください)
以下は、2024年1月から2025年3月までの出国日本人数をいこーよ総研がグラフにしたものです。

出国日本人数は春にかけて増加傾向にあり、特に3月の伸びが顕著です。これは、春休みや卒業旅行シーズンの影響が大きいと考えられます。

出典:日本政府観光局(JNTO)発表のデータをもとにいこーよ総研でグラフ作成
注:2025年3月は出国日本人数の推計値で作成

以下は、2019年の同月と比較した割合のグラフです。

2019年比の7割超まで回復してきていますが、依然として低迷が続いている状況です。円安が続いていた為替市場も、円高に転じてきました。この為替の動きや米国の相互関税の発表による世界経済の混乱に端を発した日本経済の先行きの不透明感などが、今後の出国数にどう影響するか、引き続き注視していきたいと思います。

出典:日本政府観光局(JNTO)発表のデータをもとにいこーよ総研でグラフ作成
注:2019年の同月と比較
2025年3月は出国日本人数の推計値で作成

まとめ

2025年3月には単月で過去最高を記録するなど、前年同月と比べてもその勢いは衰えることなく増加が続いています。
国別に見ると、春節の影響で中国からの訪日客が大きく増加し、これまでトップを牽引していた韓国と並ぶ勢いを見せています。また、3月の桜シーズンには米国からの訪日客も目立ちました。

出国日本人数は春に向けて増加傾向にあったものの、依然として2019年の水準には戻っておらず、7割程度の回復にとどまっています。

ただし、長く続いていた円安の為替市場は、円高に転じつつあります。さらに、米国の相互関税の発表による世界経済の混乱などが、今後の訪日客数にどう影響するか、引き続き動向を注視していきたいところです。